染井為人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレついこの間と思っていたが、作中の「クラスター」「三密」などの当時を象徴する言葉に懐かしさを感じた。
コロナ禍での孤独や不安というあの時代に誰もが味あった共通言語が根底にあり、自分自身には無縁のはずの不正ビジネス、非行、詐欺などだが、より共感を呼び、物語に引き込まれた。
未婚のキャリアウーマンも挫折しかかっている優等生も業績不振の経営者も負のスパイラルに陥り、転落したり崖っぷちに追い込まれる。絶望感を通り超えて笑ってしまうくらい見事に…
普通の生活がいかに簡単に崩壊するのか?とか被害者と加害者の境界線の曖昧さにゾッとする。
三者が交錯する後半からはラストまでジェットコースタームービー(ちょっとス -
Posted by ブクログ
読み終わって最初に感じたのは、「なんだこれ…」という戸惑いだった。生活保護やシングルマザーを扱う物語であれば、制度の矛盾や現場の葛藤を掘り下げる社会派小説を期待する。しかし本作『悪い夏』は、まさに本作の謳い文句の通り「クズとワル」ばかりが跋扈するブラックコメディの様相を呈していた。
最初は“まともな人間”だと思って読み進めていた主人公・佐々木は、ひょんなことから破滅に向けて転がり落ちる。まさに闇堕ち。そして彼の周囲にいるのも、生活保護の不正受給者、子供を愛せないシングルマザー、地方に飛ばされたヤクザ、不正を働く同僚、不倫相手に恨みを抱く先輩など、一筋縄ではいかない人物ばかりである。共感できる