三上延のレビュー一覧
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誰かと一緒に楽しく暮らしたいのに
何か上手くいかない、アンソロジー8編
各部屋間取り付きでイメージが湧きますね
「それでは二人組を作ってください」朝井リョウ
これは「何様」に収録されていた短編ですね
ぞわり、隠しきりたい心情をえぐるタイプの
大好きなやつ。何者→何様で読んでいただけたら幸いです
「女子的生活」坂本司
これは、もしかしたら、昔NHKドラマ10で志尊淳が、めちゃかわ女装男子を演じていた原作ですかな?
意味深なストーリーへの入りも良い
吹っ切れた、女の子になって女の子と付き合いたい、今はまだ女装男子の切れ味良い攻め気味の会話がそそる
「十八階のよく飛ぶ神様」似鳥鶏
悪い神様と良い神様との同居
シュール 似鳥さんはこちらが本領なのかな
「冷やし中華にマヨネーズ」吉川トリコ
十三年という時間を過ごしたカップル
最初は確かに好きだった
生活感の食い違い 目に付く悪癖
いつしか 部屋をシェアする関係に
クズな男が浮気を繰り返し部屋を出ていく
そうそう、今は悲しくても別れて正解
「ジャンピングニー」越谷オサム
好きな男はどうも生き方が甘い
嫌いになったわけではないが、自分次のために別れを告る
「隣の空も青い」飛鳥井千砂
「鳥かごの中身」徳永圭
彼女がインコを逃して出ていく
そのあとに迷い込む隣の部屋の少女
「月の砂漠を」三上延
順不同でしたー -
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ネタバレ【収録作品】
「もしも神様に会えたなら」大崎梢
「失われた甘い時を求めて」新津きよみ
「夕日と奥さんのお話」柴田よしき
「夢よりも甘く」篠田真由美
「旅の理由」松村比呂美
「美味しいということは」三上延
「オーロラが見られなくても」近藤史恵
タイトル通り、おいしそうな食べ物がてんこ盛りで、話の結末も温かく前向き。
「もしも……」は、伊勢市が舞台。小五の元喜と泉美の掛け合いが楽しく、口開けの一篇にぴったり。
「失われた……」は、松本が舞台。亡くなった両親の話を思い出しながらの旅がいい。ちょっとしたニアミスもうれしくなる。
「夕日と……」は、石垣島が舞台。知っているつもりで知らない連れ合いの話。一人で自分を見直す時間が必要だな。これは我が身にも教訓。
「夢よりも甘く」は、ヴェネツィアが舞台。旅は散々だったが、母と祖母の思いに気づく。
「旅の理由」は、青森県三沢市が舞台。くすっと笑える明るい話。
「美味しいと……」は、東京が舞台。祖母との食べ歩きの思い出を振り返り、息子と思い出の店に行く父。その感慨が身につまされるのは、そういう年齢だからだろう。
「オーロラが……」は、アイスランドが舞台。コロナ禍、ミュージカル俳優の厳しさ、そして介護に明け暮れたあげく放り出された女性のつらさは、フィクションではない。今ある現実で、お話自体は明るく前向きに結ばれてはいるが、宿題をもらった気分。ラストでよかった。 -
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面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。
私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。
昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。
著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。 -
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内田百閒(閒の字は作中では敢えて間で表記)先生を探偵役に、甘木という内田先生の教え子の目を通して不思議な世界を描く。
内田百閒と言えば「ノラや」のイメージが強すぎて猫好きな先生なのかと思っていたら、取っつきにくい怖そうな先生として描かれている。
食べることが大好きだがこだわりがあり、整理整頓が好きで、ドイツ語教師としては鬼のように恐れられていて、だが一方で常に借金を抱えていてそこはルーズで。
何よりも不思議な世界とずっと関わってきていて、内田先生の周囲では人死が多い。
漱石先生、内田先生の教え子たち、そして芥川龍之介。
芥川龍之介が描いたという『百閒先生邂逅百閒先生図』という不思議なタイトルの不思議な似顔絵。
こういうものがあるとは初めて知ったが、その解釈がまた面白い。
これをこのような不思議な事件に発展させるというのはさすが作家さんだと感心。
読後調べたら、甘木という主人公の名前は『百鬼園随筆』にも度々登場するらしい。
この辺りも作家さんの遊び心が感じられて楽しい。
また内田先生と芥川龍之介との親交の深さも感じられて興味深かった。
背広、猫、竹杖…様々なモノが起点となって始まる、ちょっと怖くて不思議な世界。
そこに引き込まれて時には命を落とす者もいるが、甘木は意外にも強い。
彼の、人の印象に残りづらい平凡な容貌と、優しくも粘り強い性格が内田先生を助けている。
一人で異世界と闘ってきた内田先生の変化も楽しい。
作中に出てきた内田先生の『冥途』やタイトルにも使われている『百鬼園随筆』にも興味が出てきた。そのうちに読んでみたい。 -
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「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの三上延。今作は、推理物というよりはオカルト•ホラーです。
内田百閒(1889〜1971)は、アンソロジーに収められた短編をいくつか読んだくらいで、私は馴染みがない。黒澤明の映画「まあだだよ」の人、という印象が強い。
主人公の甘木は大学でドイツ語の講義を受けている内田教授と近しくなる。そのきっかけとなったのは教授が着ていた背広で、それはかつて内田教授が師事していた"ある人物"の形見分けの品だった…。
「背広」「猫」「竹杖」「春の日」の4話連作です。どれもじわじわと恐怖感が増していく感じの物語で、楽しんで読めました。
"証拠を積み重ね、推理をもとに真犯人を追う"的な『事件帖』ではありません。推理物でもS Fでもなく、あくまでオカルトです。…「オカルトとUFOはS Fの敵!」という"コアなS Fの人"には合わないだろうなぁ(笑)