染井為人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『わだつみ』とは日本神話の海の神のこと。
そんなタイトルのこの小説は、東日本大震災後に実際にあった『NPO団体による復興資金横領事件』をモチーフとしているフィクション。
岩手県の架空の島・天ノ島が舞台になり、震災後の動乱につけこみ復興支援に現れた遠田と名乗る男が島民の心に入り込み、信頼を得、権力を手にして大金を動かすようになっていくさまが実に衝撃的でリアルだった。
またボランティアとして現地に滞在した女子大生の行動や体験を通じ、読者も被災地の惨憺たる有様や、被災者の感情などを追体験するが、やはり実際はもっともっと言葉には表せないものがあるはずだ。
1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災、今年の元旦の能登半島地震…幸いなことにいずれも僕はもちろん、親族や知人も失っていない。もしも、自分の身に直結する被害があったとしたら、この小説がもっともっとリアルに迫ってきただろうと思う。
震災直後、2年後、10年後の時間軸で章立てになっているので、少し頭の整理をして読まないと、前後がよくわからない。
結果、海や海の犠牲者たちを汚した者には神の鉄槌がくだる…めちゃくちゃ引き込まれた。
染井為人の小説にハズレはないな。
-
匿名
購入済みフィクションですが、同じような被害にあった人達が実際にはいるんだろうなと感じました。それほどリアルで怖かったです。暴力をかっこいいと錯覚してる人達。怖いもの知らず。それに巻き込まれる一般人はたまったもんじゃない!関係ない人達を巻き込むのだけはやめてほしい。辛くて悲しい物語でした。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自己肯定感の低さを人助けによって補おうとするメサイアコンプレックス。支援者側が救世主的・英雄的にふるまうことで、被支援者側は相対的に立ち位置が下がり支援側に盲信的にすがってしまうことを言うらしい。この連鎖で絶対的な立場の差が出来上がり、ついには支配するもの・されるものの関係に陥ってしまう。遠田と天ノ島の島民との関係はまさにこれに当てはまるだろう。遠田の横領は、島民から向けられる信頼と期待に虚栄心・承認欲求・ヒロイズム志向が満たされた結果、これだけ島民のために尽力しているんだから少しぐらいいい目を味わってもばちは当たらない、ぐらいの気持ちからエスカレートしていったものではないだろうか。
また、東京では何者でもない、ただの学生であった姫乃も、天ノ島では一転、「地獄に舞い降りた天使」と称えられ、遠田からは復興に必要不可欠な存在、と重用される。島民たちに心から寄り添いつつも、うすうす気が付いていてなお遠田の横領に加担し続けた根底には、自分の存在価値を認めてくれる、評価してくれる人を悪人と認めることは、自分の価値も同時に曖昧なものになってしまう、という気持ちがあった。
そして、アレキシサイミアの江村。感情はあるが、その感情に自分で気づくことが難しく、感情をうまく言語化できない、というその特性ゆえに孤独で、どんな形であれ求められることでしか居場所を見出すことができない彼が、生きていくために遠田の言うままに行動するほかなかったのは明らか。
天ノ島の復興支援金横領事件を引き起こしたのは、そんな、三者三様に震災復興に携わることで自己実現を遂げる、まさに共依存的関係。もちろんこの意識は、誰の心にも大なり小なりあるものであり、そういう動機でボランティア活動や援助に携わることも特に悪いことではないように思う。ただ、常にその意識を自覚しておかなければ、歯止めは利かなくなり、やがて、このような大きな悪事を生み出すことにもなるのだろう。 -
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
聴き始めて、あれ、こんな話あったような。。と思い出しました。ググってみると、NPO法人大雪りばぁねっと事件。忘れてました。
どこまでこの事件をモデルにしているのかはわからないが、遠田の風貌はりばぁねっとの岡田元代表ぽい。これに限らず被災者につけ込んだ犯罪が後をたたないことから作者はこの小説を書いたのだという。
いやはや、面白かった。
一気に駆け抜けました。
人がこれ以上ない悲惨な状態の中で、涙も枯れて、打ちひしがれ、混乱している中、強そうな手を差し伸べられたら、その手にすがってしまうだろうな。初めの、この人が助けてくれる!という印象が強いほど、後からあれ?おかしいぞと思っても、いやそんなはずはない、となってしまうのは容易に想像できる。
悪い人間はいるもんだ。この小説の中の遠田の最後はヤツの犯したことにふさわしい結末だったけど、りばぁねっとの岡田元代表は、懲役6年でもう出所してる。使い込んだのは6億近くで、支払いを命じられた金額は5680万。
山田町の授業料にしては高すぎ。
それにしても海神というタイトルは、大げさじゃないのかな。。と一瞬思ったけど、いや、最後の「あれ」は神様の仕業だったのだろう。だからなのか。。と、納得。 -
匿名
購入済み一気に読んでしまった‼️
寝しなに読み始めたら一気に読み終わってしまいました。
すごく面白かったです。
この作者の方の本がもっと読みたくなりました。