佐藤正午のレビュー一覧

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    Y

    不思議な魅力を感じてしまう大人のファンタジー。傑作「身の上話」と同様に、読み進めながらもいっこうに行き着く先が見えてこない。物語はこの先どこへ向かうのか?着地点はどうなるのか?そんな気持ちでページを繰る手が止まらない。ここでは、結果どうなるのか、といったことは問題ではない。読者の興味を引き付けて離さ...続きを読む
  • 人参倶楽部
    佐藤正午の人参倶楽部を読みました。

    地方都市のスナックを舞台に透明な筆致で描かれた恋愛の物語でした。
    真夜中のスナックで妻子がいるのに、ときどき女の子と付き合っているスナックのマスターが主人公です。
    不倫に疲れた女、冗談だけの小説家、来るはずのない女を待つ男といった人物たちがマスターとたわいもない...続きを読む
  • 取り扱い注意
    佐藤正午の取り扱い注意を読みました。

    主人公の鮎川英雄は「女をとろけさせ、夢中にさせること」という特技を持っています。
    市役所の職員として複数の女と遊びながら過ごしていた英雄は、姿をくらましていた叔父の酔助が現われたことにより無謀な計画に加担することになってしまいます。

    佐藤正午らしい語り口と物...続きを読む
  • 小説の読み書き
    情けない話、ここで取り上げられている小説の過半数は未読なんだけど、ちょっと読んでみたくさせるような、そんな書評的ニュアンスもある作品。でもそれ以上に、物書きの観点に触れられるのが醍醐味で、なるほどそういう見方も楽しそうだな、って思わされることもしばしばだった。どうせ読むなら味わい深く楽しみたいし、そ...続きを読む
  • 永遠の1/2
    瑞々しい文体が細部まで行き渡ってて気持ちいい!たまたま主人公と同じ歳にこの作品と巡り会えたことを運命に感じる。
  • 5

    作家 津田とそのまわりの変わった女たちの話。津田は彼女らに何を求め、逆に彼女らは津田に何を求めているのか。最後に彼のまわりに残る女とは?
  • 5

    最低な男なんだけど、なぜかモテるし。
    なぜか理解者も多い。
    上手く生きられない男のお話。
    読み終わってみればどうってことない話なんだけど、読んでるのは面白かった。
  • 人参倶楽部
    スナックってあんまり行ったことないけど、BARは好き。
    で、バーテンダーとかマスターとかって、もうちょっと真面目よ。
    この人ったら、女たらしで、一見いい人そうだけど最悪な男だなって思った。
    まあ、そういう人も中にはいるってことかな~
  • 小説の読み書き
    「小説の読み書き」というタイトルからだと「ああ、小説の書き方みたいな本かなぁ」と思うのだけれども、その実は至極まっとうな文藝評論集でした。

     文藝評論、いや、評論というジャンルは、評論のとっかかりが身近であればあるほどいいもんだと思います。そうじゃないとどうなるかと云うと、テレビに出ておいしいも...続きを読む
  • 小説の読み書き
    小説や文章の解説、というよりは現役作家による感想文、という印象を受けた。

    堅苦しさもなく、話題にされているのは有名な小説ばかりなので楽しんで読めた。

    筆者のユーモア溢れる感想文の数々を面白がりながら読むのがこの本の正しい読み方だと思う。
  • 小説の読み書き
    佐藤正午という小説家が読んだ本について小説家的に語るというものだが、評論家ではなく小説家だというところに面白さがある。取り上げられている小説は歴史的な著名作家の小説ばかりだが、佐藤正午はある意味自分勝手に好き勝手にこれを題材として書いている。本の解説でもないので、これを読んだからといってその小説がわ...続きを読む
  • きみは誤解している
    競輪というギャンブルにかける、あるいは振り回される様々な人間の小説。競輪をまったく理解しない私でも付録と称される解説小説が最後についている。それで競輪の知識があがるわけでもないが。6つの小説のそれぞれタイトルが秀逸。ギャンブラーがいいそうな、少々芝居がかった、自分のことを夢見心地でみているような、そ...続きを読む
  • きみは誤解している
    佐藤正午が競輪好きなことは「side B」から知ったのだけど、これは競輪を題材にした6つの短編集。
    作者は佐世保だけど、私は長崎に住んでいた頃、もう50年程前になるけど、造船所勤めの伯父に連れられて競輪場へ行ったことがある。今は競馬ばかりで、競輪は観たい番組がない時に大きなレースをやっていれば観る程...続きを読む
  • 5

    平成の時代にもこんな文壇と、いかにも文学者然とした文学者がいたらほんとに楽しいだろうなあ、と、実に愉快な気分で読めた作品。

    太宰治や吉行淳之介の作品も、現役の頃はこんな風に(当時の人に)読まれたんじゃないだろうか、と想像してしまう。「文学」の気分に浸れるのは、島田雅彦の作品以外になかなかない。

    ...続きを読む
  • Y

    Y

    北村薫の時と人の三部作『スキップ』『ターン』『リセット』、浅田次郎の『地下鉄に乗って』、重松清の『流星ワゴン』とタイムスリップ物をはしご再読。そして最後がこの『Y』です。
    グリムウッドの『リプレイ』に似た設定の面白さの割に物語に乗り切れないのは、登場人物の多くが人格的な問題を持っているせいでしょう(...続きを読む
  • 小説の読み書き
    [ 内容 ]
    小説家はどんなふうに読み、また書くのか。
    近代日本文学を代表する小説家たちの作品を書き写すように読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考えるユニークな文章読本。
    読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。
    こんなふうに読めば、まだま...続きを読む
  • 5

    緻密な無駄の無い文体で最後まで一定の温度感で語られていた。
    あまりにも遠く鼻が高い主人公に最後まで追いつくことが出来なかった。流れていく物語も低音で変化があまりなく、感情を揺り動かされるという場面も無かった。まぁ、そういうタイプの本ではないのは明らかだが。
    だから、物語に入り込む時間や集中力が続かず...続きを読む
  • リボルバー
    著者はあとがきの冒頭に「これはサスペンス小説である」と書いています。でも、何だか気だるいのです。まあ、佐藤正午が書けば、サスペンスもこんな雰囲気になるのかな。
    競輪と酒場で暮らす蜂矢と新青年という二人組みの扱いが変わっています。主人公にニヤミスはするのだけれど、決して交わらない。そんな怠惰で刹那的な...続きを読む
  • 取り扱い注意
    「三つ数えたら明りを落とす
     それから百数えないうちにそこに迎えにいく」
    ビルの下にいる私に誰か、そう声をかけて降りて来て下さい!

    「女を蕩けさせ夢中にさせる」才能がある男・鮎川英雄
    蕩けさせるって凄いですよね それもダイレクトに身体を蕩けさせる能力であり更に凄い!

    本書には、スクラブルと言うゲ...続きを読む
  • 小説の読み書き
    日本近代文学の基本を押さえておかなくても小説が書けるということがよくよくわかる一冊。誤読もあったりして、それを追記でフォローしたりしていておもしろい。感想文エッセイ集といった雰囲気で読みやすい。ちょこちょこクスクス笑いもできるし、いい本だと思います。まあ、選ばれている作品や作家にを多少なじみがあれば...続きを読む