佐藤正午のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
単行本が1998年刊なので約20年前の作品ですが、本作の中核を成す超常現象および、SF・ミステリを前面に出しつつ実は恋愛小説だったという体裁から考えると、直近の直木賞受賞作『月の満ち欠け』と相似形をなす作品となっているように感じました。
本作の読みどころは構成の上手さです。北川健に起きる事象自体は、先行作品もありさほど目新しいものではありませんが、それに付随する伏線、登場人物各々の背景およびそれらが明らかになる過程が非常に凝っていて面白かったです。バックギャモンを人生になぞらせるくだりのように、本筋とは関係ないところで時折出てくる小ネタも味がありました。
星を一つ減らしたのは、第九章で顕著にみ -
Posted by ブクログ
皆さんが第1,2章が読み難いと書かれていたので、多少構えて読み始め、そのお蔭で分かり難くはあったが面食らわずには読めた。
そして確かに読み終えると、と言うか私の場合は読んでる途中でもだったけど、そこに戻ってくる。
しかし、そうした変わった構成だけで読ませた訳ではないですね。
読んでる途中から、何だかミスリードされているのではないかという疑心暗鬼と言うか違和感のようなものがずっと引っ掛かっていて、読み終って最初の章に戻っても、「ブルー」という別に書かれて今回一緒に収められた、一種の完結編のようなものを読んでも、その印象は残る。
変哲の無い、読みようによっては陳腐なお話しを、含みを持たせて一筋縄で -
Posted by ブクログ
佐藤正午に二人のライターがメールによるインタビューを試みるという企画。
数年にもわたるこの企画が書籍化されたのがこの本。
ものすごく面白かった。なんど顔がにやけてしまったか。
でも基本的には人にはお勧めしない。
正直、佐藤正午ファンではないければ全く面白くない。
彼の本を読んだことがなければちんぷんかんぷんだろうし。
逆を返せば、佐藤正午ファンは間違いなく楽しめる。
「ほえ」って使うんだ、リアルで。
津田伸一ってやはりまんま佐藤正午!?
もうこの「ほえ」だけでツボ。
でもね、多分みんな疑ってると思うんだけど、この二人のライターは本当に存在しているのか?
佐藤正午がでっちあげたライターに、ま -
Posted by ブクログ
佐藤正午の人参倶楽部を読みました。
地方都市のスナックを舞台に透明な筆致で描かれた恋愛の物語でした。
真夜中のスナックで妻子がいるのに、ときどき女の子と付き合っているスナックのマスターが主人公です。
不倫に疲れた女、冗談だけの小説家、来るはずのない女を待つ男といった人物たちがマスターとたわいもない会話をしていくなかで、それぞれの人物像が浮かび上がってきます。
それぞれの登場人物の視点で、思い通りにいかない恋愛の物語が語られていきます。
マスターの人間的な魅力にひかれて彼らはスナックに集まってくるのでした。
最後に登場する主人公の妻の描写が特に秀逸だと思いました。 -
Posted by ブクログ
「小説の読み書き」というタイトルからだと「ああ、小説の書き方みたいな本かなぁ」と思うのだけれども、その実は至極まっとうな文藝評論集でした。
文藝評論、いや、評論というジャンルは、評論のとっかかりが身近であればあるほどいいもんだと思います。そうじゃないとどうなるかと云うと、テレビに出ておいしいもの食べて、なんやかコメントを言う、悪しき「評論家」像に近づいていってしまう。「うまーい!」だの「まったりとしていてそれでいて生臭い」だの言うだけでお金がもらえる職業が評論家だと思われると困っちゃう。
そうじゃなくて、評論家だってなんらかの視点やものの考え方を読者に与える存在であっていいはづで、そ