あらすじ
中学卒業と同時に親元から飛び出し歌舞伎町にたどり着いた15歳の少女・七瀬。わずか15年の人生で絶望を味わい、すべてをあきらめている七瀬にとって、歌舞伎町は唯一、心を安らげる場所だった。トー横広場で仲間とダベり、危ないバイトに手を出していくうち、歌舞伎町の闇社会や家出少女たちを食い物にしようとする大人たちとも関わっていく。そして事件は起きた――。社会派サスペンスの新鋭が描く衝撃の復讐劇。
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15才のトー横キッズ七瀬は、ヤクザから慈善団体PYPの不正記録データを盗むように頼まれる。それ自体には成功したものの、データによりPYPが現役都知事とつながっていると気がついたヤクザは、あっさりPYP側に寝返ってしまい、七瀬は命を狙われる。
その頃、七瀬の友達愛莉衣(らぶりい)はオーバードーズのため路上に虫の息でいたところ、トー横キッズ達から見捨てられ救急車も呼んでもらえずに息を引きとる。
愛莉衣を見捨てた者と、七瀬を殺しかけた者たちへの復讐が始まる。
若い女の子が、次々と復讐を遂げていくさまが痛快。
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なんか最近の作品がイヤミスっぽく感じてたけど、本作は暗いテーマでも、中心に少女の硬い決意が感じられて読後に清涼感がある。ノワールだけどさわやか。難しいか笑
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歌舞伎町、トー横キッズを舞台にした疾走感溢れる復讐ストーリー。
主人公は、幼い頃からネグレクトや実父からの性被害などを受け、歌舞伎町に流れ着いた七瀬。
1章は、15歳の七瀬がトー横キッズとして送る日々が描かれる。
ガールキャッチと薬物のお遣いでその日暮らしをしていた七瀬。
その日常は、ヤクザの矢島から持ちかけられたビジネス(PYPの潜入調査)と、親友・らぶりいのODによって一変する。
世の中を諦めているが、芯が通っていて、年齢に反して大人びて賢い。
でもやっぱりまだ幼く、知識もないゆえ感情が抑えきれなかったり、正解の行動がわからなかったりする。
そんな七瀬の人柄は非常に魅力的で、どんどん引き込まれていった。
七瀬は、大人達の企てによって存在を消させられそうになるが、恋人(?)の颯太によって助けられる。
2章では、そんな七瀬が5年後、愛という女性に姿を変えて実行する復讐劇が描かれる。
七瀬の消滅を企てた歌舞伎町の大人達の視点で物語は進む。
5年という月日の中で、顔が変わっただけでなく中身も成長した愛。
どんな生活を送ってきたのかは描かれていないが、きっとさっちゃん親子やコディが力を貸してくれていたのだろう。
知識も備え、まさに才色兼備となった愛もまた魅力的だった。
豊、浜口、池村、矢島、そして藤原。
一人ひとりにじわじわと接近し、復讐を遂げていく愛。
全員、その最期は意外と呆気なく、どこか物足りなさもあるが、そのシンプルさがスピード感を生み出して読みやすいのだと感じた。
半グレから抜けた颯太。
いつか七瀬にまた会えるその時まで、とラーメン屋の店主になったのは健気で可愛らしい。
七瀬も七瀬で、クロムハーツのジッポーを、周囲からは似合わないと言われながらも、「大切な人に貰ったものだから」と使い続けているのに、颯太の前では100円ライターを使用している。
颯太には幸せになって欲しいなあ。
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オーディブル視聴。
歌舞伎町を舞台にしたとある少女の復讐劇。染井さんの群像劇大好きなのでおおいに楽しみました。カタルシスを感じられるラスト、良かったです!!
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東横キッズのことはうっすらとしか聞いたことない。田舎に住んでると本当なのかな?と思うようなことばかり。なのでこの物語にあるようなことも実際あるんじゃないか?と思わせる。薬物で死んでしまったり、悪い大人に騙されたりとか。さすがに都知事や首相が絡んだりはないとは信じたい。15才で歌舞伎町に流れ着いた七瀬。友人の死、ヤクザとの関係、大人の事情でひどい目に遭う。颯太の存在に助けられた。そして数年後、七瀬の復讐は始まった。そこからは気持ちよく爽快感がある。新藤冬樹的なイメージだけどそれよりは弱いエンタメかな。
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トー横キッズとして危ない毎日を過ごす七瀬。半グレ、ヤクザ、危険なバイト…一時期よく見かけていた最近の歌舞伎町を舞台にいつもの染井ワールドが展開される。良くも悪くも「いつもの」個人的には安定した作風だった。
七瀬が殺されかけるところまではスリリングで良かったけど、後半復讐しまくるのはいいが、こんな簡単に次々と消していけるのは少し疑問。間の5年間も何していたか気になる。それを書かなかったからこそ得体の知れない不気味さが出せたのか…
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第一章から第二章までに5・6年の月日が経って、復讐を描く展開はすごくおもしろかった。しかし、この5・6年の間に七瀬はどう過ごしていたのかとか、友人との再会やそれぞれの復讐の結末などをもっと詳しく知りたかった。すごく好きな作風ではあった。星4.5
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2025.40
中学卒業と同時に親元から飛び出し歌舞伎町にたどり着いた15歳の少女七瀬。わずか15年の人生で絶望を味わい、すべてをあきらめている七瀬にとって歌舞伎町は唯一、心を安らげる場所だった。トー横広場で仲間とダベり、危ないバイトに手を出していくうち、歌舞伎町の闇社会や家出少女たちを食い物にしようとする大人たちとも関わっていく。そして事件は起きた――。
社会派サスペンスの新鋭が描く衝撃の復讐劇。
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いやぁ、最高!まさに私の大好物な物語!
序盤はいやな世界にモヤモヤさせられたり、ハラハラさせられたりしたが、七瀬の復讐が始まる後輩になるとスカッとさせられた。
15歳の家出少女の七瀬は歌舞伎町のトー横キッズ。誰にも興味もなく、心を許さない七瀬だったが、いくら邪険にしても自分にすり寄ってくる愛莉衣が死んだことから復讐の鬼となる。相手は半グレにヤクザ、都知事に総理大臣だ。何も持ってない七瀬がどうやってそれら巨大な力に立ち向かっていくのか。持っているのは強い心だけ。
それにしても嫌な世の中だ。立ちんぼにしろ歌舞伎町の現状にしろこの物語の中のフィクションの世界ではなく、ノンフィクションの世界なのだろう。明日の七瀬が現れて浄化して欲しいものだ。
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生きる意味など、最初から無いのですよ。
展開が早く無駄な描写もなく、中だるみすることなく、一気に読めた。
七瀬や愛が好みの人間かどうかで、この本を楽しめるかが分かれるだろう。
話としては面白かったが、話の設定に多少突っ込みたくなる私をお許しください。
途中まで、星3だったが、第一章が七瀬自身の目線で描かれ、第二章が、「愛」という女性を中心に、彼女を取り巻く人々の目線で描かれている。これがなかなかいいな、と思ったので星4とする。
↓以下ネタバレです
それでは、「突っ込みどころ」を記録しておく。
①七瀬が第一章で死んだら、この話が続かないので、助かったのは明らかである。
第一章の終わり、七瀬が九死に一生を得た時、焚き火の炎に七瀬が「溶けて消えた」の表現に正直ひいた。それまでは現実的描写ばかりだったのに。
②自称「怖いものがない」七瀬。怖いものがないその理由は、今までは命の保障がされていたから。しかし、生き埋めになりそうな時七瀬が恐怖を感じ「助かりたい」と思ったのは、復讐からではなく生物の持つ生存本能である。復讐は後付けの理由。
死にたくない、助かりたい、という生物としての本音を描いてほしかった。七瀬にそれを気づいてほしかった。
③愛莉衣を死に至らしめた関係者を復讐することで「生きる目的」とやらができた七瀬である。自分の命を危険に晒してまで復讐を誓うのであればよほどの絆があると私は感じるが、生前の愛莉衣と交流している七瀬に、そこまでの友情を抱いている描写がない。亡くなってから「大切な人だと気づいた」とのことだが、読者側に「確かに!」と思わせるようなエピソードがないため、その後の暗殺劇への展開が少々強引に感じられた。
④藤原都知事が歌舞伎町タワーに宿泊する際、セキュリティを気にしたが、支配人は「このフロアには、エレベーターは一般客は停まらない」と言っていたが、都知事たちはどうやってこの客室へ行ったのか?専用のエレベーターがあるの?
ツッコミはこれくらいにして感想は、、、、
颯太がヤクザを辞めてよかった
颯太のラーメン屋でタバコを吸う七瀬は、あのジッポではなく、百円ライターだったはず。そこがよかった。
百戦錬磨の大人たちが、コロっと簡単に罠に引っかかる。普段ならそんなことないんだろうけど、「自分の命が狙われている」という予感に現実が見えなくなり冷静さを失ってしまった。冷静を失うということは怖いことである。
シゲは最後まで客観的判断ができていたと思う。どうぞ、その後の人生も彼の納得のいく人生でありますように。無事でありますように。
最後に、心に残ったセリフを記録しておく。
「したり顔で道徳を説いてくる大人がこの世で1番嫌いなのだ」
「それ以来、表向きは安全な街になったんだけど、怖い男たちがいなくなったもんだから、半端者が幅を利かすようになっちまってさ、逆に秩序が乱れたんじゃないかって私は思うよ。だいたい浄化なんてしなくていいのよ。放っときゃいいの。綺麗にされちまったら生きづらくなる人間だっているんだもの」
「基本的に彼らと自分とでは心構えが違うのだろう。それは覚悟でも決意でもなくあきらめだ。まっとうな人生に対するあきらめ。」
「七瀬にはそれがこれっぽっちもなかった。だから怖いものがなかった。怖いものがないからこそ、平常心で明日を迎えられるのだ。」
「愛莉衣が死んだことで、自分には生きる目的ができてしまった。」
「生まれてきた意味などといったくだらない考えに囚われなくて済む。」
「母は現実逃避をして空想にすがる人だった。だから怪しげな宗教に入信し、執心してしまった。」
「過去と決別した七瀬にはあれがこうだったら、これがああだったらの”if"がないのだ。」
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歌舞伎町で繰り広げられるトー横キッズを主人公に描いた裏社会への復讐劇!
実在する東京の歌舞伎町が舞台なので、土地勘のある方はとくに楽しめると思う。
主人公の七瀬が15歳で人生の絶望を味わい、歌舞伎町で綱渡りのように生きて行く様子に、いつの間にか親心が湧いてしまった。ただ、生い立ちから現代に至るまでの人物描写が控えめで、七瀬に対して今一つ捉え所がなく、感情移入がしづらかった。
後半の復讐劇からは、奥田英朗さんの『噂の女』を彷彿とさせる。七瀬はあらゆる面で強運だったが、実際には、こうは行かないだろう。
所々、強引な展開が少し気になったが、エンタメ作品として、疾走感もあり十分に楽しめる作品だった。
これは良くも悪くも映像化に向いていると思う。
意識して作られたのかな?と感じる程だった。
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歌舞伎町が舞台のストーリー。
私は行ったこともない歌舞伎町だが、その街のリアルってこんな感じなのかなというのがありありと想像できる話だった。
とはいえ後半はあまりにも現実味がなく、フィクションとしては楽しんで読んだ。
前半は15歳で家出した七瀬がトー横キッズとして過ごす話。
後半は、その5年後の話。
七瀬が怖いもの知らずなのと、後半は七瀬本人ではなく周囲の人々の視点で話が進行するので、展開は面白いがいまいち緊迫感に欠ける印象だった。
愛が復讐を決行していくのだが、淡々と読めてしまった。
描かれていない5年間で、七瀬に一体何があったのか。
彼女にとっては悲願の復讐を達成できて満足なのか。
幸せではなかった彼女の人生を思うと、何とも言えない気持ちになる。
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最後のなんでうまくいったん?
薬は、舐めるだけでガチきくん?
うまくいきすぎ。
整形いっぱいしたん?
でも、歌舞伎町にいる若い子達を少し考えるきっかけになりました。
横のつながりが気になる。
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最近「新宿鮫」もなかなか出てこないしちょっと新宿ネタに惹かれて読んでみた。
自分は新宿で仕事をしていた時代や、もっと遡ると学生時代に乗り換え駅だったので良く歌舞伎町で飲んだなぁ。
ここに書いてあるような「トー横キッズ」はいなかったような気がするが、今は年齢層が下がっているのか、はたまた見えないところにヤクザ屋さんが闊歩しているのか、昔以上に危険な街なのでしょうか。
「不夜城」では中国人が危なく描かれていたけど、まぁドラマになりやすい街なんでしょう。
主人公の女の子は埋められそうな状況からうまく逃げ出して数年後に復讐を成し遂げる。この小説の内容は映画にもできないような危険な話が多いので、仮想的に小説で体験するという意味で面白い。
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面白いんだけど、あまりに簡単に復讐するもんだから、そんなにうまくいく?どうやってホテルにもしのびこめたのか…とか多分整形してる?など細かい描写がなくどんどん殺していくもんだから。あっさり読めちゃったかな
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歌舞伎に集まる少年少女・トー横キッズと七瀬が関わりを持つところから物語は始まる。七瀬と親しくしていたラブリーの死から一変して、復讐劇の幕を開けた。
七瀬が生き埋めになりそうなシーンにはこっちの息が止まりそうだった。一糸纏わぬ姿で逃げたあとどうなった?どこで衣服を手に入れた?些細なことでも気になってしまう。
第2部は巧妙な復讐劇が繰り広げられた。5年前に復讐を誓った七瀬は謎の女・愛へ生まれ変わり、1人ずつその息の根を止める復讐劇を繰り広げていった。愛の仕掛けた罠に捕まっていく様はこの物語の一番の見所だと思う。あまりにも話がうまく行き過ぎじゃないか?と思うところはあるけれど、悪いやつはヤッつける!勧善懲悪上等!って感じが小気味いい。最後には全部うまくいって、愛も逃げ果せて万々歳。けど、愛は本当にこれで良かったの?復讐を果たした後に生きる意味は見出だせるの?この先長い人生何を支えにして生きていくの?と、愛のこれからについてつい思いを巡らせてしまった。
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歌舞伎町のキッズが主役で読みやすい、けどそんなに怖さはなかったかなと個人的には
あの街で本当に幸せな人なんていないのかもしれないな、だから余計に大切な一つが際立つんだろう
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日本一の歓楽街『歌舞伎町』。昭和終わり頃の大学入学時、「六大学野球の後はコマ劇場横の池に飛び込むのだ」と聞いた(教えられた?飛び込んだことないけど)。大学1,2年の頃の飲み会は歌舞伎町が多かった気がする。そして3年以降は徐々に高田馬場からの移動が面倒くさくなり、歌舞伎町からは足が遠のいた(馬場でそのまま飲んでしまう展開)。東京から離れた僕にとって、ゴジラヘッドのある今の歌舞伎町はもう知らない街だ。
などと自分勝手なノスタルジーに軽く浸りながら読んだ。
第一部はまあ在りがちな歌舞伎町物語?な感じ。しかし、第二部の疾走感あふれたエンタメに一気に引き込まれた。第二部は細かく語らずグイグイくるところがよい。このあたり、余計なグダグダ説明をしないことの効果を学ばせてもらった感じ。
ビジュアル化に向いていそうなので、(実写)映画化されるかも。
歌舞伎町、上京の機会があれば、ふらふらと歩いてみたい気もする。
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面白かった。
オーディブルだったから、(名前の漢字表記がわからないけど)七瀬がホテルに雇ってもらって、いきなりVIP対応の係は、ホテル王のさっちゃんの義理弟のおかげ?
さっちゃんのジャンヌダルクの所以は?
資金の出処は?
とかいろいろハテナ?と思うところはあるけれど。
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染井為人さんの、「正体」が読んだ時とにかくピリピリして楽しかった。
それと比べてしまうと、少し下がるけど、十分面白かった。
欲を言えば、後半は正体がわかってからのやり取りが欲しかった。
Posted by ブクログ
トー横キッズは、結局傲慢で自己満の大人が作り出しているんだと思う。悪意も善意もその子達にとって無意味。
七瀬が生き延びてから、愛になるまでどうやって生きてきたのか気になったが、そのストーリーがないからミステリアスでテンポよく進んだのかと思う。黒人の男とばあさんがいい味出してる。
Posted by ブクログ
歌舞伎町で生活する東横キッズをモチーフにした染井作品。
15歳の冷めた女の子が主人公となり、歌舞伎町での東横キッズの暮らしぶりを描きつつ、主人公の周りにはヤクザ、胡散臭い団体、ぼったくりバーのオーナー、刑事など色々な人たちが出てくる。
そして、ある日事件が起き、その復讐のために主人公は動き出すというストーリー。
東横キッズの日中の過ごし方やお金の稼ぎ方など問題がわかりやすく描かれていて勉強になります。
暴力的ではあるがある種スカッとする内容でおすすめの一冊です。
Posted by ブクログ
歌舞伎町で生活するトー横キッズを主人公にした復讐譚。主人公の七瀬の性格が良いですね。
序盤から中盤までかなり伏線を散りばめていて期待が持てるのですが、回収の描写が物足りなかった印象。もう少しカタルシスが欲しかったです。