染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作の肝は、引きこもりの青年・純が、仮面を被った瞬間に世直しユーチューバー「ジョン」へとガラリと変身してしまう、その「切り替わりのシステム」一点に尽きるように思う。
現実では部屋から一歩も出られない臆病な男が、仮面という免罪符を得ただけで180度違う人格へとスイッチする。解離性人格障害の疑いさえ頭をよぎるほどの劇的な変化だが、完全に病気とも言い切れないその微妙な境界線。その極端な変貌ぶりを、どこまでも客観的に、滑稽なものとして淡々と描き出していく。
この純のスイッチングに巻き込まれる悪徳業者の鉄平もまた、別の歪さを抱えた存在だ。子供の頃からいつも一人で、正しいことを何一つ教えられてこなかった彼が抱えるのは、あまりにも不器用で根深い孤独。そんな彼がネットの匿名性を相手に暴走していくプロセスは、純の「変身」とは対照的な泥臭さを持っている。
全体を通して軽妙なタッチでテンポよく描かれてはいるものの、その根底にある歪な「変身」や人間たちの境界線を、どこか一歩引いた目線で客観的に観察したくなるような、独特の距離感を持った作品だった。 -
Posted by ブクログ
ひととき、テレビによくでていた東横キッズといった未成年ホームレスに焦点をあてた本書。
この著者は社会問題をテーマにあげることが多く、ニュースに関心があるのであれば興味を持って読むことが出来る。
実際のところはわからないが、トー横キッズはこうやって生計を立てているのだろうと想像をさせられた。
巷には毒親や親ガチャという言葉が飛び交う。未成年が保護下を飛び出し早々に社会に出てしまうと悪い大人にうまく利用されてしまうのかもしれない。
少なくとも、怖いもの、危険なものを正しく判断出来るようにならなければ。
読みやすかったが、展開はそれほど捻ったものではなかった。生き延びた後の復讐劇がうまくいきすぎて後半はだれたため、星は3つ。 -
Posted by ブクログ
「高齢ドライバーの運転操作ミスによる事故」という、現代社会においての悲劇。本作はそれを入り口にしながらも、蓋を開ければ「埜ヶ谷村」という閉鎖空間に潜むドロドロとした因習の闇へと読者を突き落とす物語だった。
執念の取材の末に律が辿り着く真相は、私たちがニュースの報道から想像するような「分かりやすい構図」をあっけなく裏切っていく。
この重い着地を前に、律が下した選択に「正しさ」など存在しない。世間に公表すればさらなる破壊を呼び、胸に収めれば隠蔽の共犯者となる。どちらに傾いても救いのないその選択の重みを受け止めながら、彼の心の天秤は、これから生涯震え続けるだろう。
道中のサスペンスが非常にじっとりと緊迫感に満ちていただけに、この結末への収束の仕方は、読者によって少し好みが分かれるかもしれない。社会派ミステリとしてのスケール感を期待すると、終盤の着地がやや内向きで、こじんまりとした印象に映る部分もある。すっきりとしたカタルシスというよりは、どこか割り切れない余韻を静かに噛みしめるような幕引きだった。 -
Posted by ブクログ
著者はドラマや映画にもなった正体の作者ですね
非常に読みやすい文章で、映画を一本見るような感覚で読めました
舞台が歌舞伎町でトー横キッズなやヤクザなどの設定ですが、血生臭さやドロ臭さはないです
本当にラノベのような軽さはなく、ハードボイルドのような重さでもなく、ちょうど良い感じに流れるように読めました
少し引っかかったのは、主人公の七瀬が再び現れた時の美人設定 やはり美人でなくては成立しない話なのか?ということと、1人の人間の死による復讐劇ではあるものの身内を1人殺されたからという理由でこんなに人を殺しても良いのかという疑問
そして主人公がピンチに立った時、こんなに都合よく味方が現れるミラクル
現実的ではないけど面白く読める作品でした