三上延のレビュー一覧
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面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。
私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。
昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。
著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。 -
Posted by ブクログ
内田百閒(閒の字は作中では敢えて間で表記)先生を探偵役に、甘木という内田先生の教え子の目を通して不思議な世界を描く。
内田百閒と言えば「ノラや」のイメージが強すぎて猫好きな先生なのかと思っていたら、取っつきにくい怖そうな先生として描かれている。
食べることが大好きだがこだわりがあり、整理整頓が好きで、ドイツ語教師としては鬼のように恐れられていて、だが一方で常に借金を抱えていてそこはルーズで。
何よりも不思議な世界とずっと関わってきていて、内田先生の周囲では人死が多い。
漱石先生、内田先生の教え子たち、そして芥川龍之介。
芥川龍之介が描いたという『百閒先生邂逅百閒先生図』という不思議なタイトルの不思議な似顔絵。
こういうものがあるとは初めて知ったが、その解釈がまた面白い。
これをこのような不思議な事件に発展させるというのはさすが作家さんだと感心。
読後調べたら、甘木という主人公の名前は『百鬼園随筆』にも度々登場するらしい。
この辺りも作家さんの遊び心が感じられて楽しい。
また内田先生と芥川龍之介との親交の深さも感じられて興味深かった。
背広、猫、竹杖…様々なモノが起点となって始まる、ちょっと怖くて不思議な世界。
そこに引き込まれて時には命を落とす者もいるが、甘木は意外にも強い。
彼の、人の印象に残りづらい平凡な容貌と、優しくも粘り強い性格が内田先生を助けている。
一人で異世界と闘ってきた内田先生の変化も楽しい。
作中に出てきた内田先生の『冥途』やタイトルにも使われている『百鬼園随筆』にも興味が出てきた。そのうちに読んでみたい。 -
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「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの三上延。今作は、推理物というよりはオカルト•ホラーです。
内田百閒(1889〜1971)は、アンソロジーに収められた短編をいくつか読んだくらいで、私は馴染みがない。黒澤明の映画「まあだだよ」の人、という印象が強い。
主人公の甘木は大学でドイツ語の講義を受けている内田教授と近しくなる。そのきっかけとなったのは教授が着ていた背広で、それはかつて内田教授が師事していた"ある人物"の形見分けの品だった…。
「背広」「猫」「竹杖」「春の日」の4話連作です。どれもじわじわと恐怖感が増していく感じの物語で、楽しんで読めました。
"証拠を積み重ね、推理をもとに真犯人を追う"的な『事件帖』ではありません。推理物でもS Fでもなく、あくまでオカルトです。…「オカルトとUFOはS Fの敵!」という"コアなS Fの人"には合わないだろうなぁ(笑) -
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関東大震災からはじまる4世代の物語。
これは映像化してくれたら嬉しいなぁ。
『ALWAYS』じゃないけれど
家族の物語の背景に、時代の移り変わりと
あの代官山アパートメントの姿があれば
きっと私も彼らと一緒に生きてきたかのように
その中に入っていけるかもしれない。
最初の主人公である八重と竹井の静かな人生も
その娘・恵子の戦争をはさんだ人生も
ふたりの孫たちの経済成長期の人生も
八重によく似た、ひ孫の新世紀の人生も。
二度と震災で大切な人を亡くしたくないと
竹井が選んだ鉄骨造の最新アパートは
そのすべての人生を包み込んで
穏やかに朽ちていったのでしょう。
ちなみに私、この同潤会アパートが好きで
ギリ現存しているうちに「青山」を見学しました。
少し斜めに向かい合った2住居の玄関扉とか
印象深く覚えています。
また写真集とかも見たくなっちゃったわ〜。 -
Posted by ブクログ
「ビブリア」のスピンオフというが、高校生版の本をめぐる蘊蓄をビブリアバトルの形にしたもの。いかにも高校生ラブコメ・ラノベである。作者は三上延でなく別の人だが、よく雰囲気をつかんでいる。
本については能弁だが、栞子と同じに極端に人見知りなこぐちさんと、大輔の本を読めないに代わってある秘密を持つ語り手響平という設定だが、一つだけ大きく違う点がある。こぐちさんは今のところは、巨乳ではないらしい(笑)。
本に対しての見方や蘊蓄を示す点では、その本を再読したいと思わせるものがある。ビブリア本家の本がややマニアックなのに比べると、ポピュラーである。