あらすじ
【内容紹介】
ジャック・アタリ氏が放つ「海の歴史」。
「海には、富と未来のすべてが凝縮されている。海を破壊し始めた人類は、海によって滅ぼされるだろう。われわれは海を熟考しなければならない。(中略)人類史上の重要な出来事の舞台は常に海なのである」(イントロダクションより)
歴史、政治、文学、経済、文化、産業、軍事、テクノロジーなど、海は、人類に欠かせないあらゆるものを生み出してきたとアタリ氏はいいます。
「時空を超える壮大な世界観の歴史書」を堪能ください。
【著者紹介】
ジャック・アタリ(Jacques Attali)
1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)卒業、81年フランソワ・ミッテラン大統領顧問、91年欧州復興開発銀行の初代総裁などの、要職を歴任。政治・経済・文化に精通し、ソ連の崩壊、金融危機の勃発やテロの脅威、2016年の米大統領選挙におけるトランプの勝利など的中させた。林昌宏氏の翻訳で、『2030年ジャック・アタリの未来予測』(小社刊)、『新世界秩序』『21世紀の歴史』、『金融危機後の世界』(いずれも作品社)、『アタリの文明論講義:未来は予測できるか』(筑摩書房)など、著書が多数ある。
[翻訳者]林昌宏(はやし・まさひろ)
1965年名古屋市生まれ。翻訳家。立命館大学経済学部卒業。訳書にジャック・アタリ『2030年ジャック・アタリの未来予測』(小社刊)、『21世紀の歴史』、ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』、ボリス・シリュルニク『憎むのでもなく、許すのでもなく』他多数。
【目次抜粋】
イントロダクション
第一章 宇宙、水、生命
第二章 水と大陸:海綿動物から人類へ
第三章 人類は海へと旅立つ
第四章 櫂と帆で海を制覇
第五章 石炭と石油をめぐる海の支配
第六章 コンテナによる船舶のグローバリゼーション
第七章 今日の漁業
第八章 自由というイデオロギーの源泉としての海
第九章 近い将来:海の経済
第十章 将来:海の地政学
第十一章 未来:海は死ぬのか?
第十二章 海を救え
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Posted by ブクログ
海に関するあらゆることを掻き集めた力作。地球誕生から現在並びに未来予測。
改めて日本は世界的視野で問題解決、特に環境保全に対する本気度が不足していると痛感。不甲斐ない。
フランス人の視点を学ぶのは新鮮でとても有意義。
Posted by ブクログ
海洋を軸とする地球の歴史、人類の歴史。
フランスの7回の挑戦失敗。後半は海の環境問題、海運、漁業経済の考察、気候変動や生物多様性問題などに関する提言。
Posted by ブクログ
海を思わせる鮮やかなブルーの装丁に惹かれて、書店で思わず手に取った一冊。しかも、著者はジャック・アタリ。で、これならと即買い。(アタリでなくても多分買ったと思うけれど)
宇宙と水の誕生から、大航海時代を経て、コンテナの出現と現在の漁業に至るまで、海のこれまでを総括して、その上で問題提起と提言。正直、宇宙の誕生からヒトの誕生まで取り上げた最初の二章は、ワタシの装丁買いは“アタリ”ではなくて、ハズレだったかと思ったのだけれど、人類が船を作り出して海に進出し始めた第三章から、ワタシの読書航海も無事軌道に。そこから第六章まで、視点を海に置いて世界史を眺めてみると、これまでと少し違う風景が見えてきた。
そして、著者の問題提起や提言については…と進むのが多分まっとうなブックレビュー。でも、それは何だか嘘っぽいので、提起や提言より印象に残った2点を。
一つ目は、「デジタル経済の大企業や起業家は海よりも宇宙に夢中になっている」という著者の指摘。ワタシもどちらかと言うと宇宙好きなので、この指摘にはプラスチックバットで後頭部をコツンとやられた気分。「持続的な利益が将来も海で生じることに、彼らはまだ気づいていないのだ」という指摘を、お年玉で話題のあの人はどう受け止めるのだろう、などと若干ミーハーな思いが頭をよぎった。
二つ目は、これまでの歴史の中で、フランスは海洋大国になるチャンスを7度も逃したという指摘。いや、指摘というか、これは完全にdisっているとしか言いようのないレベル。海洋大国として覇者になった英国やオランダと比較して、いかにフランスがイケていなかったかという話を実に7回も。自分の国だから言えるということももちろんあるのだろうけれど、もう笑ってしまうくらいしつこくdisっているところが本書の読みどころ…と思えるくらいでないと、本書の面白さは2割減ではないかと。