染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画も気になっていた作品。
あとがきへ先に行ってみたところ、「ネタバレしてるから本編読んでこい」と(丁寧な言葉で)注意書きされていた。
ごめんなさ〜い、と謝って本編へ。
同じ様な不届き者が一定数いるらしい。
そうして読み終え、涙腺ウルウルさせながら、堂々とあとがきへ。
作者さんはあれこれ意見があったとされていたけれど、私はこれで良かった、に1票でした。
人の優しさが仇となる、最も悪いケース。
そのお人好しが美しいエピローグへと繋がるので、バカを見るだけでもないよ、と思えます。
が、こんな事、現実ではゼロであって欲しい。
個人的な救いだったのが、好きな人、好きなスポーツを答えてくれた事。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わっても感情が昂っている。これぞホラーサスペンス。最近読んだ本の中で、個人的に一番引き込まれた作品だ。
一つひとつの出来事や登場人物が、どのように繋がっていくのだろうと思いながら、前半部分は読み進めた。事件に関わる疑わしい人物も登場するが、なかなかつながりや動機が見えてこない。
作中には、宗教や現代の結婚、DVやいじめなど様々な社会問題が散りばめられていて、ところどころ考えさせられる。また、事実がどうなのかは分からないが、風介の遺伝の話はとても興味深かった。
そして、なんといっても怒涛のラストである。いや、まさか、と思いながら、こんな結末を迎えるとは全く想像していなかった。
残酷なことに -
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染井為人『黒い糸』角川文庫。
今の日本を象徴するような悪意に満ちた不気味な雰囲気の中で展開するサスペンス小説。
読み応えがあり、背筋が寒くなるような非常に恐い物語であった。
主人公である平山亜紀と息子の小太郎、長谷川祐介以外の全ての登場人物が怪しい。次々と起きる忌まわしい出来事と連鎖する登場人物たちの悪意。
先の読めない展開の連続と驚愕の犯人の正体……
結婚アドバイザーを務めるシングルマザーの平山亜紀は、クレーマー会員の江頭藤子という怪しい女性とトラブルを起こして以来、悪質な嫌がらせに苦しんでいた。さらには亜紀の元夫の達也が復縁を迫ってきた。そんな中、亜紀の会社の後輩で寺の息子の土 -
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ネタバレこういった小説では、最後の「取り返しのつかない事」が起こる前に犯人が逮捕され、周りの誰かに心に響くセリフを言われ、泣きながら果たさずに終わるという展開があるあるだと思います。
しかしながらこのお話しは、事件自体は考えうる最悪の形で幕を下ろしていますよね。
社会的にはこれは圧倒的に良くないことで、警察は無能だとたたかれるでしょう。
しかしながら、この展開で終着したことで、『鎮魂』という物語自体も完了したのだと考えています。
偉そうなことを述べましたが、天野=英介であることに全く気づかず、「天野英介」の文字列が出てきた瞬間には目玉が飛び出しました。 -
Posted by ブクログ
染井さんの本、山から取り出してと〜
半グレって怖いな。
別に貧困とかもなく、普通に育てられてるヤツが暴力とかヤバい事ばかりやる。
暴力団やないから、暴力団に対する法律も使えんし。
魂を鎮めるためか…
確かに、何もやってない弟、半殺しにされたらなるか…
もう復讐の鬼というか、修羅に堕ちてるからか、弟をやった半グレに憎しみながら、殺すって感じやなく、淡々と殺すのが逆に怖い。
もう儀式になってるんかな。鎮魂の。
怖いけど、あかん事やけど、やはり半グレが1人ずつやられていくのは、スキッとはする。
最後ら辺に、色んな事実が明らかになるんやけど、頭の中は鎮魂だけ…
唯一、許した半グレの一員もおるけど -
Posted by ブクログ
2011年3月11日の東日本大震災を舞台に、生き残った人々と彼らを助けにきた「復興のカリスマ」との10年を何人かの目でつづる。
大震災の日に島で生まれた千田来未、新聞記者の菊池一朗、災害ボランティアの椎名姫乃、来未を出産で取り上げた堤佳代、時系列が行ったり来たりしながら復興支援金横領事件を物語る。
私たちも報道で目撃した凄まじい自然災害の中、この物語のような事件は大なり小なりあったのだろう。
そして本当の悪人以外にも、生き残るために良心を捨てた人もいたのではないか?
そういう人たちを私は糾弾出来るのか?
そんな時に良心を持ち続けるためにはどうしたらよいよかあ?
色々考えさせられました。
残念な -
Posted by ブクログ
4.5/5.0
「復讐」と「正義」は相入れるのか。
絶対悪として描かれる「凶徒聯合」。この組織に弟の人生を壊された兄、英介が次々と組織の人間を殺害していく。
英介はこの連続殺人を弟の魂を鎮める為の行為だとして、それが人を殺す行為であってもその信念は一切揺らがない。
そして凶徒聯合のメンバーが殺されていくことに対して世間からは賛美の声が挙がるようになり、犯人である英介を神格化するような声を聞かれるようになる。
そしてこの連続殺人に誰よりも賛成の意を示すのが、聡之。個人的に一番気になったのがこの聡之だった。彼は人一倍正義感が強い。嘘を許で
ず、正義を信じて生きてきた自分が憂き目に遭い続け、悪