佐藤正午のレビュー一覧
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かおりは親戚の葬儀の雨の夜、老婆を撥ね、逃げてしまった。その時、妊娠していて、刑務所で息子を産む。
罪を償い出所した際、離婚され、息子と会うことも認められなかった。その後の母としての葛藤と、生きていくため働かなくてはいけない苦労が延々と続く。
普通の人だったのに、雨のせいで、たった今かかってきた電話のせいで、人生が変わってしまった。かおりは“せいで”は言わない。私ならずっと、何かにつけて、“せいで”と考えてしまうだろう。息子に会いたいため、とった行動もわからなくはないが、違うと思う。思うけど、腐らず生きているかおりの次を知りたくて、急いで読んでしまった。 -
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ネタバレ癖が強くて読みすすめると味わい方がわかり、噛めば噛むほど味わい深くなる様な小説でした。
伏線の回収やストーリー構成が素晴らしい作品ですね。但し、最後まで読まないと突風のようで好き放題な書き方に翻弄されるだけで終わります
(※注意!!)
ナルシストの小説家の記憶を辿っていくような書き口で、つど、その人の思い込みや都合によって好き放題に物語が変えられているのが、新しくて新鮮な体験でした。
時系列もへったくれもないようなストーリー展開だったので、序盤の方はストーリの展開について行けませんでしたが、物語終盤では様相を変え、ここに繋がっていくのか!!という今までが全て伏線だったかの様な展開で最後の -
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轢き逃げ事件を起こしたせいで子供と引き離され、独りで生きることになったかおり。生まれてから一度も子供と会うことができず、なんとか会おうとするたびに警察沙汰になってしまう。ひたすらに働き日々を淡々と過ごす彼女に訪れた転機とは。
犯罪者になってしまったとはいえ、彼女のしたことにはさほど悪質性が感じられず、だからこそ気の毒に思ってしまう面が多いです。子供の顔すら見せてもらえず、真面目に働いていても前科が知れたことで職を追われる。彼女をよく知らない人間からすれば「前科者」というレーベルだけで判断されてしまうのだろうけど、これがもうつらくてつらくて。彼女の子供に対する思いもまた、目に見えて熱烈なものでは -
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ネタバレ轢き逃げで狂ってしまったかおりの人生。
淡々と進んでいくのが逆にリアルすぎて辛かった…。やっぱり車の運転には気をつけないと、と思わされた(違う?)
読みやすい文章でほぼ一気読み。
最後の拓との再会もリアルだった。
よくあるお涙頂戴の展開ではなく、お互い黙ってしまうところや話すことが定まってない感じ。
そしてそこで終わるんだ…っていう。
タイトルの『熟柿』がしっくり来るラストでした。
自分は心配症なので未来のことを心配しすぎたり、焦ったりしてしまうことがよくあるけど、時機が来るのをじっくり待つのも時には必要なのかなと思った。
表紙やオレンジの見返し、しおりも素敵。
佐藤正午さんの他の作品も -
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大伯母晴子の葬儀の帰り、大雨の中の不運な死亡事故で懲役刑となったかおり。
服役中に男児を出産するが、警察官の夫に離婚され親権も奪われた挙句、実母は死んだことにするとまで言われる。
交通事故とはいえ人を殺した前科を持つかおりに世間の目は冷たく、服役後職を転々としながら、幼稚園や小学校(の入学式)に息子拓の姿を見に行こうとするが、どちらの場合も警察官が駆け付ける騒ぎとなってしまう。
その後仲居として住み込んだ山梨の旅館では事故前の隣人に見とがめられ、パチンコ店員をしていた大阪では同室の女性に預金すべてを盗まれるという災難に遭う。
ここに至り、晴子伯母さんの呪いの恐ろしさに怖気たつ。
発端と -
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けんごさんが2025年ダントツ1位と語ってたので
これは読まねばと思ってたやつです
佐藤正午さん、初読み
なんかずっと重くて、
楽しい場面なんかがひとつもなかった
つらすぎ〜と思いながら読んだ
自分が産んだ子供と引き離され、
ひと目見たいだけなのに叶わず、しかも警察沙汰
生きる希望は息子のためにお金を貯めることだけなのにそれもあんなことになっちゃうし
前科持ちって、ずっとその事が付きまとうんだなと
こわくなった
とにかく運転だけは気をつけなきゃと読む度に思った
正直、佐藤正午さんの文体に中々慣れず
半分以上 気が逸れる事が多めで世の中の評価程入り込む事ができなかった
後味とし -
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かおりは晴子大伯母の葬儀の帰り、ひき逃げをしてしまう。被害者は死亡、しかも車庫入れで破損した車を修理に出したことが悪質と判断され、警察官の夫も職を追われる状態となり、離婚を要求される。出所後は刑務所で産んだ息子とは会えないまま生活をしていたが、思い詰めて2回接触を試み、果たせず、また、職場の方も少し働くと過去がバレて転職を余儀なくされるような日々を送る。2008年に事故を起こしてから2025年までが語られる。柿は熟すのか。どう熟すのか。
渋柿はドロドロになるまで実らせたままにしておくととすごく甘くなるんだよな〜と思い出したタイトル。まあ、ほぼ全般読むのが辛いです。最後はタイトルを裏切らない結果 -
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物語は刑務所で出産し償いをしていく、罪を犯し償った者に尊厳 願いはどれほどあるのだろうかと、受け止める側の最悪の展開を慮る ラストは…タイトルの熟柿の意味は…
どこか八日目の蝉のようなそんな世界線があったかもしれないと過ぎった。自分の子と会うことがこんなにも難しく答えのない、ただ相手からの歩みだけが望みなものなのかと
失っていった大切な時間とそれまでの軌跡が物語を通して想像しかできないのだけど、時はその時は来るのだと信じれるそんな内容だった
ネタバレになるけど困ってる人をほっとけない意思を受け継いでる咲ちゃんがあまりにあまりにも主人公すぎて、そしてかおり氏の心の文に気持ちが入った
好きなフ -
Posted by ブクログ
僕は、たぶんいつかきっと「佐藤正午賞」という文学賞ができると信じている。現実と空想との狭間、現在と過去との狭間を行きつ戻りつしながら読者を導いていくその小説は、いつも物語がはっきりとした輪郭刻むのを拒んでいるかのようにも見える。もしかしたらそれこそが佐藤さんの世界の見え方なのかもしれない。いやもしかしたら逆に、現実の世界がはっきりと見えてしまうからこそ曖昧なものに憧れを抱いているのかもしれない。いやたぶん、そう感じてしまう僕の感想こそが、すっかり佐藤さんの術中にまんまとはまっている証左なのだろう。
UFOの子供たち、マルセイ・マルユウ。どこまでいっても納得のいく答えは提示されない。それについて