染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル通り、“夫婦”みずいらずの情景を綴ったリレー形式の連作短篇集。9篇が収録されている。
読み始めてすぐに(これ、染井さんの本なの?)と違和感を感じた。なにしろ平和なのだ。どの作品もせいぜい言い争い程度の夫婦喧嘩しか起きない。まあ夫婦間のいざこざなんて今更読みたくもないが、こうもなにも起きないと逆に肩透かしを食らった感がある。
最後の1篇「シングル」はちょっとクセ球だ。なにしろ主人公は作家の染谷和人(笑)で、独身なのだ。しかも書かれているのが、この作品を書く前の編集者とのやりとりなどを含んでいて、正にぼくが思っていたとおりの内容だった。確信犯的に書かれた作品だったわけだ。納得である。 -
Posted by ブクログ
この小説のような一つの物語を主軸として色々な視点から描き出される話は嫌いではない。特定の主人公がいない分、読者は客観的なスタンスを崩さず俯瞰できるのでこのような重い内容でも割とスラスラ読めるようになっている。というか最後のドタバタ劇があまりにも急ピッチすぎて面白くすら感じるが、これはチャップリンの(人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ)という言葉から着想を得た作者の意図したことらしい。まあ確かにそうなのかもしれないが、最後の方は登場人物が生きているというより操られている感じが強く、衝撃よりも(何やってんだこいつら)と若干引いてしまった感は否めない。ただ、話の構成としては面白かったの