ジャック・アタリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ禍の執筆であり、主に感染症と人類の関りについて。「新しい世界」観は本著ではあまり語られないのが残念である、というのと、読書をした現時点では、既に「新しい世界」にいるはずだが、日常生活においては、体感的にコロナ前との大きな差がない。歴代の感染症ほどのインパクトは回避できたために、大きく変わらなかったという見方もできるのかもしれないと、本書を読んで感じた。
ー 166年のローマでは、アントニヌスの疫病と言われる感染症(おそらく天然痘) が20年以上続いた。251年、キプロスの疫病という新たな疫病により、ギリシャとイタリアの都市で暮らす人々が、またしても犠牲になった。541年ペスト菌を保有し -
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Posted by ブクログ
海外の有識者2人への個別インタビューに対して、国内の有識者2人が討論するという面白い構成。
各国のコロナ対策の是非、ロシアのウクライナ侵攻に対するスタンスなど、インタビューを掘り下げていくと、有識者によって意見の食い違いがあることが分かり、国籍や立場によって複雑な事情があることを理解した。
SNSやデジタル技術によって、人々が「単純化」された理論への志向が強くなり、少しでも異質なモノを見つけ次第排除しようとする傾向は、私自身も含め危惧している。リアルの交流が減ると、ついつい異質な他者を排除できるからだ。ただし、同じ価値観を共有できるほど、社会が単純ではない。
人間は不確実で不完全な生き物。理解 -
3.4 (5)
Posted by ブクログ
ウクライナ危機後の世界
以前読んだウクライナ紛争とは別の論考で非常に興味深い論考でした。
特に印象深いのはこのウクライナ紛争が民主主義の衰退を表している、コロナとウクライナ紛争による脱グローバリゼーション
、世界的インフレなど今問題になっていることが取り上げれている。また国際政治情勢も非常に理解できます。
ただ、一つ驚きが結構日本を美化しているのはちょっと驚いてます。
ここにかかれている今後起きる問題を日本の政治家や日本人がどれだけ理解しているかが心配です。
ここにあげられている方はかなり有名なので、興味ある方は読むことを薦めます。
私はジャックアタリの本は結構すきです。
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読後の感想ですが、正直8割くらいの中身は頭の中に残りませんでした。第1章は世界の動向についてかなりのトピックを網羅しながら、次から次へと数字が紹介されますが、まるでAIがネット上から数値を集めて書いたような無機質な文章でした(これはアタリ本人が書いたのではなく、アシスタントが数字を集めて書いたか、本当にAIに書かせたのではないでしょうか)。第2章の解説にきて、ようやくジャック・アタリの匂いがしてきます。つまりアタリ本人の主張が明確になるということで、ここは興味深く読みました。そして3章になると、また数字の羅列がはじまり、無機質な文章が始まりますが、2章の主張も織り交ぜながら、という意味ではまだ
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3.4 (5)
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ユヴァルノアハラリのコメント、信用の喪失による文明の崩壊。戦争が起こり、国内でも国家間でも様々な場所で信用が喪失し、不信感が広がっているように思える。この意味は深い。戦争により、他国に対する信用が低下すれば、一国だけでは対峙できないような、核問題、遺伝子操作、食料問題、貧困問題、AI技術や温暖化対策など、あらゆる問題について、今より協調路線が後退する。プーチン大統領が勝てば、軍備拡大競争が激化する。活路は、プーチンが負ける事。
善悪二元論では語らず、ロシアにはロシアの理屈があるとティモシースナイダー。ロシアとウクライナが一つの国民、民族に戻るべきだというプーチンの幻想。しかし、やはりここでも -
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経済、医療、農業、政治、環境、テクノロジー、金融等々、現状の把握と2030年の予測をする。
明るい未来もあるが、かなり危機的なシナリオも考えられると言う。
未来をつくるのは我々だし、その負の側面を回避できるのも我々だ。
危機的なシナリオとして、
2030年、民主主義に対する批判の声は次第に高まり、ついに民主主義は否定される。なぜなら、民主主義は意義を失い、市場は制御不能に陥るからだ。
たとえば、民主主義の社会では、長期的な課題に対処できない、不人気な決定は下せない、技術進歩を一部の人のためにしか利用できない、気候変動に対処できない、移民を制御できない、社会の調和を保てない、国民の声を広く反映 -
3.4 (5)
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大野和基 / アンデシュ・ハンセン / ロルフ・ドベリ / ジャック・アタリ / ネイサン・シュナイダー / ダニエル・コーエン / ダグラス・マレー / サミュエル・ウーリー / ターリ・シャーロット / スティーヴン・マーフィ重松4.0 (2)
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ネタバレ<目次>
プロローグ試される自由の価値
1アンデシュ・ハンセン デジタルツールが蝕む心身
2ロルフ・ドベリ ワクチンの普及で世界は団結せよ
3ジャック・アタリ 国民の命を真央る経済へ
4ネイサン・シナイダー 地域間の雇用を守る協同組合のあり方
5ダニエル・コーエン 経済的な基盤を失た人たちの怒り
6ダグラス・マレー 移民は有史以来、最大の複雑問題
7サミュエル・ウーリー 無秩序な陰謀論がなぜ拡散されるのか
8ターリ・シャーロット ポピュリストは人々にコントロール感を与える
9スティーウブン・マーフィー 困難を乗り越えるハートフルネスの力
全体主義・非科学の暴走を止め -
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情報を伝える媒体であるメディアの歴史を紐解いていき、現在のSNSの台頭による消費者の媒体に対する時間の変化、さらには未来までの考察を500ページ強で書いている本。
第10章までは過去の歴史を紹介しており、特にヨーロッパを中心とした、メディア変遷の歴史背景、王族や貴族などのヒエラルキー上位の情報統制の様子などを様々な参考文献から引用したと思われる事実ベースの内容を記載している。
11章から13章は現在のSNSに関する内容や、今後のメディアのあり方などをまと目てくれており、過去の歴史を紐解いても、現在メディアで起きている内容は技術進歩によって大衆が個のコミュニケーションをできるようになった時間軸の