佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが…
結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指 -
Posted by ブクログ
「熟柿」…「じゅくし」と読むことをこの本で知った
27歳のかおりは、酔って寝ている夫を助手席に乗せ運転中、人をはねる
轢き逃げの罪に問われ、服役中に出産
子どもはすぐに引き離され、離婚した夫に引き取られる
会いたい一心でいろいろ行動を起こすものの…
全ての歯車が合わない
とにかく読んでいてそう感じた
あの時ああしていれば、、、の繰り返し
出てくる登場人物が、危うい人が多い
なんで鶴子と縁切らないんだろう
かおりは凄いな
ただいつか息子に会うためだけに、ひたすらに働いて毎日を生きている
そうして気づいたら44歳
「柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある…」
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Posted by ブクログ
帯の書店員さんのコメント通り、「読み終わった後、しばらく他の本を読みたくなかった。」
それぐらい、引き込まれて圧倒された小説。
今年のNo.1かも!
一つの理由として、主人公が息子を産んだ年に近い時期に私も息子を出産したこと。幼稚園、入学式といった子どもの成長、東日本大震災やコロナの時期も息子と拓くんの成長が被る。自分が産んだ子どもに、出産後ずっとずっと会えない、写真すら見れず、近況もわからない。主人公の気持ちを想像すると…。
出産を控え、新車を買い、親戚に祝福された幸せな人生が、一夜にして激変した。自分や周囲の人間の人生をメチャクチャにした重すぎる罪の刑に服し、出所した後のかおりの記憶の