染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ鏑木慶一は、一家三人を殺害した罪で死刑判決を受けた。
彼は、勾留中の拘置所から脱走した。名を変え、肩書きを変え、逃亡を続ける鏑木。逃亡中に出会った人々の視点から、彼の目的に迫っていく。
非常に読みやすい。
600頁を超える肉厚な作品であるにも関わらず、3日で読破した。土木作業員、ライター、元弁護士、パン工場のパート主婦、介護士…章ごとに様々な立場の主人公が据えられているのだが、どの章も完成度が高くてするっと読めてしまう。ふと気がつくと100頁くらい読んでしまっているし、無意識の内に一時間経っているような感じ。もりもり読める本。
オチがなぁ…。
鏑木慶一が死んでからの無罪判決って何か意味があ -
Posted by ブクログ
ネタバレついこの間と思っていたが、作中の「クラスター」「三密」などの当時を象徴する言葉に懐かしさを感じた。
コロナ禍での孤独や不安というあの時代に誰もが味あった共通言語が根底にあり、自分自身には無縁のはずの不正ビジネス、非行、詐欺などだが、より共感を呼び、物語に引き込まれた。
未婚のキャリアウーマンも挫折しかかっている優等生も業績不振の経営者も負のスパイラルに陥り、転落したり崖っぷちに追い込まれる。絶望感を通り超えて笑ってしまうくらい見事に…
普通の生活がいかに簡単に崩壊するのか?とか被害者と加害者の境界線の曖昧さにゾッとする。
三者が交錯する後半からはラストまでジェットコースタームービー(ちょっとス -
Posted by ブクログ
読み終わって最初に感じたのは、「なんだこれ…」という戸惑いだった。生活保護やシングルマザーを扱う物語であれば、制度の矛盾や現場の葛藤を掘り下げる社会派小説を期待する。しかし本作『悪い夏』は、まさに本作の謳い文句の通り「クズとワル」ばかりが跋扈するブラックコメディの様相を呈していた。
最初は“まともな人間”だと思って読み進めていた主人公・佐々木は、ひょんなことから破滅に向けて転がり落ちる。まさに闇堕ち。そして彼の周囲にいるのも、生活保護の不正受給者、子供を愛せないシングルマザー、地方に飛ばされたヤクザ、不正を働く同僚、不倫相手に恨みを抱く先輩など、一筋縄ではいかない人物ばかりである。共感できる -
Posted by ブクログ
申し訳ないが、結論からいうと、「ノベル向けの展開」に終始していた。
確かに、キーワード∼高齢者運転、危険運転、過疎化した限界集落・・6年前の執筆だからその後を考えると、十分に社会問題化している。
しかし、狂言回しを雑誌記者に据えて、彼が芋づるを引く都度にどんどん、視えなかった事実が引っ張り出されるのは、どうもなぁ。
社会は忙しい、こういった記者にまともに対応するとは思えないし、そうでなくとも雑誌は「マスゴミ」でも最たるものではないか?発刊数の激減を見ても。
その記者たる彼と司法のプロである妻との会話はクスッと笑わせるし、チャラけそうな筋に正論を投入してくれるけど。
私服とはいえ警官が立って