紺野天龍のレビュー一覧
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今回も推理はしっかりしたわかりやすい解説がついていてとても読みやすく楽しめました。
滞在先の村の人々に決断を促す霧瑚がとてもかっこいいです。自分の考えを押し付けるでもなく、あくまで個人の意見として伝える話術をもっているのが羨ましい。
今回の問題は前回のものよりも考えやすい内容であったので、それを説明する霧瑚をどう描くかを著者は悩んだだろうなと感じました。
個人的に少し気になっているのが、霧瑚は「転生」したのかということ。前作では生きたまま幽世にやってきたはずなのですが、これが今作でも謎のままの「右目」ともしかしたら関連していたりするのかも。 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目
錬金術が存在する世界観でのミステリ
前作同様に、事前に錬金術でできることやその他の条件など提示されているので、特殊設定ミステリとしてフェアだと思う
今回はクローズドサークルの館もの(塔だけど)
「神の子」が建造し「始まりの錬金術師」が住み着いたとされる、表面が液体水銀で覆われた奇跡の塔「水銀塔」
第五神秘の解明に繋がる資料があるとの情報を受けて派遣されたテレサとエミリア
そして、教会関係者、聖騎士、帝国の錬金術師、巡礼者との邂逅
セフィラ教会の聖地で王国と帝国の間を流る川の中州に建つため、嵐による川の増水で陸の「孤塔」となった水銀塔で起こる、連続首なし死体事件
犯人の動機、目的、方法、そして塔の存在意義とは?
塔の仕組みや仕掛けとその目的の前フリなど、最後まで読めばちゃんと事前に説明されていたのがわかる
「回転する床」は「森博嗣のアレっぽいなー」と思ってたけど
事件そのものではなく、枠外の謎が後々明かされるという物語の構造がより森博嗣っぽく感じた
塔の仕掛けが事件に関係してるのは予想がつくけど、塔が「何のために作られたのか?」という目的の実態と新たな発見と謎という終盤の展開に驚かされる
続編が物凄く待ち遠しい存在になってしまったじゃないか
錬金術に関しては、相変わらず史実の人物名が登場する
ヘルメス・トリスメギストス、アルベルトゥス・マグヌス、ニコラ・フラメルとかね あと、ゾシモスもそう
ニコラス・フラメルはハリーポッターでも名前が出てきてたし、賢者の石といえばこの人という世界的な認知は得られているのではなかろうか?
作中で錬金術師とされている人は史実でも同じ名前の人がいるけど、フェルディナンドに関係する錬金術師って思い当たらないなぁ
私はメジャーな人たちしか知らないので何とも言えないけど、もしかしてフェルディナンドも本当の錬金術師じゃなかったりするんだろうか?
森博嗣の真賀田さんみたいに続編で再登場しそうな気がするんだよなぁ -
Posted by ブクログ
カタカナの名前は覚えにくいのでメモを取りながら読んだが、ニコラ・フラメルとテレサ・パラケルススの推理合戦が火花を散らす展開で、448ページだったが3日ほどで読破できた.錬金術師と変成術師の葛藤、舞台となった水銀塔の管理者たち、教会関係の聖騎士たち、更には巡礼者たちが入り乱れたなかで、首なし死体が3つも発生し、ニコラとテレサが中心になって調査する.当初はニコラが優勢で、水銀塔の管理者に疑いを抱いたが、テレサの相棒エミリアの活躍やエミリアの古い友人の支援で真犯人を突き止める.最後に出てきたエミリアとシャルロッテのエピソードにはほっとする感覚が得られて良かった.それにしても、このような奇想天外な物語を創造する作者は素晴らしいと感じた.
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ネタバレ――
これこれ。これだよ…こうでなくては! ひっっっさしぶりに帯文と感想がマッチしたわ。
シリーズ二作目にして、陸の孤島/嵐の山荘もの。これはよくある構想自体はこっちが一作目、というやつかしら。
錬金術、というファンタジーな部分をフルに活かしたこの水銀塔という舞台装置が、このミステリの核心でもあり“ミソ”でもあって、
まぁ逆に云うとそれを素直に受け入れられるかどうかによって評価は分かれるんだろうなぁ。
これは漫才ではない論争と同じようなものである。
受け入れ、超えていくこと。それこそが、とまでは云わないけれど、そういう知性もある。
タイトルに関しては、前作『密室』と比べると少し、ドンズバ感はなくなったかと思ったけれど――たとえば塔そのものが消えるような、大掛かりな消失トリックとか期待してた――、よく考えてみると『消失』をキーワードにするだけでも概ねこの謎は解けると思うので、やっぱり納得である。ハルヒみたいだよね…
いや、でも実際最後には、意味合い的に“塔”も『消失』しているからいいのかな? ちなみに私はその、塔が塔でない、という部分から解答へ登攀しました。こんなに、どう解いたかを話し合いたいミステリもなかなかないやね…! 思いの外高速展開で核心へ迫るのかしら? 期待のシリーズです。☆4.2 -
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〇〇×ミステリ、といえば?
青春×ミステリなんてありがち。
伝奇×ミステリや歴史×ミステリは妄想爆発してていい感じ。
SF×ミステリはそれはもう相性が良いことが歴史的に実証されてると云ってもいいでしょう。
本×ミステリ、珈琲×ミステリもまぁ、そこに必然性があれば楽しく読むけど。
(ちなみに青春×ミステリはキャラクタ的に必然性があるということにしておく。なんでもありやな。青春だからね。)
その点イロモノの今作は錬金術×ミステリ。
いい加減ネタバレしてもいいんだろうけど最近のイロモノと云えば『屍人荘の殺人』が爆発的に売れたけど、あれも〇〇×ミステリですね。
個人的にはこちらのほうがかなり好み。
錬金術、とは外れるけど大分類に上がって、所謂ファンタジー×ミステリといえば『折れた竜骨』とか『アンデッドガール…』くらい? 『クロック城』はあり?
あんまり成功例が無いのかしら。
どうにもファンタジーが「なんでもあり」という感じになってしまうと、そりゃミステリとは相容れなくなるわけで…
その点今作はバランスの良い配合で、ちゃんとフェアに書かれていて謎解きもさせてくれるし、とても気に入りました。☆3.8
しかも続くであろうというのが嬉しい…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ定番の探偵と助手もの。遊び人で破天荒なテレサと実直なエミリアという対照的な2人のやりとりが楽しい。
ファンタジー×ミステリということだが、事件に関する細々とした伏線はあまりないので、情報がさっぱりしていて読みやすかった。(ミステリをあまり読まないので、単に私の読解力不足かもしれない)
かといってストーリーが物足りないというわけでもなく、事件の謎に加えてテレサとエミリアの過去に関わる情報や世界設定の話が同時に繰り広げられていくので、各方面に面白かった。錬金術の階層構造や、錬金術師と国家情勢のつながりなど、今回詳細に描かれなかったものを含めて世界観の広がりにわくわくする。そういう点では、どちらかというと「ミステリ要素のあるファンタジー」なのかもしれない。
上司と部下で、正反対だけど似た者同士で、共犯者になった2人。至極単純に共犯者・運命共同体という類の関係性に弱いので、目的を共有した2人がこれからどんな関係を築いていくのかとても気になる。
一旦事件は解決したもののがっつり続きものを想定した終わり方だったので、続編でまた2人の活躍が見れたらいいな。 -
Posted by ブクログ
「錬金術師」とその従者?のワケアリコンビが謎に挑むいわゆる特殊設定ミステリのシリーズ3作目。今度は深海2000mに眠る現存文明以前のオーバーテクノロジー遺跡の調査中に殺人事件が発生し、さらには動力停止し脱出手段もなくなって…という限界状況に挑む。
前作から時間が空いてしまっていたので設定がスコーンと抜けていたけれど、丁寧に説明してくれてキャッチアップできて本編に集中できた。さすが担当編集が「むしろ本作から読むべき」と言うだけのことはある。
錬金術や人類や世界の成り立ちについてが深掘りされ大きくスケールアップして盛り上がってきた一方で、細部が精緻なだけに肝心のトリックというか仕掛け部分はやや大味な印象も。とはいえ本シリーズが今後どう展開していくのかは大いに気になるところ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ童話とミステリーの組み合わせが気になり、Audibleにて視聴。
まず、冒頭から義理の姉にいじめられるシンデレラが登場…と思っていると、このシンデレラ、様子がおかしい。
確かに義理の姉はシンデレラをいびっている。しかし、シンデレラも普通に言い返す。というかおちょくっているようにすら見える。このシンデレラ、口が達者である。
シンデレラの片方の姉は美人のようだが、もう片方の姉は超巨体で食べるのが大好きらしい。「大姉様」という呼び名に別の意味が付随している。
義理の姉も、母も、シンデレラに厳しいものの、シンデレラの口に辟易しており、言い負かされたりもしている。決して、生意気な口をきいたシンデレラを折檻したり、ご飯を抜かしたりという虐待はしていない。
シンデレラも、母と姉を敬っているようで、童話のシンデレラほど酷い関係ではないように思える。
語り口は不真面目で、なるほどそういう軽いノリなのだな、と思った。
普通のシンデレラとは少々違う流れでシンデレラは魔法使いに魔法をかけられ、お城の舞踏会に参加する。
ここまではちょっとアレンジが加えられたシンデレラなのだが、ダンスパーティのさなか、王子様が死体で発見される。
そして、シンデレラは有力な容疑者として、裁判に被告として参加させられる。
シンデレラは得意の口の上手さで、死刑から逃れることができるのか…と言うのが本作の流れである。
登場人物たちの軽妙なやり取りが目立つが、その実ミステリーはきちんと組み立てられている。ちょっとした会話のやり取りが登場人物の背景のヒントになっている。
舞台はシンデレラという、「魔法」が存在する世界でのミステリーだが、魔法で全てが解決!というご都合主義にはなっていない。
魔法にもしっかり制限があり、しっかりと楽しめた。
また、ミステリー部分だけではなく、最後に明かされる人間ドラマも非常に楽しめた。いや、シンデレラやけに姉に対する描写がねっとりしてるし男には興味なさそうだしなんか…とは思っていたが、作者の作品は初見のため、作者は百合が好きなのかな?とか思っていて全く気づかなかった。
一部捜査パートがあるものの、ほとんどが法廷でのやり取りのため、どっちかというと「シンデレラ城の裁判」だな、とは思った。