佐藤正午のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
いつの時代にも女にだらしないダメ男はいる。太宰治の小説にもよく出てくる。というよりも太宰治自身もそんな感じだが。女をとっかえひっかえして、挙句の果てに妊娠させてしまう。そんなダメ男が『個人教授』の主人公・松井英彦だ。佐藤正午の小説の中でもNo1のダメ男だと思う。松井英彦はとにかく女にだらしなく、色んな女性と関係を持ち、ついには妊娠させてしまう(しかも2人も!)。しかも清々しいまでに自己中心的な男で責任も取らず、休職して仕事もせず夜な夜な飲み歩いている。まさにゲスの極み。タイトルが『個人教授』となっているように、ダメ男松井英彦の師匠である「教授」という人物も出てくるのだが、こちらもダメ男である。
-
Posted by ブクログ
タイトルを一瞥するや、てっきり現役作家による名作の解説本と思い、読むもストーリーにはさほど触れない。さてさて、どういうこと?
本の扉の紹介文を読む。完全な思い違い。本書は漱石〜開高健まで近・現代作家 総勢24名の作品を丹念に読み解きながら、『小説の描かれ方』ではなく『小説「家」の書き方〈技巧・癖・こだわり等〉』を考察した一冊。
そう、本書は新手の文章読本。文章読本といえば、谷崎・川端・三島・丸谷ら名だたる作家が著しているが、本書はこれまでのものと一線を画す。大上段に振りかぶった『文章指南』ではなく『随筆』という体を取っていること。
一貫して、初読時に抱いた印象や作品と出会った際の個人的体 -
Posted by ブクログ
好きな作家のひとりである佐藤正午の第一随筆集。現在64歳のベテラン作家の30歳半ば〜40歳〈1989年〜2000年〉の頃の身辺雑記『小説家の四季』には、著者の等身大の日常がユーモラスに綴られている。
僕は随筆しかり小説しかり、話の本筋にはさほど重要でない 、その当時の世俗や流行や余談の下りに遭遇すると、ついつい関心はそちらに向かってしまう癖がある。あたかも見るとはなしに見た昔の月9の再放送の中のひとつのシーンを通じて当時の自身のことが数珠つなぎで想起されるように。本書にも、ワープロ・パソコン通信・モデム・ニフティー、自社さ連立政権や2000年問題…など「懐かしッ!」の連続だった。
ちなみに