染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
先が気になってドキドキしながら次のページをめくる手が止まらない、そんな作品に久しぶりに出会えた。
もちろんこれがすべてではないが、歌舞伎町のリアルとその背景を端的に捉えた作品なのではないかと思う。漠然とネガティブなイメージだけを持っていた歌舞伎町という街に少し違うイメージを持つことができた。
騙し騙され、昨日の敵は今日という任侠の世界。安全な居所を失って集うトー横キッズたち。ホストと、それに貢ぐことによって危ない世界で稼がざるを得ない女性たち。
そのような様々な人たちが集う街では、良くも悪くも他人に興味も執着もないことが多く、その場の流れで人間同士もくっついたり離れたりを繰り返している。本作の主人公であるトー横キッズの女性もその一人。
しかし、あることがきっかけでその女性の知人のトー横キッズが命を落とす事件があり、そこから関係する大人たちに強烈な復讐心を持つことになる。
それは、人を蹴落として自分の利権を守ろうとしたり、平気で裏切りを働く大人たちに対する復讐だが、トー横キッズである当事者たちの背景事情を全く知らずにイメージで可哀想な人たちと決めつけていた私自身に対しても、刃物を突きつけられた(浅はかな考えに気づくきっかけとなった。)気分であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこういった小説では、最後の「取り返しのつかない事」が起こる前に犯人が逮捕され、周りの誰かに心に響くセリフを言われ、泣きながら果たさずに終わるという展開があるあるだと思います。
しかしながらこのお話しは、事件自体は考えうる最悪の形で幕を下ろしていますよね。
社会的にはこれは圧倒的に良くないことで、警察は無能だとたたかれるでしょう。
しかしながら、この展開で終着したことで、『鎮魂』という物語自体も完了したのだと考えています。
偉そうなことを述べましたが、天野=英介であることに全く気づかず、「天野英介」の文字列が出てきた瞬間には目玉が飛び出しました。 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日の東日本大震災を舞台に、生き残った人々と彼らを助けにきた「復興のカリスマ」との10年を何人かの目でつづる。
大震災の日に島で生まれた千田来未、新聞記者の菊池一朗、災害ボランティアの椎名姫乃、来未を出産で取り上げた堤佳代、時系列が行ったり来たりしながら復興支援金横領事件を物語る。
私たちも報道で目撃した凄まじい自然災害の中、この物語のような事件は大なり小なりあったのだろう。
そして本当の悪人以外にも、生き残るために良心を捨てた人もいたのではないか?
そういう人たちを私は糾弾出来るのか?
そんな時に良心を持ち続けるためにはどうしたらよいよかあ?
色々考えさせられました。
残念ながら悪人は必ずいるのだから。