佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
38歳の丸田優のスマホに「今年の冬、彼女はおまえの子供を産む」という起こり得るはずのないメッセージが届くところから物語が始まる。
登場人物たちの記憶が曖昧だったり、明確に語られなかったりして、最初はもやがかかったような感じだったが、読み進めるにつれて、登場人物たちの小学校や高校、大学の頃の過去の輪郭がだんだんはっきりしてきて、また、謎の語り手の正体も明らかになり、話に引き込まれていった。
ただ、最後はかなり尻切れとんぼな感じで、結局何だったの、という思いを拭えなかった。おそらく白黒はっきりさせないというところが著者の持ち味なのだろうが、自分はすっきりしない読後感だった。
また、オカルト要素も物 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかくモテる主人公と、ロリコン叔父さんと、クセ強女性陣。相変わらずだが、会話がめちゃくちゃ面白い。ナボコフのロリータを読んでたらもっと面白かったのだろうか。
皮肉な鮎川さん↓
「ピアノを弾くために不利な手を持って生まれてきた人間がピアニストをめざす。自分の才能の程度に気づかない人間が、その才能を生かすしかない世界に人生の前半を賭けてしまう。そんな悲劇が世の中にあるだろうか、と僕は彼女の手をちらちら眺めながら考えてみたのだが、それを悲劇と呼ぶならそんなものは世の中にはいくらでも転がっているに違いなかった。」
クズ〜笑↓
「むろん彼女に少しでもその気があれば、彼女と寝るのは容易いはずだった -
Posted by ブクログ
佐藤正午さんの「月の満ち欠け」が好きで、あのような素敵な小説を生み出せる作家さんの頭の中に興味を持ち、読んだ。
つくづく作家というのは、クリエイティビティと締切プレッシャーとのせめぎ合いの中で仕事をされているのだと感じた。
クリエイティビティは時間をかければ良いものではない。閃く時は閃くし、閃かない時は閃かない。でも、時間は均一に過ぎて行き、然るべき時に締切は来る。
だからこそ、日常生活の中でのちょっとしたら気付きや出来事に敏感に反応し、小説のネタの肥やしにする。ただ、そのように収集されたネタも、物語の中核になるものばかりでは決してなく、登場人物像を肉付けするための、ほんの数行程度の描写に消え