佐藤正午のレビュー一覧

  • 夏の情婦

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    表題作を含む5つの短篇集。

    表題作もよかったけれど、個人的には、やはり「傘を探す」もおもしろかった。
    映像化されたらどうなるんだろうと考えながら読んだ。

    また、著者自身による「三十年後のあとがき」もすばらしいものになっている。

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    2017年11月29日
  • 5

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    「時間は無駄には過ぎていかないと思うよ。人が時間を無為に過ごすことはあっても」

    『僕には性欲と恋愛との区別がつけられない。性欲と恋愛と魔法の区別もうまくつけられない。』

    『「嘘だけは聞きたくない」とそれから彼女はくり返した。「あたしたちのあいだで」
    あたしたちのあいだで。初めて会ってから十日間に五回もホテルへ行き、その倍の数のSEXをしたふたりのあいだで、夫のいる三十代の女と二回離婚歴のある四十男とのあいだで。』

    「憶えてるか? これも初めて会ったときのことだ。長谷まりは映画の話をしたな。確かバットマンのなかにあこがれのシーンがある。キム・ベイシンガーが壁ぎわに男を押しつけて、男のネクタ

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    2016年10月15日
  • 永遠の1/2

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    時代は1980年。自分に瓜二つの男が存在することにより引き起こされるたくさんの事件。解決することなどできないが、それでもどうにかしなければ、という中でのスリリングな展開が楽しめる。ドストエフスキー的長いセリフもあり。

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    2013年09月29日
  • 放蕩記

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    佐藤正午の『ジャンプ』という小説は、コンビニにリンゴを買いにゆくといって消えたガールフレンドと取り残された僕の5年間の物語である。
    ミステリーとして絶賛されたそうだが、これはミステリではなく、紛れもなく優柔不断でやさしくって冷たくって少しシニカルな佐藤正午のいつもの話なのだ、と思った。
    主人公に対して、ああ俺ってこんな優柔不断できたねえ野郎だなと、フムフムとうなづくことはできても共感はできない。だから書評とか読むと、怒ってる女の人たちもいたりするのだろう。でもそれが佐藤正午のいいところなのだ。
    その頃、1991年に書かれた『放蕩記』を、自宅の本棚の奥から引っ張り出してきて読むことにした。自伝風

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    2012年12月31日
  • Y

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    ★SFの設定を生かした男の切なさ★佐藤正午の小説のテーマは「去りゆく女と後悔する男」なのではないか。そして僕は、こういう離れていく女の話が好きなのだろう。解説でも触れているように、同じ時間を何度も繰り返して生きるアイデアそのものはオリジナルではなくても、別の人生では前の人生での知り合いを失ってしまう切なさの描き方が著者ならでは。それも語り手である主人公を別の人間とすることで、より距離の遠さが浮かび上がる。別の人生でも同じ人々が身近にいるというのがご都合主義だなと読みながら思っていたが、「縁」という表現で最後にまとめられるとなんだか納得してしまった。

    ★2019/8再読
    うっすらと以前に読んだ

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    2019年08月17日
  • 小説の読み書き

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    文章を書く方には激しくおすすめします!!
    文章の書き方について書いてある本じゃなくて、
    佐藤正午さんの読書感想文なのですが、
    本当に勉強になりました。
    書くことが楽しくなりました。

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    2009年10月21日
  • リボルバー

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    あたいが今まで読んだ小説の中で一番好きな小説。これを超える話は生涯出てこないだろうと思っている。勿論、この佐藤正午を超える佐藤正午もないだろうと思ってる。ほんとは一番最初に出たハードカバーの装丁が好きなんだけど、イメージがなかった(しょぼん)焦燥の意味を初めて知った思い出深い1冊。

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    2009年11月29日
  • 熟柿

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    ネタバレ

    幸せな生活が一つの交通事故をきっかけに、崩壊する。
    離婚、子供と会えない生活、犯罪を犯した人が同じ仕事をしていく難しさ。
    それでも様々な出会いや愛する息子を想い、生活していく。

    タイトルである熟柿。気長に時期が来るのを待つことや、物事がうまく運ぶ様子を比喩した言葉。物事は簡単に進まないが、気長にときを待つことの大切さを知れた。

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    2026年08月16日
  • 熟柿

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    とにかく読みやすくて、気づけばどんどんページをめくっていた。

    派手な展開ではないのに、登場人物たちの人生を長い時間をかけて描くことで、積み重なっていくもの、変わっていくもの、それでも変わらないもの、がじわじわ浮かび上がってくる。

    かおりの息子への執着は、愛情だけでは片づけられない危うさや歪みがあって、加えて思慮が浅く、主体性がないところが最初は苦手だったのに、いつの間にか応援していた。

    長い時間をかけて物事が熟していく。
    最後に熟柿という言葉に秘められたもう一つの意味が明かされ、一気に収束する展開が気持ちいい。

    そして何より咲ちゃんが最高!負の雰囲気を持つ登場人物達ばかりの中で際立って

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    2026年08月16日
  • 熟柿

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    長い物語です。ページ数ではなく、事件が起こってから物語が終えるまでの年数がかなり長かったです。そして、主人公・かおりにとって、なかなかに辛い展開が続きましたが、二人のイケメン(一人は女性だけど)に救われました。

    久住呂咲ちゃん
    10年越しの約束を守る久住呂咲ちゃんはイケメンすぎ。お母さんの久住呂百合さん以上に有言実行のひとでした。久住呂ってなかなか耳にしない名字ですが、親子の名前が登場するだけで、不思議な呪文のように場が落ち着きました。

    土井さん
    かおりの心が開くのをじっと待ってくれる土井さんは態度もセリフもイケメンすぎます。昔から、チャンスの後ろ頭は禿げてるっていうけど、焦る必要はないん

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    2026年08月15日
  • 月の満ち欠け

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    「不思議なことなど何もない」物語を好む自分の価値観すら軽々と覆し、「不思議なことがあってもいい」と思わせるだけの強烈なリアリティ。

    ネダバレ無しに語るのが難しい。未読の人には「とにかく読んでくれ」としか言えないほどの怪作だ。

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    2026年08月15日
  • どこ吹く風 小説家の四季

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    佐藤正午最新エッセイ集
    前作「正午派2025」の興奮冷めやらぬのに。
    あれはエッセィではなかったか? まあいい
    小説家の四季というサブタイトル通り、季節ごとに発表されるエッセィだが季節には全く関係のないテーマで、ちょっと退屈だなと飛ばし飛ばし読んでいると、次のエッセイで前回のテーマがまだ続いている、下手すると一年を通してそのテーマが語られている。
    訳が分からなくて、前回に戻りまた読み返す・・・
    「真剣に読めよ」という作者の意図?
    今回のハイライトはやはり編集者にまつわる話。
    デビュー作からの編集者についてのエピソードは本当に感動的で、泣かせる話なのに、正午さんはなんでかなぁ・・・
    素直じゃない

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    2026年08月14日
  • 熟柿

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    罪 色々な人を巻き込んでしまう
    頑張っても どうにもならない時
    熟柿 じっくりと時をかける
    その時が来るまで。

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    2026年08月14日
  • 熟柿

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    起こってしまったことをなくすことはできない。だけど、その事に対する思いは変化し続ける。それは単に時が流れるからではなく、日々を積み重ねていくから。さまざまな人と関わり、さまざまな経験を重ねていくから。
    今の私もさまざな経験をして今日まで生きている。嬉しかったことも辛かったことも、今はどれも経験値と思える。当時はそうは思えなかった。傷ついた時は、できるならなかったことにしたいと強く願った。でも、経験だけが自分を強くしてくれること、支えてくれるものになるということを今の私はちゃんと知っている。

    「弱さ」と向き合っていく中で、それがどんなに辛かったとしても、どこかに自分に寄り添ってくれる人がいて、

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    2026年08月14日
  • 熟柿

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    普通に生きてきた人に突然降りかかる不幸。
    さっきまで笑っていたのに。
    「何であの時車から降りて確認しなかったのか」
    そもそも運転中にかかってきた電話に出なければよかったのに。
    今更後悔しても取り返しがつかない。
    人の命を奪ってしまったから。

    それからの長く苦しい年月が、とても辛かった。
    自分で産んだ子供に会えない辛さ。
    仕事をしても過去の事がいつか知られてしまうのではないか。
    結果、慣れない土地での仕事を転々とする。

    長い年月が過ぎ、心を少しでも許せる人ができた。
    高校生になった我が子にやっと会う事ができた。
    最後は自分の人生に向き合う事ができ、少しホッとした。

    熟柿
    気長に時機が来るの

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    2026年08月13日
  • 熟柿

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    始めは運の悪い可哀そうな普通の女性と思っていた。途中からイライラしてきた。何だか自分に責任はあまりないみたいなことをウダウダ述べ続けるのだ。考えてみたら友達は非常識な鶴子しかいない。その鶴子もそんなに好きじゃない。学生時代、あぶれ者の鶴子にしか相手にされない変人だったんだろう。
    素晴らしい考えが湧いてきて、その考えに支配され衝動的に行動する。ADHD注意欠陥多動性障害である。彼女の両親も事故死しているが注意欠陥した運転をしていたのかもしれない。

    だから因果応報だ、とは言わない。知能は低くないが考えが足りない かおりさんは一生懸命生きている。それを書ききった作者は素晴らしいと思う。
    かおりさん

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    2026年08月11日
  • 身の上話 新装版

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    私の視点で書かれたミチルの身の上話、何故、私が語っているのだろう、私との接点は何なのだろう、ある時、視点が変わることで謎が解けていく。登場人物の行動と、そこに至る思考を緻密に描きながらも、常に私の視点で書かれている構成がすごい。

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    2026年08月11日
  • 熟柿

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    ネタバレ

    轢き逃げ事故を起こしてしまった主人公の、人生を時系列で辿っていく物語。いろんな土地を転々としながら、思いの変化を手に取るように感じることができた。実在する街の話ゆえに親近感を覚える箇所も多く、近しい人間の人生を追っているようであった。

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    2026年08月10日
  • 熟柿

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    ネタバレ

    出口の見えないトンネルをずっと走り続けていて、ようやく出口が見えたような、そんな感覚を覚えた。
    書き出してみて気づいたのだけれど、この物語そのものが「熟柿」を表しているということなのか。「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」。まさにそのものだと思う。かおりは、息子との再会、土居さんのような人や、福岡という新たな故郷との出会いを、ずっと待っていたのか。

    最初はこの先どうなってしまうのだろうと続きが気になって仕方がなかった。中盤は少し間延びしているように感じたけれど、これはたぶん、読める期間が限られていて焦っていた読者自身の都合も大きいと思う。最後の元夫からの

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    2026年08月10日
  • 熟柿

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    熟柿(熟して自然と木から落ちる柿)のように、焦らず力まず、時が満ちるのを待つ時間こそが、人生を甘く成熟させる。
    「待つこと」も選択であり、前進である。ただ手をこまねいて放置するのではなく、時が解決してくれるのを信じて静かに見守る「積極的な忍耐」が大切。
    また、人にはそれぞれのタイミングがある。自分のペースを相手に押し付けず、相手が心を開く瞬間や、状況が整う瞬間を尊重することが大切である。
    力ずくでコントロールしようとするのをやめ、流れに身を任せることで、最も美しく納得のいく結末(熟した果実)を手に入れることができる。

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    2026年08月08日