佐藤正午のレビュー一覧
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ネタバレ轢き逃げ事件をきっかけに人生が転落していく女性「かおり」を描いた物語。
千葉で服役中の彼女は刑務所内で息子を出産するが、事件当時に助手席で眠っていた夫から、「母親が犯罪者の子供と、母親に死なれた子供と、どちらが不幸か考えてみろ」と告げられ、離婚を迫られる。
息子は夫に引き取られ、かおりは絶望の底へと突き落とされる。
出所後も、一部の親戚や友人の支えはありながら、「犯罪者」というレッテルによる世間の厳しい視線に晒され続ける。
息子に会おうとしては警察に連行されるなど、母親としての想いすら許されない日々の中で、彼女はただ静かに生き続けるしかない。
唯一の希望は、いつか息子に会えること。
その願 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初の物語の気味の悪さが、読み進めていくとなぜか消えていた。そしてなぜかかおりさんを応援し始めている自分がいたことにも読み終わるまで気づかなかった。元夫に腹が立ち、咲ちゃん教えてよ!と焦ったくなっていた。でも現実世界にやっと戻ってくると、自分の思考の不気味さにゾッとした。かおりさんは轢き逃げ事件の加害者であり、離婚した子どもに勝手に会える権利を持っていない。現実世界でそんな人がいたら、私はきっと腹が立つだろう。子どもの気持ちや元夫の気持ちを考えろと思うだろう。なのに小説の世界にいる間は全く気づけなかった。なんでかおりさんは会っては行けないの?生みの親なのに、こんなに愛しているのにと思っていた。
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ネタバレ【audible】
初っ端の田舎の親戚のお斎のシーンから徐々に不気味な雰囲気に沈んでいく。
孤独死した叔母が大切にしていたという柿の木。お斎の席で好き勝手にもいで食べたりする親戚たち。生前、叔母は柿をどろどろに熟すまでとっておいてそれを吸って食べるのが好きたったらしい、なんておぞましい響きなんだろ。
そこから帰りの車で走る雨の夜道、不明瞭な暗い道と主人公かおりの何となくの不安さや心細さがすごくリアル。
不運から罪を犯してしまった主人公の人生を辿る物語。ただただ同じ母親として読みながら、自分ならかおりのように顔も見たことない息子のために直向きに生きていけるのか。
鶴子ちゃん、もいい味出してる。嫌 -
Posted by ブクログ
激しい雨の夜に起きた轢き逃げ事件をきっかけに、人生を大きく狂わせていく女性・かおりの物語。服役、出産、息子への思い、そして過去から逃れられない苦悩を通して、人が犯した過ちと、その後をどう生きるのかを描いた長編小説。
面白かった。けれど、読み終えてすぐに「面白かった」とだけ言ってしまうには、あまりにも重い物語だった。
主人公のかおりの選択には、何度も「なぜそちらへ行ってしまうのか」と思った。すべてに共感できるわけではないし、正しいとも思えない。それでも読み進めるほどに、彼女を完全には突き放せなくなっていく。人は追い詰められた時、いつも正しい道を選べるわけではない。弱さや執着や後悔を抱えたまま -
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ネタバレ本の感想の星基準
★ ・・・読む気が失せた、途中でやめた
★★ ・・・無理して読み終えた
★★★ ・・・読み終えて、感情が無
★★★★ ・・・読み終えて、良かったなと思う
設定は良かったが物足りない
★★★★★・・・すごく良かったなと思える
読み終わって最初に思ったのは、タイトルの改修がすごくいいなと思った。
熟柿の意味は、熟れた柿だけではなく
熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つことという意味もあって、
市木さんが、息子に会えるのを待つ
土居さんが、市木さんに振り向いてもらえるのを待つ
この2人に向けた言葉で、本当に最後報われてよかっ -
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今年読んだ本で一番感動した。
熟柿:熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと。
柿の実が季節になれば熟すように、物事の成就には適した時期がある。その時が自然に訪れるのを気長に待つ、待ちの時間が必要な時もある。
最近、「人生は長距離走」という言葉を聞いたけど、長期戦を覚悟で辛抱強く人生を生きることの大切さを改めて感じた。
ずっと会えなかった息子。何度も失敗したけど、やっと会えたあの時が、来るべき時機だったんだろう。
でもそれと同時に、あの時会えていたら未来が違っていたというのも諦め難く、人生にはそんな風に、あの時にああしていれば全く違う未来だったと思わずにはい -
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不注意運転により人を轢き殺してしまい、
服役中に出産した主人公。
出所後、犯罪者の母親よりはいないほうが、という夫の申し出通りに親権を渡して離婚したものの、
唯一の生きる理由、生きる支えが我が子。
狂おしいまでの会いたい気持ちを抱えて、
仕事を求め転々として人生を消化していく。
読んでいて本当に苦しかったです。
顔も分からない息子に出すあてのない手紙を綴り、心の中で「拓」「お母さんは」と呼びかける。
涙が止まりませんでした。
出所間もない頃の不安定な精神状態、
そしてずっと褪せない罪悪感がとてもリアルでした。
かおり自身は大きな過ちを犯したものの、
善良でどこにでもいる、自分と変わらない人で -
Posted by ブクログ
文章が本当に読みやすい。地味な展開の中に、日頃自分も頭の中でツッコんでいるようなフレーズが入ってくるところでクスッとしてしまう(いとこの柿のジャグリングのシーン等)。
平凡な女性が、ほんの一瞬の気の緩み、判断ミスからあらぬ方向に人生が進んでしまう。私たちは常に色んなことを自分自身で選択をしていて、その結果がこの人生なのだなぁと改めて思った。
中盤辺りの展開はかおり以上に私が怒り狂いそうだった。仕事は内容云々より、出会う人間が決まってくることの方が恐ろしいと思う。
最後まで読み進めていくと、それでもやっぱり生きていれば救いはあるのだと思える作品でした。タイトルの熟柿が効いてくる。
夫が老け込んで -
Posted by ブクログ
いや、こんな小説、あっていいのでしょうか。
自由すぎる。軽すぎる。なのに骨太。
こんなに分厚いのにページを捲る手が止まらない。
面白すぎました。
主人公が書いている小説がこの小説であり、いやむしろ、作中でこの小説を書きながら(私はそれを読みながら)物語が進んでいくのに、なぜか私はこの完成しているはずの小説を読んでいる。
割と早い段階からこの構造が明かされる上に、この主人公にとってのわずかな事実を、この主人公が勝手な解釈で脚色していることも明言されている。
つかみどころのない、のらりくらりとした文体に最初は戸惑いながらも、慣れてくるとその面白さに一気に引き込まれてしまう。
私は一体何を読ま