染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いい意味で予想を裏切られた作品。
引きこもりのユーチューバーが悪徳業者を懲らしめていく、そんな痛快な物語かと思いきや、物語は思いもよらない方向へと進む。
ユーチューバーや架空請求、医大生による性犯罪など、現代社会の重たい問題を扱いながらも、決して説教くさくならず、読み終えたあとにはどこかあたたかい気持ちが残る。エンタメとしての軽やかさと、人の弱さや痛みにそっと寄り添う視線が、心地よく共存している作品だった。
悪人をただの「悪」として切り捨てないところにも好感が持てた。それぞれの事情や背景に目を向けることで、物語に奥行きが生まれているように感じた。
少しおバカで思わず笑ってしまう場面もあれば、胸がきゅっとなる切なさもある。そして迎えるラストシーンには、思わずぐっと心をつかまれた。
痛快でありながら、やさしさに満ちた一冊。読後、静かに「いい話だったな」と思える物語。 -
Posted by ブクログ
フィクションのようなノンフィクションのテイで読んでたら、、徐々に七瀬が暴走し始めて、こんな15歳居ないだろ、、と妙に冷めてきてしまった。
と思ったら、第二部では戻ってきた愛の復讐劇。
もうここからは、完全フィクションの世界で、読む手が止まらなかった。
疑心暗鬼の心理を巧みに利用しながら、相手の懐に入り上手く利用して。
でも結局七瀬は復讐して、、気は晴れたのかな。
「またね」の伝言で、何人も殺したサイコパスな彼女だけど、どうか幸せでありますように。ほっと安心できる居場所がありますように。
と、つい思った私は、もう彼女の手のひらで転がされてるのかな。 -
Posted by ブクログ
15歳の七瀬
歌舞伎町のトー横キッズ
15歳とは思えぬ強さで、飄々と生きている
近寄る大人も、周りのトー横キッズも、彼女には一目置いてる
悲惨な生い立ちでトー横キッズにならざるを得なかった彼女
集まるキッズたちも大人に買われながらも、家にいるよりも楽なんだろう
読んでいて、七瀬ほどの回転の早い子ならここから抜け出して生きる方法もあるのでは?と思ったりしたけど、世の中そうではなくなってるんだよね
悲しい日本……
ストーリーも面白く、サクサク読めた
でもスッキリするか?というと難しいなあ
これはハッピーエンドではないよ
謎が謎のまま回収されてない気がするのは読解力不足かな?(七瀬が奪ったデータの中身とか……)
半グレや政治家、出てくる割にはそう怖い世界じゃなく描かれている
というか、もう当たり前のように売春やホスト業界の闇が描かれている
映像化、あるのかな?
なかなかにハードな内容になりそう -
Posted by ブクログ
福井の田舎で起きた、高齢者ドライバーによる痛ましい事故。アクセルとブレーキの踏み間違いでコンビニに突っ込み、若者が命を落とす。ライターの俊堂は、高齢者ドライバー問題を追うルポとして現地を訪れるが、取材を進めるうちに、加害者が認知症を患っていたこと、そして彼が暮らしていた村そのものに、言葉にしづらい違和感を覚え始める。
事故を取り巻く状況には、小さな「おかしさ」がいくつも散りばめられている。それらは一つひとつは取るに足らないようでありながら、重なり合うことで疑念へと変わり、俊堂の心を静かに揺さぶっていく。これは自分の思い過ごしなのか、それとも見過ごしてはいけない何かなのか。取材者として、そして一人の人間として、どこまで踏み込むべきだったのかという問いが、最後まで付きまとう。
“真実を知ることが本当に正義なのか、誰かを守るために目を閉じることは許されるのか”その狭間で震える天秤の感覚だけが、読者の中に残る。俊堂の迷いや葛藤、判断の揺らぎには強い人間味があり、決して他人事として切り離せないリアルさがある。
やるせない事故であり、同時に社会のひずみを映し出す事件でもあるこの物語は、静かに問いかけてくる。「もし自分だったら、どうするだろうか」と。正義と良心の間で揺れる心を、否応なく見つめさせられる一冊だった。