無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが殺された。警察は暴力団や半グレ同士の抗争と見て捜査をはじめるが、それを嘲笑うかのように次々にメンバーが殺害されていく。疑心暗鬼になっていくメンバーたち。そして、犯人を持ち上げるSNSの住民たち。犯人の正体はいったい……。大ベストセラーになった『悪い夏』やドラマ化、映画化などで注目を集める『正体』の著者が「都会の闇」に斬り込む傑作社会派サスペンス。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
世間を騒がせている半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが次々と殺害されていく。
警察が組織間の抗争と見て捜査を進める中、それを嘲笑うかのように仲間たちが疑心暗鬼に陥っていく様子から最後まで目が離せない。
従来のヤクザ組織とは違い、SNSや個別の利害関係による「横の繋がり」で成り立っている半グレ集団。その「正体がハッキリしない」不気味さや、統率がないからこそ一度狂った歯車が止められない恐怖が実にリアルだ。
「奴らを潰すなんて本当にできるのか」というもどかしさの中、追いつめられていくメンバーたちが、外では冷酷な連中でありながら、家に戻れば「家庭人としての素顔」を覗かせるのが何とも残酷で胸を締め付ける。人を傷つけておいて自分は安寧な家庭生活を送ろうなんて虫が良すぎる。そう頭では分かっていながらも、崩壊していく彼らの姿には複雑な人間ドラマの深みがある。
また、本作は現代のネット社会の歪みをも鋭くえぐり出す。悪の世界に足を踏み入れるのも、YouTubeで視聴者を増やしたい、イイねを欲しがるといった、承認欲求なのだと思い知らされ、背筋が凍る。
さらに胸に突き刺さるのは、警察の描写だ。全般的にどんな事件でも犯人を捕まえることばかりに重点を置き、かつての被害者たちの方を向いていない組織の疲弊と限界が見えてくる。
「復讐は鎮魂の儀式か」その問いの果てに待っていた結末を静かに読み終えたとき、悪の根は結局断ち切れないのではないかという絶望感とともに、「鎮魂」というタイトルがどこまでも空しく響き渡る。
読後も重厚な余韻がいつまでも消えない、今の時代を切り取った傑作サスペンスだろう。
Posted by ブクログ
染井為人さんの『鎮魂』を読んで、「舐められたくない」という歪んだプライドが、いかに大切なものを壊してしまうかを痛感しました。凶徒聯合の男たちが家庭や平穏を失っていく姿は、あまりに皮肉で虚しいものでした。死や破滅を前にしたとき、彼らが必死に守ろうとした虚勢や面目は、結局何の役にも立たなかった。
小さい頃、父にお風呂で「邪魔なプライドは捨てた方がいい」と言われたことを思い出します。大人になり、社会に出てからも、意地を張ったせいで人間関係がうまくいかないことは多々あります。もし彼らが一瞬でも自尊心を捨てて人の痛みが分かり大切な人を優先できていたら……。凄惨なエピソードの数々に、守るべきものの本当の優先順位を突きつけられた気がします。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。