染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル通り、“夫婦”みずいらずの情景を綴ったリレー形式の連作短篇集。9篇が収録されている。
読み始めてすぐに(これ、染井さんの本なの?)と違和感を感じた。なにしろ平和なのだ。どの作品もせいぜい言い争い程度の夫婦喧嘩しか起きない。まあ夫婦間のいざこざなんて今更読みたくもないが、こうもなにも起きないと逆に肩透かしを食らった感がある。
最後の1篇「シングル」はちょっとクセ球だ。なにしろ主人公は作家の染谷和人(笑)で、独身なのだ。しかも書かれているのが、この作品を書く前の編集者とのやりとりなどを含んでいて、正にぼくが思っていたとおりの内容だった。確信犯的に書かれた作品だったわけだ。納得である。