中野剛志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『経済はナショナリズムで動く―国力の政治経済学』(2008年、PHP研究所)の加筆修正版です。
著者は、東日本大震災によってネイションへの共感、同朋意識が高まったことを受けて、危機を克服するために健全なナショナリズムにもとづく「国力」をただしく理解するべきだと主張しています。さらに、グローバル経済に抗して、経済ナショナリズムの立場からケインズ主義的な政策を擁護しています。
近年になって、戦後民主主義を牽引してきた丸山眞男は国民国家論者として、また大塚久雄は国民経済論者として、厳しい批判を受けています。他方で、彼らの思想はむしろ保守の立場からこそ、戦後民主主義という現代のわれわれの直下にある -
Posted by ブクログ
「保守」が新自由主義と結託している現状を「保守」の混迷とみなす著者が、イギリスの詩人であるコールリッジの政治経済思想の再評価をおこなうとともに、著者自身の考えるほんとうの「保守」像を論じている本です。
本書における新自由主義に対する批判には、説得的だと感じたところもすくなくはないのですが、たとえばマルクス経済学者でありながらハイエクの思想の積極的な側面を評価する松尾匡が述べていることと共通するところも多く、この議論だけでは「保守とは何だろうか」という問いをタイトルに掲げる理由にはなりえないように思います。
他方、本書の「序章」には、1958年に丸山眞男がおこなった「政治的判断」という講演に -
Posted by ブクログ
有意差 釣鐘状 社会通念上 近代イデオロギーが生み出しているタブー そう、「私が言ってるんじゃなく、実験データが言ってるんだから」って開き直れる。それがサイエンスの魅力でもあると思います。 外見こそ情報のかたまりである 迷妄 人間の世界も、「他者のリソース(資源)を奪う」という点では攻撃性が持つ意味は同じです。 惹起じゃっき 不安感情を抑える脳内物質セロトニンの合成能力が、女性は男性の三分の二ぐらいしかないのです。 シャーデンフロイデ=メシウマ感情=他人の不幸で飯がうまい=他人の不幸は蜜の味 類似性と獲得可能性 陰惨な権力闘争 近代的人間観を覆す鼎談ていだん 包含 人間は生物学的にナショナリズ
-
Posted by ブクログ
「グローバル資本主義によって経済は成長する」と信じられてきましたが、実際のデータを客観的に眺めてみれば、真実はまったく逆であって、「グローバリズムは成長を鈍化させる」
グローバル資本主義を推し進める人々は、ビジネスに自由さえ与えれば富も雇用も創出され、最大限の成長があると信じてきた
アメリカにしても日本にしても「国による産業保護」という規制が成長を生ん
アメリカが、実は世界で最も強力な産業政策を行っているのです。インターネットにせよ、半導体にせよ、航空機にせよ、研究開発を支援したのは国防総省や軍などの政府機関
グローバリズムは国境を前提にしないものであって、国境が存在することを前提とした上で、 -
Posted by ブクログ
『政治の世界には、確かに、利害の対立や妥協がつきものである。しかし、政治には対立や妥協があるからこそ、議論が行われるのであり、言論の自由が意味をもつのである。
もし、関係者の間に対立や妥協がなく、すべて、規則に従って官僚制的に事を運べばよいのであれば、そもそも言論が自由である必要などない。政治的な対立や妥協がなく、不確実性のない統治体制とは、自由なき官僚制的支配にほかならない。』
思っていたより抽象的な議論。ウェーバーがどうとかが読みたかったわけじゃないんだよなぁ〜。
官僚による官僚制の否定が官僚化をより強固なものにし、自由な民主国家を弱め国力の弱体化を招くロジックが、本当に正しいのか良 -
Posted by ブクログ
7名の方々がTPPについて反対の方向で書いているので、合意に至ってしまった現在、どうなっていくのか非常に気になる。
また、新聞・マスコミが取り上げる内容がいかに偏っているかを改めて認識。一般市民が得られる情報って限られるので、「興味を引くための内容」を掲載するのではなく、「国民が知っておくべき内容」を載せて欲しいものです。
個人的には、
・施 光恒さんの「棲み分け型の多文化共生」という考えが好き。
各国、各地域毎にそれぞれ自前のやり方があり、それらを尊重しながら、各国と交流する。良いところは積極的に学んで自国に合うように翻訳して還元する。
・やはり「日本良さって何だろう?」ともう一度考え直し -
Posted by ブクログ
――――――――――――――――――――――――――――――
国家の富強こそが、政府の財源の本質である。159
――――――――――――――――――――――――――――――
コールリッジは言う。国家とは、穀物の山のような、個人の単なる集合体ではない。かといって、国家は、有機的生体のように、全体がすべてで、個人を国家全体の中に埋没させてしまうようなものでもない。国家とは、無機物と有機体の中間にある概念である。すなわち、個人は国家の一部でありながら、同時に個人としても存在しうる。そういう個人が「国民」であり、そういう国家が「国民国家」なのである。
それと同じことを説明するため、コールリッジは「常 -
Posted by ブクログ
TPP参加が、わが国の国益に深刻なダメージを与えるという危惧を、各種のデータを示しながら論じた本。
日本の関税障壁は、すでに韓国やアメリカよりも低く、TPPに参加して「開国」しなければならないという意見は当たらないと、著者は論じています。また、日本経済の最大の問題はデフレであり、TPP参加による貿易の自由化は、むしろデフレを加速させる恐れがあると語られています。
構造改革の必要性や財政赤字の縮小などといった、常識として受け入れられている議論が、じつはそれほど自明のものではないという主張も展開されており、私自身はその真偽について判断することはできませんが、こうした意見もあるのかと、興味深く読 -
Posted by ブクログ
トリレンマ理論では、国際的な資本移動の自由、為替の安定、各国の金融政策の自律性の3つを同時に確保することはできない。戦前の金本位制では、為替を固定し資本の移動を自由にする代わりに、各国の経済政策は自由にできなかった。この体制下で第一次グローバル化が起きたが、国民生活が不安定になった。戦後のブレトンウッズ体制では、ドルで為替を固定し資本の移動を制限する代わりに、各国の経済政策を自律的に行えるようにした。70年代以降にドルが弱くなると、この体制を維持できなくなった。ニクソンショック以降は、為替の安定化をあきらめる代わりに、金融政策の自律性と資本の移動を認める体制になった。途上国は投資を呼び込むこと
-
Posted by ブクログ
以下まとめ
政府の考える意義
1.経済効果の側面
2.外交戦略上の側面
TPP参加国は小さい国(GDPは日米で9割)⇒実質日米FTA
最終消費地であるアメリカの消費の落ち込み⇒従来までの貿易構造は破綻(グローバル・インバランス)
アメリカの輸出倍増計画の目的
1.グローバル・インバランスの是正による世界経済の再建(互恵的)
2.国内雇用の拡大(利己的)
TPP参加 アメリカの目的
⇒利害一致国と協力した、日本市場の開放に伴う輸出増
経常収支とは
⇒黒字:貯蓄>投資 赤字:貯蓄<投資
⇒経済成長という観点でみれば、それ自体に適切な水準はない。
デフレとは
⇒需要不足・供給過剰が続く