佐藤正午のレビュー一覧

  • アンダーリポート/ブルー

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    皆さんが第1,2章が読み難いと書かれていたので、多少構えて読み始め、そのお蔭で分かり難くはあったが面食らわずには読めた。
    そして確かに読み終えると、と言うか私の場合は読んでる途中でもだったけど、そこに戻ってくる。
    しかし、そうした変わった構成だけで読ませた訳ではないですね。
    読んでる途中から、何だかミスリードされているのではないかという疑心暗鬼と言うか違和感のようなものがずっと引っ掛かっていて、読み終って最初の章に戻っても、「ブルー」という別に書かれて今回一緒に収められた、一種の完結編のようなものを読んでも、その印象は残る。
    変哲の無い、読みようによっては陳腐なお話しを、含みを持たせて一筋縄で

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    2015年10月03日
  • 書くインタビュー 1

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    佐藤正午に二人のライターがメールによるインタビューを試みるという企画。
    数年にもわたるこの企画が書籍化されたのがこの本。

    ものすごく面白かった。なんど顔がにやけてしまったか。
    でも基本的には人にはお勧めしない。
    正直、佐藤正午ファンではないければ全く面白くない。
    彼の本を読んだことがなければちんぷんかんぷんだろうし。
    逆を返せば、佐藤正午ファンは間違いなく楽しめる。
    「ほえ」って使うんだ、リアルで。
    津田伸一ってやはりまんま佐藤正午!?
    もうこの「ほえ」だけでツボ。

    でもね、多分みんな疑ってると思うんだけど、この二人のライターは本当に存在しているのか?
    佐藤正午がでっちあげたライターに、ま

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    2015年10月07日
  • 人参倶楽部

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    佐藤正午の人参倶楽部を読みました。

    地方都市のスナックを舞台に透明な筆致で描かれた恋愛の物語でした。
    真夜中のスナックで妻子がいるのに、ときどき女の子と付き合っているスナックのマスターが主人公です。
    不倫に疲れた女、冗談だけの小説家、来るはずのない女を待つ男といった人物たちがマスターとたわいもない会話をしていくなかで、それぞれの人物像が浮かび上がってきます。

    それぞれの登場人物の視点で、思い通りにいかない恋愛の物語が語られていきます。
    マスターの人間的な魅力にひかれて彼らはスナックに集まってくるのでした。

    最後に登場する主人公の妻の描写が特に秀逸だと思いました。

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    2014年09月26日
  • 取り扱い注意

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    佐藤正午の取り扱い注意を読みました。

    主人公の鮎川英雄は「女をとろけさせ、夢中にさせること」という特技を持っています。
    市役所の職員として複数の女と遊びながら過ごしていた英雄は、姿をくらましていた叔父の酔助が現われたことにより無謀な計画に加担することになってしまいます。

    佐藤正午らしい語り口と物語展開でおもしろく読みました。

    英単語のボードゲーム、スクラブルが物語のキーになっていてその点も面白いと思いました。

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    2014年06月28日
  • 小説の読み書き

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    情けない話、ここで取り上げられている小説の過半数は未読なんだけど、ちょっと読んでみたくさせるような、そんな書評的ニュアンスもある作品。でもそれ以上に、物書きの観点に触れられるのが醍醐味で、なるほどそういう見方も楽しそうだな、って思わされることもしばしばだった。どうせ読むなら味わい深く楽しみたいし、その道標になりそうな内容でした。

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    2014年02月05日
  • 永遠の1/2

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    瑞々しい文体が細部まで行き渡ってて気持ちいい!たまたま主人公と同じ歳にこの作品と巡り会えたことを運命に感じる。

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    2014年01月18日
  • 5

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    作家 津田とそのまわりの変わった女たちの話。津田は彼女らに何を求め、逆に彼女らは津田に何を求めているのか。最後に彼のまわりに残る女とは?

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    2013年11月09日
  • 5

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    最低な男なんだけど、なぜかモテるし。
    なぜか理解者も多い。
    上手く生きられない男のお話。
    読み終わってみればどうってことない話なんだけど、読んでるのは面白かった。

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    2013年09月25日
  • 人参倶楽部

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    スナックってあんまり行ったことないけど、BARは好き。
    で、バーテンダーとかマスターとかって、もうちょっと真面目よ。
    この人ったら、女たらしで、一見いい人そうだけど最悪な男だなって思った。
    まあ、そういう人も中にはいるってことかな~

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    2013年08月26日
  • 小説の読み書き

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    「小説の読み書き」というタイトルからだと「ああ、小説の書き方みたいな本かなぁ」と思うのだけれども、その実は至極まっとうな文藝評論集でした。

     文藝評論、いや、評論というジャンルは、評論のとっかかりが身近であればあるほどいいもんだと思います。そうじゃないとどうなるかと云うと、テレビに出ておいしいもの食べて、なんやかコメントを言う、悪しき「評論家」像に近づいていってしまう。「うまーい!」だの「まったりとしていてそれでいて生臭い」だの言うだけでお金がもらえる職業が評論家だと思われると困っちゃう。
     そうじゃなくて、評論家だってなんらかの視点やものの考え方を読者に与える存在であっていいはづで、そ

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    2013年07月03日
  • 小説の読み書き

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    小説や文章の解説、というよりは現役作家による感想文、という印象を受けた。

    堅苦しさもなく、話題にされているのは有名な小説ばかりなので楽しんで読めた。

    筆者のユーモア溢れる感想文の数々を面白がりながら読むのがこの本の正しい読み方だと思う。

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    2012年10月28日
  • 小説の読み書き

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    佐藤正午という小説家が読んだ本について小説家的に語るというものだが、評論家ではなく小説家だというところに面白さがある。取り上げられている小説は歴史的な著名作家の小説ばかりだが、佐藤正午はある意味自分勝手に好き勝手にこれを題材として書いている。本の解説でもないので、これを読んだからといってその小説がわかるわけでもなく、私自身はこれらの小説をほとんど読んでいないか忘れてしまっているが、佐藤正午という作家の面白さがよく出た本になっていると思う。

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    2012年09月01日
  • きみは誤解している

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    競輪というギャンブルにかける、あるいは振り回される様々な人間の小説。競輪をまったく理解しない私でも付録と称される解説小説が最後についている。それで競輪の知識があがるわけでもないが。6つの小説のそれぞれタイトルが秀逸。ギャンブラーがいいそうな、少々芝居がかった、自分のことを夢見心地でみているような、そんな話にぴったりのタイトル。語り口のテンポのよさも佐藤正午ならでは。

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    2012年06月23日
  • きみは誤解している

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    佐藤正午が競輪好きなことは「side B」から知ったのだけど、これは競輪を題材にした6つの短編集。
    作者は佐世保だけど、私は長崎に住んでいた頃、もう50年程前になるけど、造船所勤めの伯父に連れられて競輪場へ行ったことがある。今は競馬ばかりで、競輪は観たい番組がない時に大きなレースをやっていれば観る程度だけど、別に競輪も嫌いな訳じゃなく、私のこういうもの好きはその頃にルーツがあるかもと思ったりする。
    その割に博才無いこと甚だしく、わざわざ当たり馬券を外して買ってるような結果には、我ながらよくも続けているもんだとうんざりするが、来週になったら、今度こそ当たる様な気がするんだよねぇ、これが。最初の話

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    2015年10月03日
  • 5

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    平成の時代にもこんな文壇と、いかにも文学者然とした文学者がいたらほんとに楽しいだろうなあ、と、実に愉快な気分で読めた作品。

    太宰治や吉行淳之介の作品も、現役の頃はこんな風に(当時の人に)読まれたんじゃないだろうか、と想像してしまう。「文学」の気分に浸れるのは、島田雅彦の作品以外になかなかない。

    続編と書かないのかなあ…。

    【追記】
    2011年秋にも思わず再読。愉快、愉快。

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    2012年01月08日
  • 小説の読み書き

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    小説家はどんなふうに読み、また書くのか。
    近代日本文学を代表する小説家たちの作品を書き写すように読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考えるユニークな文章読本。
    読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。
    こんなふうに読めば、まだまだ小説だっておもしろい。

    [ 目次 ]
    川端康成『雪国』
    志賀直哉『暗夜行路』
    森鴎外『雁』
    永井荷風『つゆのあとさき』
    夏目漱石『こころ』
    中勘助『銀の匙』
    樋口一葉『たけくらべ』
    三島由紀夫『豊饒の海』
    山本周五郎『青ベか物語』
    林芙美子『放浪記』
    井伏鱒二『山椒魚』
    太宰治『人間失格』
    横光

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    2011年04月24日
  • 5

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    緻密な無駄の無い文体で最後まで一定の温度感で語られていた。
    あまりにも遠く鼻が高い主人公に最後まで追いつくことが出来なかった。流れていく物語も低音で変化があまりなく、感情を揺り動かされるという場面も無かった。まぁ、そういうタイプの本ではないのは明らかだが。
    だから、物語に入り込む時間や集中力が続かず、少しずつ短距離走を長距離走のモチベーションで走りながら読んだという具合。
    果たしてこの本が何を表現したいのか最後まで理解することも出来なかった。変な話だが、読後の何かから解放されたような浮遊した感覚だけが残った。分からない。

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    2010年03月18日
  • リボルバー

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    著者はあとがきの冒頭に「これはサスペンス小説である」と書いています。でも、何だか気だるいのです。まあ、佐藤正午が書けば、サスペンスもこんな雰囲気になるのかな。
    競輪と酒場で暮らす蜂矢と新青年という二人組みの扱いが変わっています。主人公にニヤミスはするのだけれど、決して交わらない。そんな怠惰で刹那的な二人組みを敢えて登場させたがために、全体がぬるい雰囲気になっています。ガチガチのサスペンスにはしない。そこが佐藤正午らしいところなのでしょう。

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    2016年07月31日
  • 取り扱い注意

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    「三つ数えたら明りを落とす
     それから百数えないうちにそこに迎えにいく」
    ビルの下にいる私に誰か、そう声をかけて降りて来て下さい!

    「女を蕩けさせ夢中にさせる」才能がある男・鮎川英雄
    蕩けさせるって凄いですよね それもダイレクトに身体を蕩けさせる能力であり更に凄い!

    本書には、スクラブルと言うゲームが登場します
    あのクロスワードパズルみたいなゲーム それも英語です
    英雄は会話のなかで日本語に訳した英語のことわざ、みたいなのを常に入れていて意味が所謂、教科書の言葉みたいなのが入ってトンチンカンにな空気を作りだす
    そこが洒落ている

    って言うか、実際にはそんな奴絶対いない!
    万が一いてもただの

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    2009年11月08日
  • 小説の読み書き

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    日本近代文学の基本を押さえておかなくても小説が書けるということがよくよくわかる一冊。誤読もあったりして、それを追記でフォローしたりしていておもしろい。感想文エッセイ集といった雰囲気で読みやすい。ちょこちょこクスクス笑いもできるし、いい本だと思います。まあ、選ばれている作品や作家にを多少なじみがあれば、きっと楽しめるはず。

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    2011年09月03日