染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな染井先生の最新作。
今までの作品とは違う夫婦の愛のかたちを読みやすくサラッと描いた作品でとても面白かったです。
染井先生の作品はどれも大好きで大切にしていますが、本作は自分が年齢を重ねてもふとした時に読み続けていたいと感じる愛の本だと思います。
「おかしいのはどっち」、「薄情者」、「いつまでもあると思うな。妻と金」が特に好きです。
結婚をしなくてもいい現代で性格も、生きてきた環境も違う男女が生涯一緒に生きていこうと誓うことだけで凄いことなのだと改めて感じるきっかけをくれました。長く共に生きているとお互い色々なことがあって、相談しあい、考えあうと思いますが、夫婦生活は相手のほんの一部 -
Posted by ブクログ
ネタバレ泣きそうだった。あんた犯人じゃないんかい!
死刑囚が脱獄して逃亡する。戸籍も身分証もない。身寄りもない。そんな社会でお金を稼ぎながら、道ゆく人に、警察に、バレないよう暮らさなきゃいけない。そんな辛いことある?私だったら、労働する必要もない、ただ刑期を待つだけの暮らしの方が楽だしそうする。
でもやってなかったら。そして生きていきたかったら。
逃亡中にいろいろな出会いがあったね。恋もしたんだね。縋るような思いで、井尾に接近して。
『自分を褒めてやりたい』が、本当に切ない。よくやった!!!と私もあなたを褒めてあげます。
一気読みでした。 -
Posted by ブクログ
『正体』以来1年ぶりに手にしました。
この本を買った時は11月頭でしたが、いい夫婦の日前後に絶対読もうと積読してました(笑)
今回の『みずいらず』。家族・夫婦の温かさを描いてて、心地よかったと思います。
今回の短編集で(特に)奥さんが旦那さんに対して「離婚だ!」とか旦那の気持ちが分かりにくい…というような奥さんが秘めている黒い影が見えてくる。
長らく一緒にいると、相手のことがよくわからん!なんてことがあると思う。それぞれの登場人物達の考えてることをみると気づくことがある。
奥さんも旦那さんも、お互いに腹を割って話していないからだろうなって。相手に思い伝えたところで関係がぎこちなくなる恐怖 -
Posted by ブクログ
今までの社会派のミステリーとは全く違う染井作品だったが、とても良かった。
いろんな夫婦のさまざまなドラマを見た気分で、とても読みやすく簡潔にまとめられている連作短編集である。
「おかしいのはどっち」〜子連れで再婚した夫は次男が生まれてから長男にだけ冷たくなったと感じたのだが…。
「なぜ出ない」〜一回り年下の妻と不妊治療するのだが…なぜ冴えない自分を選んだのか…。
「プライドは富士山」〜妻から離婚を切り出されたが、プライドが邪魔して…。
「夫婦の再開」〜定年退職後、四六時中家にいる夫に鬱憤が溜まり…。
「薄情者」〜幸せな新婚生活のはずが、底抜けに明るい妻を疎ましく感じ…。
「交換日記 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一家3人を惨殺した容疑で死刑囚となった少年の脱走劇。
本当に彼が犯人なのか。
もう一気読み!
これから読まれる方はぜひ作者のあとがきまで読んでほしい。
冤罪で死刑宣告を受けた人も現実にいることを知ってほしくて、あのようなラストにしたと。
現代ではDNA検査など科学的捜査も進み、昔と違って自白が必ずしも有罪の決め手にはならないとはいうが・・(憲法38条で強制や拷問による自白は証拠とすることができないと定められているのですね)。
少年が逃亡先で出会う人たちとのオムニバス形式の物語一つ一つがとてもよかった。
中でも怪しい新興宗教に誘われてしまう田舎のパート主婦の話が好きだった。パート主婦のそ -
Posted by ブクログ
ネタバレ出たばかりの染井為人さんの単行本新刊。『悪い夏』『正体』など作品が映画化され、売れっ子になった彼の最新作なので、かなり注目して読んだ。
これまでとは全く趣が異なるハートフルな内容でした。
それぞれの章ごとに主人公が変わる…いずれにも夫婦のドラマがある…例えば、子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、終活、中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機などなど。これまでの染井さんの社会派ミステリー小説のように、人が死んだり、とんでもない悪人が登場したりしない(笑)
そして一つの物語に登場するサブキャラが次の話の主人公だったりするのが…やっぱり人や社会の絆を感じさせる。染井為人の新境地でした。
でも僕としてはわが