染井為人のレビュー一覧
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前半はしんどかったけど、後半は映画のシーンの様なエンタメ展開となり面白かった!
この本を読んで、日本社会の「普通でいなければいけない」という同調圧力の強さを感じた。秩序が保たれる一方で、一度そこから外れた人が復帰するのは難しく、孤独化する。
特に印象に残ったのは母親との関係。
「何とかしてあげなければ」と過度に介入する母親と、「親を安心させたい」と自分を後回しにする息子の姿は非常にリアルだった。
愛情が必ずしも本人のためにならず、かえって状況を長期化させてしまった様に思える。母親が強制的にでも息子を外に出す決断をしたことは、結果的に状況を変えるきっかけとなり良かった。
また、ひきこもり -
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8組の夫婦と一人のシングル男性の物語が、9編の短編で構成されている。
結婚生活を続けることに限界を感じた8組の夫婦の問題が描かれている。
どれも面白い9編の短編中、私のお気に入りの物語3編を敢えて挙げると⋯
⚫︎プライドは富士山
妻から突然「好きな人ができたので離婚してください」と、夫は一方的に告げられた。
妻は幼馴染のレストランシェフと再会し、一緒になると言う。
腹立たしく思った夫は、シェフの元にゴルフクラブを握りしめて抗議に向かう。
⚫︎交換日記
仕事ができない夫は早期退職を迫られて会社を辞した。
何事にも消極的だった夫は家に閉じ篭もるようになってしまう。
そして自室で一日中、プラモデル -
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この作品の面白さを際立たせているのは、各章が19歳の僚太と、44歳のひきこもりの息子を持つ母・幸子の視点で交互に展開していく構成。
視点を変えることで読むほうのスイッチも切り替わり、物語に深みを与えている。
単なるミステリの枠に留まらず、人間の心の最も暗く、それでいて切実な部分をえぐり出す描写には圧倒された。
特に「働きアリ」の法則という言葉には、ある種の冷徹な真理として納得せざるを得ないものがある。
ひきこもりを続けている人も、本当は外に出たいはずだ。仲間を得て、外で必要とされて、生きている実感を得たい。そんな根源的な欲求が、悪徳業者による連れ出しという「最悪のきっかけ」によって引き出さ -
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ネタバレ人は間違える。他人の人生を左右する程の選択でさえも。間違えること自体よりも、間違いを正す機会を得られない事の方が問題だと思う。皆他人を許して他人に許されて生きているから。
周りに散々否定されながら、自分だけは自分の真実を見失わなかった鏑木。私だったら無実の罪で追われるくらいならいっそ死んでしまいたいと思ってしまう。疲れる。自分の誇りを失わない信念が彼を生かし続け、その信念を受け入れた人間だけが彼の正体に触れられる。自分を疑い続けて人生のどん底に突き落とした他人が憎いはずなのに、その他人に自分を認めてもらうために人生を捧げる。切ない。
冤罪だと認められる前に殺されてしまったのは、とてもやる -
Posted by ブクログ
様々な事情で引きこもりになった、年齢も性別もバラバラな人たちが、自立支援をうたう悪徳業者の施設に集められ、つらい思いをしながら過ごしている。そこでは暴力や虐待が日常的に行われ、口の悪い最悪なスタッフもいて、極限状態の中でついにそのうちの一人を殺してしまう。
そこから、これまで孤立していたひきこもりの人たちの間に少しずつ団結力が生まれていく。追い詰められた状況の中で、お互いをかばい合ったり、知恵を出し合ったりする姿に、人の弱さだけでなく強さも感じられた。
読み進めていくうちに、どんどん先が気になってページをめくる手が止まらなくなった。ハラハラドキドキする展開の中で、「この人たちはどうなってし