染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレおもしろいし続きが気になるのでサクサク読めるが、読後感としては微妙な違和感が残った。
当時被災地の復興はテレビ越しで見ていて、復興支援金の不正利用事件についても知らなかったので、実話を元にしているという点では勉強になった。実際に無駄に使われてしまった復興支援金は多いんだろうなと思う。
震災の当日に生まれ、その日に両親を失った遺児に、明るい未来が訪れるようにとつけられた来未という名前が素敵。
遠田に悪役の要素を詰め込みすぎだと思った。特に、小児性愛者という要素が必要だったのかは疑問。島民が英雄と崇めるぐらいなので、一定程度復興に貢献していたはずだが、それが全部帳消しになるぐらいあまりに嫌わ -
Posted by ブクログ
復興支援金詐欺については、ニュースでちらっと聞いた覚えがある程度の知識しかなかったが、傷口に塩を塗る許しがたい犯罪だ。ボランティアに行った20歳の女性・姫乃が経験した被災後の様子が、生々しく真に迫る。ただ、姫乃は純粋無垢な女の子というイメージが湧かない。ボランティアに行く気概があるほど覇気があるようにも見えないし、騙されたとわかってからの島民への対応も腑に落ちない。
終わり方はエンタメ色が強い。盛り込んだ感がして私は好きではないが、来未の一言に笑みが溢れるラストだった。結局江村はなぜナナイロハウスへ行こうと思ったのかよくわからなかった。 -
Posted by ブクログ
海神
著者:染井為人
「災害は金になるってことよ」――。東日本大震災で被災した三陸沖の有人島、天ノ島に現れたNPO法人「ウォーターヒューマン」代表、遠田政吉。「復興のカリスマ」と豪語する彼は、見捨てられた島に支援隊を立ち上げ、救世主として君臨するが、復興支援金四億二千万円の横領疑惑が発覚する。地元出身の新聞記者、菊池一朗は、島を冒瀆した遠田の罪を追い、得体の知れない詐欺事件の解明に奔走する。デビュー作『悪い夏』や、映像化決定で話題の『正体』でブレイク中の著者が、圧倒的な筆致で人間の闇に迫る、興奮の感動巨編です。
この物語を通して、災害という非常事態が浮き彫りにする人間の本性が強く伝わりま