あらすじ
【内容紹介】
2050年、世界はどうなっているのか。私たちはそれまでに何をすべきなのか。
2023年~50年の世界を大胆予測する。
【著者紹介】
[著]ジャック・アタリ(Jacques Attali)
1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)卒業、81年フランソワ・ミッテラン大統領顧問、91年欧州復興開発銀行の初代総裁などの、要職を歴任。
政治・経済・文化に精通することから、ソ連の崩壊、金融危機の勃発やテロの脅威などを予測し、2016年の米大統領選挙におけるトランプの勝利など的中させた。林昌宏氏の翻訳で、『2030年 ジャック・アタリの未来予測』『海の歴史』『食の歴史』『命の経済』(小社刊)、『新世界秩序』『21世紀の歴史』、『金融危機後の世界』、『国家債務危機一ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』『危機とサバイバルー21世紀を生き抜くための(7つの原則〉』(いずれも作品社)、『アタリ文明論講義:未来は予測できるか」(筑摩書房)など、著書は多数ある。
[訳]林 昌宏(はやし・まさひろ)
1965年名古屋市生まれ。翻訳家。立命館大学経済学部卒業。
訳書にジャック・アタリ『2030年ジャック・アタリの未来予測』『海の歴史』『食の歴史』『命の経済』(小社刊)、『21世紀の歴史』、ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』(いずれも作品社)、ボリス・シリュルニク『憎むのでもなく、許すのでもなく』(吉田書店)他、多数。
【目次抜粋】
親愛なる日本の読者へ
はじめに
第一章 概念
欲求と願望
稀少なモノとは何か
労働と生産
分配と交換
第二章 歴史
支配と予測
儀礼秩序
帝国秩序
商秩序──九つの「形態」、九つの「心臓」、九つの危機
商秩序の取扱説明書 第一の「形態」と「心臓」──ブルッヘ(一二五〇年~一三四八年)
第二の「形態」と「心臓」──ヴェネツィア(一三四八年~一四五三年)
第三の「形態」と「心臓」──アントウェルペン(一四五三年~一五五〇年)
第四の「形態」と「心臓」──ジェノヴァ(一五五〇年~一六二〇年)
第五の「形態」と「心臓」──アムステルダム(一六二〇年~一七八〇年)
第六の「形態」と「心臓」──ロンドン(一七八〇年~一八八二年)
第七の「形態」と「心臓」──ボストン(一八八二年~一九四五年)
第八の「形態」と「心臓」──ニューヨーク(一九四五年~一九七三年)
第九の「形態」と「心臓」──カリフォルニア(一九七三年~二〇〇八年) 第九の「形態」の危機──(二〇〇八年~二〇二三年)
第三章 現在──二〇二三年
今日の世界
環境問題
今日の「心臓」
今日の「中間」
今日の「周縁」
第四章 商秩序の一二の法則
第五章 二〇五〇年ごろ──三つの袋小路
第一の袋小路──第九の「形態」の維持
第二の袋小路──一〇番目の「心臓」と「形態」
世界の他の主要な地域はどうなっているだろうか
第三の袋小路──「心臓」のない一〇番目の「形態」
一〇番目の「心臓」でも「《心臓》なき《形態》」でもなく
第六章 二〇五〇年ごろ──三つの致命的な脅威
第一の脅威──気候
第二の脅威──超紛争
第三の脅威──人工化
第七章 急旋回
「形態」なき「心臓」──「ポジティブな社会」と「命の経済」
急旋回のための手段
独裁あるいは民主主義
結論 今の自分に何ができるのか
学ぶ
予見する
行動する
謝辞
訳者あとがき
原注
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
壮大なタイトルがイメージするほど、難しくもなく分量もコンパクトにまとめられているが、一ページ毎に読み応えのある内容が散りばめられている。とりわけ、2050年に向けての致命的な脅威として、気候、超戦争、人口化をあげており、これらの脅威にどう向かうかあらゆるコミュニティで議論すべきだと言う。自分毎として考えてみると、日々のニュースの見方も変わるだろう。面白い本だった。
Posted by ブクログ
経済学=希少なモノの生産、所有、交換、管理の学問 未来に役に立たない
偽りのノーベル賞=経済学賞 経済学≠「世界の取扱説明書」
世界を形成するのは 慣行(常識)と歴史
11世紀~ 帝国秩序から商秩序へ 9の「形態」と「心臓」
1.ブルッヘ 1250‐
すべての「心臓」(中心都市)は欠乏の産物である
2.ヴェネツィア 1348-
権力を確約してくれる軍隊を維持する資金を工面できなくなると心臓は疲弊する
3.アントウェルペン 1453-
心臓はエネルギー、コミュニケーションのイノベーションで権力を把握する
4.ジェノヴァ 1550-
心臓になるには金融と資本の仕組みを熟知しなければならない
5.アムステルダム 1620-
心臓の成功条件の一つは外国からの人材、商品、アイデアに開放的であること
6.ロンドン 1780-
権力者であっても、商品や実業家が必要とする自由を抑制することはできない
7.ボストン 1882-
心臓が権力を握るのは、サービスをモノに変化させることによる
8.ニューヨーク 1945-
何かを売るには、需要喚起と資本調達のす術を学ぶ必要がある
9.カリフォルニア 1973-2008- 危機へ
「形態」の移り変わりにより、工業製品はサービスを代替し、自然を人工化する
商秩序の 12の法則
1.商秩序の2つの重要側面 資本主義と国家 儀礼秩序と帝国秩序が発展を妨げる
2.心臓を中心に形態をつくり出す 富の生産のための若者が必要
3.形態の主人公は自由と民主主義を必要とする 自身の利益を守る法の支配
4.心臓が衰退するのは永遠の繁栄を信じ、計画や未来分析、若さ、防衛を失ったとき
5.心臓と形態の終焉に先立ち、貨幣価値が激減、金融市場が崩壊
6.新たな計画に優秀な人材と資本が集まるイノベーションの場が新たな心臓になる
7.これまでの九つのテクノロジーの誕生により「形態」と「心臓」が誕生した
8.形態が移り変わるたびにサービスと自然の人工化が進行、集団向けから私有材へ
9.労働 権利 教育 寿命改善、自由化、信仰より理性、富の分配より市場と民主主義
10.境界のない市場は国よりも優位に
11.目先の利益を擁護、生産物の多様性増、富の集中、人類の環境破壊と資源枯渇
12.心臓の地位維持には 環境の尊重、自己特徴、長期計画、防衛の術の習得
2050年 「心臓」なき「形態」へ ~富の蓄積をつかさどるのは依然として商秩序
三つの袋小路
①アメリカの第9の形態は失敗し、
②第10の形態が中国に登場し、サービスを個別化する新たなツールが導入
しかし、心臓の移動では解決できない激震に見舞われる
③心臓のない、市場が世界を支配する商秩序の試みも失敗する
3つの致命的脅威
①気候 :干ばつ、森林火災、海面上昇、サンゴ礁死滅
②超紛争 :資源、食料、富、領土、独立、征服、信仰対立、移民
③人工化 :健康管理、教育、情報、人間関係、権力(規範と管理)
「形態」なき「心臓」への急旋回 →「世界の取扱説明書」づくり
1.合理的な利他主義への行動
2.死の経済の製品排除:将来世代と自然を毀損する生産活動
3.命の経済の発展 :将来世代の役に立つ生産活動 今日GDP50%未満→80%
共有材化 教育と医療を商業的消費に向かわせない規制
命の経済へのテクノロジーへ継続投資と 税制含む価格設定
過去に大改革を断行したのは独裁政権・・
Posted by ブクログ
サステナ的な話はよく聞くが、こんなことになってるのか、、、と衝撃を受けた
分かっていても自己都合を優先してしまい滅びの道へ向かってしまうんだろーなと感じつつ、ブロックチェーン等のテクノロジーを活用して環境に配慮した行動を正しく評価し、矯正していくしかないのかなと感じた
あと、最初に定義される言葉がずっと後半に出てくるが、その言葉の定義が難しい
Posted by ブクログ
難しくてわかりにくい。
新たな資本論的な立ち位置になりたいほんなのかな?
前半の歴史の説明もわかりにくい。心臓ってなにを表してたの?経済とか社会の中心的な意味だろうけど、説明あったか?
後半の今後のためにどうするべきかって所は人間本位過ぎな感じがした。皆んなで頑張れば皆んなが助かるよ!って感じだったけど、皆んなは助からないと思う。
将来のためにこうしましょう!って言うだけ言うやつ。「言い出した」って役割をこなしたから後の「大変な実務」はお前らやれよって感じてしまった。
Posted by ブクログ
フランスで要職を歴任し、思想家としても有名なジャック•アタリ氏による歴史解釈と未来予測を綴った本です。
年末は今年起きたことを整理し、未来はどうなるか考える良い機会なので、その一助になればと本書を手に取りました。2050年の世界の状況に関する予測とその基となる考え(「心臓」と「形態」)について説明しています。著者は、今から30年前でも現在起こっている多くのことを予測できたため、今から25年後の世界を予測することも十分に可能としていますが、この点は個人的には疑問です。例をあげると、人口動態から中国が発展し、アメリカとある程度摩擦が生じることは予測できたかもしれませんが、自身が覚えている範囲では、二十年ほど前まで、多くの専門家の間では資本主義と一党独裁は相いれず、中国は西側寄りの国になると予測されており、米中の衝突が先鋭化することについては、意見が割れていたと思います。そのため「当たるも八卦」の予測部分より、その予測の根拠となる考え方に注目しながら、本書を読みました。
著者は、各時代の商業秩序を「形態」、その中心となる都市を「心臓」として捉え、それらの歴史的な変遷や将来の展望について論じています。「心臓」については、13世紀のブルッヘから現在のカリフォルニアまで9つの都市があげられていますが、次の「心臓」は分からない(若しくは、ないかもしれない)と書かれています。著者が定義する「心臓」は必ずしも、物理的な都市に限らなくても良いと思うので、ネット上の一部の空間が「心臓」になる可能性も論じて良かったのではと思いました。
結局、次の「心臓」も「形態」もわからないということなので、この考え方は過去の歴史を整理するには興味深い視点を与えてくれるものの、未来を予測する際に著者自身が十分に活用できていないように感じました。ただ、著者が警鐘を鳴らす3つの脅威(気候、紛争、人工化)が高い確率で顕在化するのは、その通りだと思うので、これに対して学び、予見し、行動するべきと言う著者の意見には同意します。
Posted by ブクログ
新たな洞察を期待したが、予測可能な人口動態をベースにした未来予想かカーボンニュートラルへの方針やエネルギー対応を多めに語るので、どこかで聞いたような一般論や通説という感じである。取扱説明書というには言い過ぎな気もした。ただそうした反復学習も重要だと思うので、価値のある読書。世界を学び直す。
ー 気候変動の影響により、GDPは10%~35%減少する恐れがある。とくに、今日の首都ジャカルタの40%は水没するかもしれない。そこで、インドネシアは、ボルネオ島に新たな首都を建設中だ。このヌサンタラ(「群島」)と呼ばれる新首都の完成予定は、2045年だという。フィリピンの人口は1億6000万人を超すだろう。フィリピンは、アジア第4位の経済大国(世界第19位)になるだろう。海面の上昇により、フィリピンの沿岸部(住宅密集地)も水没する恐れがあり、ベトナムにおいても、「米蔵」であるメコンデルタのコメの収穫量が減少する見込みだ。
こんな感じ。ジャカルタの地盤沈下や首都移転は既知の事だし目新しさはない。フィリピンの経済成長は確かに高いが、出稼ぎ依存に対して、政治的な安定性がいつまで保てるか。
ー ロシアが三つに分裂することさえ考えられる。すなわち、ヨーロッパ、中国、イスラム世界で、ロシアが三分割されるのだ。地球温暖化によって永久凍土が融解すると、何千年間も閉じ込められていた数百万トンのメタン(一〇〇ギガトンの二酸化炭素に相当)が大気中に放出される恐れがある。気候変動による大惨事を避けるには、われわれはあと五〇〇ギガトンの二酸化炭素しか排出できない。また、永久凍土の融解により、地中で長年眠っていたウィルスが大気中に放出される恐れもある。海面は、この融解だけで一•センチメートル上昇するだろう。この地域に暮らす数千万の人々に被害がおよぶのは、指摘するまでもない。
ー 日本は、将来的に核保有国になるはずだ。二〇五〇年の人口は一億四〇〇万人くらいになる(二〇二二年はおよそ一億二三〇〇万人)。六五歳以上の割合は人口の三七・五%、八〇歳以上は一五・七%、三〇歳未満はわずか二三・二%だ。現役世代の人口は、およそ三分の一に減る。人口の高齢化にともない貯蓄残高が減少するため、投資能力も低下する。外国からの直接投資額は、すでに対GDP比で1%弱になっている。このままでは、二〇五〇年の公的債務残高は対GDP比で三二〇%以上になる。よって、日本のGDPの成長率は低迷し、一人当たりのGDP は、世界第二六位まで下落するだろう。海面の上昇、沿岸部の浸食、台風の傾向の変化により、少なくとも四〇〇万人が水害の犠牲になる。世界第六位の温室効果ガスの排出国である日本が二〇五〇年までにカーボンニュートラルを達成したとしても、気候変動の影響を蒙ることは間違いない。
本旨と関係ないが、それより何より、表紙のジャックアタリの顔のインパクトが大きい。夢に出そうな占い師の風体である。
Posted by ブクログ
著者の過去の作品と同様に過去の歴史から現在、未来へと綴っていく構成となっている。
2050年の未来を気候、超紛争、人工化という三つの脅威とし、詳細が数値化されている為、より一層、脅威に感じる。
それを回避する為の手段がタイトルの世界の取扱説明書となっている。
これを読んで、自身で何か小さい事でも行なうきっかけにしたい。
Posted by ブクログ
2024年41冊目。満足度★★★☆☆
知の巨人のジャック・アタリの本は過去に何冊か読んだことがあるが、本書が一番ピンとこなかった
翻訳の問題なのだろうか。理解力の問題なのだろうか