あらすじ
ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。北川健と名乗るその男は、かつて私=秋間文夫の親友だったというが、私には全く覚えがなかった。それから数日後、その男の秘書を通じて、貸金庫に預けられていた二枚のフロッピー・ディスクと、五百万の現金を受けとることになった私はフロッピーに入っていた、その奇妙な物語を読むうちにやがて、彼の「人生」に引き込まれていってしまう。この物語は本当の話なのだろうか? 時間を超えた究極のラブ・ストーリー。(解説・香山二三郎)
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高校の同級生から電話
親友とのことだが主人公にはその記憶はない
同級生の代理人から受け取った小説は
同級生の人生を語ったものだったのだが・・・
読みながら私もその物語に引き込まれ
さらには主人公の語りにも引き込まれ
読んでいてもうなんか先が気になって
しょうがなかったです
そんな感じにさせるほどのおもしろさでした
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未来と過去を行ったりきたりなタイムトラベルものは苦手なはずなのに、何故かどんどん引き込まれて読めちゃった本。
設定が難しいところもあって、途中ごちゃごちゃするけど面白いから読めた!!
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★SFの設定を生かした男の切なさ★佐藤正午の小説のテーマは「去りゆく女と後悔する男」なのではないか。そして僕は、こういう離れていく女の話が好きなのだろう。解説でも触れているように、同じ時間を何度も繰り返して生きるアイデアそのものはオリジナルではなくても、別の人生では前の人生での知り合いを失ってしまう切なさの描き方が著者ならでは。それも語り手である主人公を別の人間とすることで、より距離の遠さが浮かび上がる。別の人生でも同じ人々が身近にいるというのがご都合主義だなと読みながら思っていたが、「縁」という表現で最後にまとめられるとなんだか納得してしまった。
★2019/8再読
うっすらと以前に読んだ気はしたが、内容はすっかり忘れていた。2度楽しめたのだからよかった。佐藤正午の面白さとは何だろうと改めて考えてしまった。設定はそこまで奇抜ではなく、性の場面も出てこない。ミステリー感と切なさの案配、取り返しのつかない後悔に引き付けられてやまない。
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タイムリープもの、なんだけど前半がかなりややこしかった。パラレルワールドと作中作の相関図、過去と今の立ち位置、こんがらがる。
挫折しそうになりつつも、乗り切ると一気に道が開く感じに。
タイムリープすると意識だけが違う世界線に飛び、肉体は死ぬっていうのは斬新だ。
罪の意識に囚われた北川だが現実は思い違いでとか、秋間の家族の疑惑、由梨の正体、本当のヒロインは?交差するやるせない思いが中々整理がつかなかったが、まとまるとスッキリした。
終わり方も大人な感じで悪くない。
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なかなか面白かった。大好きなケン・グリムウッドの小説「リプレイ」を別の視点から描いたような裏リプレイとも言える内容で楽しめた。俺は佐藤正午の一人称での書き方がなんとも好きみたいだな。主人公の一人語りや自問自答がなんとも言えずに良い。パラレルワールドでも人と人の縁、因果の鎖は繋がってるみたいなテーマはなかなかいいね。好きだわ。
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"時間を超えた究極のラブストーリー"という惹句なのだけど、自分にとっては"中年あるある"と"自分の人生をちょっとだけでも肯定する"というこの先生きていく上でのエールをもらった読後感でした。映画『エブエブ』を観た時と同じような気持ち。
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書棚の隅にひっそり佇んでいた文庫本。読んだはずだが、内容にまったく覚えがない。冒頭の数ページを試しに読んだところ引き込まれ、結局全部読んでしまった。意識だけのタイム・リープ能力を持った男の話──だろうか? ただ、主人公は別で、男に託された手記を読まされることになる。巧みに練り上げられた物語、二重三重に張り巡らされた伏線が回収されていく手際は「お見事!」としか言いようがない。エピローグで、水平撃ちの話を読んだとき、既視感を感じたが……まさかね(笑)。
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佐藤正午著書の「身の上話」が面白かったのであらすじを見て気になったこちらの本を手に取りました。
SF的な部分を含んだ内容ですがその部分を科学的に説明する事を最低限に抑えている所に好感が持てました。SFが苦手な方でも読みやすいかと思います。
限られた登場人物の関係を、特殊な設定を用いる事で密に描いている所が面白いです。中盤から一気読みでした、オススメです!
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人生の分岐点、誰もが「あの時〜」と感じることの一つや二つはある。
今の自分の人生が、ある人の「あの時〜」をやり直した結果と知ったとき、やり直す前の自分がどう生きていたかを知ったとき、何を思いどうするのか…。
タイムスリップが主役のS Fではなく、歴史が変わる影響を受けた人たちが主役の、人生ドラマ。
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時々、過去の答え合わせをしたくなるときがある。
でも、それをして何になるのか?最後は思いとどまるのだけれど。
あのとき、こちらの選択をしていたら?
Yのように世界はいくつも存在しているのだろうか?
向こうの世界の僕はどんなだろう?
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「Y」。人生の分岐点。同級生でかつて親友だったと名乗る男からある日突然託された物語。疑いながらも真実と思わざるを得ないことが次々と出てくる。思考や言動は繰り返され、別の人間によってもまた繰り返され、どことどこが、誰と誰が、繋がってるんだっけ?とぐるぐる迷路に入り込む。真実の尻尾を掴んだと思ったらするりと逃げ出している。止まらなくて一気に読んだ。楽しかった〜。ストーリーは違うが映画「スライディングドア」を思い出した。
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よくあるタイムリープものって言ってしまえばそこまでなんだけど物語の持っていきかたが秀逸だった。
ただ北川はこのタイムリープをいったい何回繰り返すんだろう。選んだ道は違っても同じ人間と違う立場で関わっていくっていうのもただ同じ時間を過ごすんじゃなくて面白いと思った。まさに映画のキャストみたいにそれぞれが色んな役を演じているみたいだなぁ。
あと話は飛ぶけど、秋間と水書弓子はなんで結婚なんかしたんだろ。
北川の3度目の人生も覗いてみたくなった。
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タイムトラベラーいやパラレルワールド的なストーリー。人生やり直しできればいいなぁと思っていたが、北川を見ると、先がわかるのは、つまんないとも思えてきた。後半は面白くて一気読み。
2018.3.28
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時空を越えて未来から戻ってきた男が、何とかして電車の事故から大切な人を助け出そうとする話。設定は少しベタなところもあったが、話はなかなか面白かった。もっと効率的に対処すればよいのにともどかしく感じる部分はあった。
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マトリックスやパラレルワールドラブストーリーに模した設定で、日常に対する違和感や疑問がストーリーを動かす。
ある日突然の友人からの電話を皮切りに、託された手紙から紐解かれる謎と、人間関係やつきつけられた現実、何を信じたらよいかわからなくなる、この辺りは秀逸。
ラブストーリーではない感、どこか他人事感があり、もう少し主人公が感情を激しく揺さぶられたなら、感情移入できたかと思うが、全体としては面白く一気に読めた。
最後があっさりだった気がするが、会話から少しずつわかる事実と緻密な筋書きは、シナリオとしても魅力的と感じた。
Posted by ブクログ
単行本が1998年刊なので約20年前の作品ですが、本作の中核を成す超常現象および、SF・ミステリを前面に出しつつ実は恋愛小説だったという体裁から考えると、直近の直木賞受賞作『月の満ち欠け』と相似形をなす作品となっているように感じました。
本作の読みどころは構成の上手さです。北川健に起きる事象自体は、先行作品もありさほど目新しいものではありませんが、それに付随する伏線、登場人物各々の背景およびそれらが明らかになる過程が非常に凝っていて面白かったです。バックギャモンを人生になぞらせるくだりのように、本筋とは関係ないところで時折出てくる小ネタも味がありました。
星を一つ減らしたのは、第九章で顕著にみられるように、ご都合主義的な展開が散見されたからです。例えば私だったら事前に詳細を調べて、事故自体をなかったことにするよう行動すると思います。主人公が北川のことをずっと思い出せないのも不自然。もっとも、このあたりは人知の及ばない大きな流れの中に我々がいることによる、と解釈すれば大した疵ではないのかもしれません。
本作に登場するキャラクターは、既読の作品のそれとほとんど変わらないように感じました。男性の主人公には時々びしっと決めてほしいなあ、とじれったい気持ちを覚えることがあるのですが、何作か読むうちにそういう作風の方だししょうがないか、と思えるようになってきました。これを安定した作風ととるか、芸が無いととるかによって、佐藤正午作品についていけるかどうかが決まるような気がします。
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話としてはお話はとっても面白いものだったけど、登場人物への愛着がわかなかったです。2人の関係が深まることなく終わるから?一瞬の後悔だけでそこまでの愛が持てるのがわたしには分からなかったけど、一瞬だったからこそ頭の中で思いが育っていくのは少しわかる気がします。
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もし、あの時別の道を進んでいたら…っていう人生の分岐点はいくつもあって、その度にパラレルワールドが広がっていくって考えるとワクワクする。
肉体的な問題ではなく、“想像的パラレルワールド”
この物語自体、特別好きなわけではないけど、パラレルワールドについて考える楽しさを教えてくれる本。
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星★3
面白い、とは思ったけど、ちょっと物足りない?
私の本の読み方なんだろうけど、どの登場人物も、あんまりキャラが立っていないので、感情移入できなかったかな。
個人的に13章はとても盛り上がった。
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人生のやり直しができれば・・・と思ったのは誰でも経験があると思います。
43歳から18歳に戻って、人生をやり直すという設定の物語です。
ただし、主人公は人生をやり直す男ではなく、その友人。
ふたりは1度目の人生では、親友同士であったが、2度目では親友ではない。
その親友でない男から渡された物語と、主人公の生活とで話が展開していきます。
元ネタはケン・グリムウッドの「リプレイ」のようですが、また違った雰囲気の物語です。
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タイムループもの。1998年刊行。
流し読みに近い読み方をしてしまったので、語り手の「私」が誰で、彼女が誰なのかごっちゃになってしまった。話も、語り始めの時代も複雑だった。
至るところで、交錯する男女。それは縁でも運命でもなく、ここまでくると必然なのかもしれない。
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パラレルワールドものはあまり当たりがなくて好まないけど、これはおもしろかった。少し痛くほんのり甘く、中年男の悲哀。いい話でした。ヌーベルバーグの映画を見たくなりました。今ならもっと鑑賞できるかもしれない。著者は映画が大好きなのですね。きっと。
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どこかで読んだような、映画で見たような、既視感を感じる内容。
でも内容よりも、この主人公の苛立ちを隠しもしない物言いが成熟してなくて生理的に受けつけない。こんなイヤな主人公いたなあ、確か「鳩の撃退法」の精神年齢中学生の主人公。
と、思ったら同じ作者だった。
Posted by ブクログ
過去のある時点に戻り、人生をやり直すことが本当に幸せなのか。
以前に読んだ佐藤正午さんの作品もそうだったのだが、タイムリープできるような力をつけても人の心はわからないのね・・・。という怖い話。
時空を超えた究極のラブ・ストーリーとあるが、あまりに独りよがりなので、ラブ・ストーリーといえるのか?まあ、片思いでもラブはLoveか。
一人称の私とフロッピーディスク内の僕と君がクロスするので少し分かりづらい。それが、最後に結びついてビックリするような展開になるのかとも思ったのだが、特にそのような展開もなくて拍子抜け・・・。
でも、最後まで展開が気になるミステリーとして面白く読めた。