紺野天龍のレビュー一覧
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今回も推理はしっかりしたわかりやすい解説がついていてとても読みやすく楽しめました。
滞在先の村の人々に決断を促す霧瑚がとてもかっこいいです。自分の考えを押し付けるでもなく、あくまで個人の意見として伝える話術をもっているのが羨ましい。
今回の問題は前回のものよりも考えやすい内容であったので、それを説明する霧瑚をどう描くかを著者は悩んだだろうなと感じました。
個人的に少し気になっているのが、霧瑚は「転生」したのかということ。前作では生きたまま幽世にやってきたはずなのですが、これが今作でも謎のままの「右目」ともしかしたら関連していたりするのかも。 -
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シリーズ2作目
錬金術が存在する世界観でのミステリ
前作同様に、事前に錬金術でできることやその他の条件など提示されているので、特殊設定ミステリとしてフェアだと思う
今回はクローズドサークルの館もの(塔だけど)
「神の子」が建造し「始まりの錬金術師」が住み着いたとされる、表面が液体水銀で覆われた奇跡の塔「水銀塔」
第五神秘の解明に繋がる資料があるとの情報を受けて派遣されたテレサとエミリア
そして、教会関係者、聖騎士、帝国の錬金術師、巡礼者との邂逅
セフィラ教会の聖地で王国と帝国の間を流る川の中州に建つため、嵐による川の増水で陸の「孤塔」となった水銀塔で起こる、連続首なし死体事件
犯人の動機 -
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カタカナの名前は覚えにくいのでメモを取りながら読んだが、ニコラ・フラメルとテレサ・パラケルススの推理合戦が火花を散らす展開で、448ページだったが3日ほどで読破できた.錬金術師と変成術師の葛藤、舞台となった水銀塔の管理者たち、教会関係の聖騎士たち、更には巡礼者たちが入り乱れたなかで、首なし死体が3つも発生し、ニコラとテレサが中心になって調査する.当初はニコラが優勢で、水銀塔の管理者に疑いを抱いたが、テレサの相棒エミリアの活躍やエミリアの古い友人の支援で真犯人を突き止める.最後に出てきたエミリアとシャルロッテのエピソードにはほっとする感覚が得られて良かった.それにしても、このような奇想天外な物語
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ネタバレ――
これこれ。これだよ…こうでなくては! ひっっっさしぶりに帯文と感想がマッチしたわ。
シリーズ二作目にして、陸の孤島/嵐の山荘もの。これはよくある構想自体はこっちが一作目、というやつかしら。
錬金術、というファンタジーな部分をフルに活かしたこの水銀塔という舞台装置が、このミステリの核心でもあり“ミソ”でもあって、
まぁ逆に云うとそれを素直に受け入れられるかどうかによって評価は分かれるんだろうなぁ。
これは漫才ではない論争と同じようなものである。
受け入れ、超えていくこと。それこそが、とまでは云わないけれど、そういう知性もある。
タイトルに関しては、前作『密室』と比べる -
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〇〇×ミステリ、といえば?
青春×ミステリなんてありがち。
伝奇×ミステリや歴史×ミステリは妄想爆発してていい感じ。
SF×ミステリはそれはもう相性が良いことが歴史的に実証されてると云ってもいいでしょう。
本×ミステリ、珈琲×ミステリもまぁ、そこに必然性があれば楽しく読むけど。
(ちなみに青春×ミステリはキャラクタ的に必然性があるということにしておく。なんでもありやな。青春だからね。)
その点イロモノの今作は錬金術×ミステリ。
いい加減ネタバレしてもいいんだろうけど最近のイロモノと云えば『屍人荘の殺人』が爆発的に売れたけど、あれも〇〇×ミステリですね。
個人的にはこち -
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ネタバレ定番の探偵と助手もの。遊び人で破天荒なテレサと実直なエミリアという対照的な2人のやりとりが楽しい。
ファンタジー×ミステリということだが、事件に関する細々とした伏線はあまりないので、情報がさっぱりしていて読みやすかった。(ミステリをあまり読まないので、単に私の読解力不足かもしれない)
かといってストーリーが物足りないというわけでもなく、事件の謎に加えてテレサとエミリアの過去に関わる情報や世界設定の話が同時に繰り広げられていくので、各方面に面白かった。錬金術の階層構造や、錬金術師と国家情勢のつながりなど、今回詳細に描かれなかったものを含めて世界観の広がりにわくわくする。そういう点では、どちらか