染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ船橋が舞台のようでちょっと嬉しかったけど、なんとも印象の悪い取り上げられ方。笑
またしても生活保護の話で、ものすごく大変なお仕事だよなと胸を痛ませ、時にむかつかせながら読み進め。
最初からなんとも不穏な雰囲気で、主人公も母子家庭の親子(母親が鬱っぽい方)もきっと最後は救われるはずと読み進めたものの、なんと落ち切って終わるという…斬新…。全く救いがなかった。
最後はもはやドタバタ喜劇風で辛さを和らげてくれた感はある。
子供達以外は可哀想と思う面も多々ありながらも、ある程度のそりゃダメだろ感が強い面々。
自業自得と思うけれども、それは安全なところから眺めてるから言えることではある。
佐々木の言うとおり、環境が人を作るというのは大いに頷ける。 -
Posted by ブクログ
シングルマザー、結婚相談所、モンペ、カスハラ、宗教……。
「ああ、“今どき”がいっぱいの物語なのね。」
という始まり。
夫のDVを理由に離婚した亜紀は、結婚相談所で働いている。
「婚活がうまくいかない」と、執拗に亜紀につきまとう顧客・江頭藤子の対応に追われるさなか、ひとり息子・小太郎が通う小学校から、亜紀のスマホに着信が入る。
「小太郎くんが同級生に怪我をさせました」
その知らせを受け、亜紀は元夫のことを思う。
元夫も普段はおとなしく、暴力を振るった後は決まって泣いて許しを乞う人だった。
そしてその元夫は復縁を望んでいるようで、離婚後も何かと亜紀の生活に干渉してくる。
職場でもプライベートでも悩みの尽きない亜紀だったが、そんな彼女にとって唯一頼れる存在となっていくのが、職場の後輩で、お寺の息子でもある謙臣(けんしん)。
ひと回り年下の謙臣だが、何かと亜紀を気遣い、小太郎のこともかわいがってくれるようになる。
ラブストーリーのように進んでいく物語。
ところが、小太郎のクラスメイトが行方不明になったあたりから、亜紀の周囲で不穏な出来事が立て続けに起こり始める。
一方、小太郎の担任・長谷川もまた、保護者と学校との間に立たされ、心をすり減らす日々を送っていた。
前任の担任が、受け持ちの少女が行方不明となった直後に突然退職したため、その後を引き継いだだけの長谷川。
しかし、やがて彼の身辺にも、得体の知れない不穏な空気が漂い始める。
亜紀と長谷川に迫り来る恐怖の正体とは――。
……だんだんホラーになってゆく。
展開は面白い。
結末も面白い。
だけど。
子離れできない母親が、小学6年生の息子にチューを迫ったり、一緒にお風呂に入ろうとせがんだり……。
私も息子を2人育てたけど、小2でそれをやめた身としては、ちょっとキモイ。
著者さんの願望なのかな?
中学生になるから「お母さん」と呼ぼうとする息子に、「ママのままでいい」と言うのも、
うへー。
ってなる。
あ、私個人の感想です。
タイトルは『黒い糸』だけど、
黒い糸というか……グロい糸。
そして、ひとりだけ解決してない人がいる。
これって、第二弾ある系なのかな。
今年の19冊目 -
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主人公は2人。
1人は小学生の頃から成人するまで「ひきこもり」となった平本遼太。
息子の将来を考えた両親は、高額を支払って支援施設に息子を預けることを決心し、強制的に熊本にある研修所に入所させる。
もう1人はブラック企業で働き続けた結果心を壊し、20年前からひきこもり44歳となった大知。
大知は母親の下田幸子と二人暮らしだったが、やはり将来に不安を覚えた幸子は、なけなしの800万円を支払って支援施設に息子を預けることを決心する。
「自立支援センター」は名ばかりで、実態は暴力と恐怖によって入所者を支配するブラックな組織だった。
支援施設には遼太、大知の他に50代の竹之内、40代の亜弥子、20代の玲が入所していて、自由の無い囚人のような生活を強いられる。
施設長は辺見未知留という巨漢の女だ。
暴力を振るう彼女に飼育されて逃げる気力も失い、未来のない暗い生活が続く。
ある日、激しい雷雨があり、突如停電となり、暗闇になった居間でバサッという音と共に誰かが倒れた。
通電した居間の床には、頭から血を流した未知留が倒れていて、瀕死の状態だった。
5人はアイコンタクトによって協力し合い、息絶え絶えの未知留の息の根を絶った。
5人の犯罪は隠し通せるのか⋯
5人のその後の人生はどうなるのか⋯
施設の良心を信じきっていた大知の母親である幸子は救われるのか⋯
犯罪の後、大和が他の4人のリーダーとなり、5人の危うい生活が綴られる。 -
Posted by ブクログ
本作の肝は、引きこもりの青年・純が、仮面を被った瞬間に世直しユーチューバー「ジョン」へとガラリと変身してしまう、その「切り替わりのシステム」一点に尽きるように思う。
現実では部屋から一歩も出られない臆病な男が、仮面という免罪符を得ただけで180度違う人格へとスイッチする。解離性人格障害の疑いさえ頭をよぎるほどの劇的な変化だが、完全に病気とも言い切れないその微妙な境界線。その極端な変貌ぶりを、どこまでも客観的に、滑稽なものとして淡々と描き出していく。
この純のスイッチングに巻き込まれる悪徳業者の鉄平もまた、別の歪さを抱えた存在だ。子供の頃からいつも一人で、正しいことを何一つ教えられてこなかった彼が抱えるのは、あまりにも不器用で根深い孤独。そんな彼がネットの匿名性を相手に暴走していくプロセスは、純の「変身」とは対照的な泥臭さを持っている。
全体を通して軽妙なタッチでテンポよく描かれてはいるものの、その根底にある歪な「変身」や人間たちの境界線を、どこか一歩引いた目線で客観的に観察したくなるような、独特の距離感を持った作品だった。 -
Posted by ブクログ
ひととき、テレビによくでていた東横キッズといった未成年ホームレスに焦点をあてた本書。
この著者は社会問題をテーマにあげることが多く、ニュースに関心があるのであれば興味を持って読むことが出来る。
実際のところはわからないが、トー横キッズはこうやって生計を立てているのだろうと想像をさせられた。
巷には毒親や親ガチャという言葉が飛び交う。未成年が保護下を飛び出し早々に社会に出てしまうと悪い大人にうまく利用されてしまうのかもしれない。
少なくとも、怖いもの、危険なものを正しく判断出来るようにならなければ。
読みやすかったが、展開はそれほど捻ったものではなかった。生き延びた後の復讐劇がうまくいきすぎて後半はだれたため、星は3つ。 -
Posted by ブクログ
「高齢ドライバーの運転操作ミスによる事故」という、現代社会においての悲劇。本作はそれを入り口にしながらも、蓋を開ければ「埜ヶ谷村」という閉鎖空間に潜むドロドロとした因習の闇へと読者を突き落とす物語だった。
執念の取材の末に律が辿り着く真相は、私たちがニュースの報道から想像するような「分かりやすい構図」をあっけなく裏切っていく。
この重い着地を前に、律が下した選択に「正しさ」など存在しない。世間に公表すればさらなる破壊を呼び、胸に収めれば隠蔽の共犯者となる。どちらに傾いても救いのないその選択の重みを受け止めながら、彼の心の天秤は、これから生涯震え続けるだろう。
道中のサスペンスが非常にじっとりと緊迫感に満ちていただけに、この結末への収束の仕方は、読者によって少し好みが分かれるかもしれない。社会派ミステリとしてのスケール感を期待すると、終盤の着地がやや内向きで、こじんまりとした印象に映る部分もある。すっきりとしたカタルシスというよりは、どこか割り切れない余韻を静かに噛みしめるような幕引きだった。