佐藤正午のレビュー一覧

  • 放蕩記

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    佐藤正午の『ジャンプ』という小説は、コンビニにリンゴを買いにゆくといって消えたガールフレンドと取り残された僕の5年間の物語である。
    ミステリーとして絶賛されたそうだが、これはミステリではなく、紛れもなく優柔不断でやさしくって冷たくって少しシニカルな佐藤正午のいつもの話なのだ、と思った。
    主人公に対して、ああ俺ってこんな優柔不断できたねえ野郎だなと、フムフムとうなづくことはできても共感はできない。だから書評とか読むと、怒ってる女の人たちもいたりするのだろう。でもそれが佐藤正午のいいところなのだ。
    その頃、1991年に書かれた『放蕩記』を、自宅の本棚の奥から引っ張り出してきて読むことにした。自伝風

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    2012年12月31日
  • Y

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    ★SFの設定を生かした男の切なさ★佐藤正午の小説のテーマは「去りゆく女と後悔する男」なのではないか。そして僕は、こういう離れていく女の話が好きなのだろう。解説でも触れているように、同じ時間を何度も繰り返して生きるアイデアそのものはオリジナルではなくても、別の人生では前の人生での知り合いを失ってしまう切なさの描き方が著者ならでは。それも語り手である主人公を別の人間とすることで、より距離の遠さが浮かび上がる。別の人生でも同じ人々が身近にいるというのがご都合主義だなと読みながら思っていたが、「縁」という表現で最後にまとめられるとなんだか納得してしまった。

    ★2019/8再読
    うっすらと以前に読んだ

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    2019年08月17日
  • 小説の読み書き

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    文章を書く方には激しくおすすめします!!
    文章の書き方について書いてある本じゃなくて、
    佐藤正午さんの読書感想文なのですが、
    本当に勉強になりました。
    書くことが楽しくなりました。

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    2009年10月21日
  • リボルバー

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    あたいが今まで読んだ小説の中で一番好きな小説。これを超える話は生涯出てこないだろうと思っている。勿論、この佐藤正午を超える佐藤正午もないだろうと思ってる。ほんとは一番最初に出たハードカバーの装丁が好きなんだけど、イメージがなかった(しょぼん)焦燥の意味を初めて知った思い出深い1冊。

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    2009年11月29日
  • 熟柿

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    角田光代さんがこの小説を薦めていたので読みました。今年一の小説だそうです。(角田さんのトークイベントより) この小説、一年に一章ずつ書かれて行った小説だそうです。一年に一章ずつ原稿を渡されて、編集者はさぞやきもきしただろう、と話されていました。まさにタイトルのような執筆の仕方、小説『熟柿』(厳密には一年に一章は途中までのようですが)

    そして読後。他の方も書かれていましたが、共感とか強い感情移入は無かったんだけれど、読み終わったら何故かとても沁みてくる読後感で。とても不思議です。
    角田さんもそんな感想を話されていました。なるほど、確かに、と今なら分かる気がします。

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    2025年11月29日
  • Y

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    タイムリープもの、なんだけど前半がかなりややこしかった。パラレルワールドと作中作の相関図、過去と今の立ち位置、こんがらがる。
    挫折しそうになりつつも、乗り切ると一気に道が開く感じに。

    タイムリープすると意識だけが違う世界線に飛び、肉体は死ぬっていうのは斬新だ。

    罪の意識に囚われた北川だが現実は思い違いでとか、秋間の家族の疑惑、由梨の正体、本当のヒロインは?交差するやるせない思いが中々整理がつかなかったが、まとまるとスッキリした。
    終わり方も大人な感じで悪くない。

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    2025年11月21日
  • 熟柿

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    少し時間が空いた夕食後に読み始めた。気がついたら深夜迄一気読みしてた。重い話だけど活字から目が離せなかった。
    夫とまだ見ない子供と和気藹々とした親類達、それが一転しての度重なる辛い日々。ひたすら子供を思うかおりさんの気持ちが切なかった。

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    2025年11月20日
  • 熟柿

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    みなさんが読まれているのを見て予約していたんですが、残り2人から全然進まなーい!!




    も、もしや借りパ、、、いやいや!!
    誰よ!早く返してー!!



    と念を送っていたら
    やっっっと返してくれたようで
    やっと借りられました(o^^o)




    佐藤さんの作品は初めて読みます

    『熟柿』(じゅくし)と読みます




    ちょうど向かいのおばあちゃんが柿をくれました(^^)枝についたままの柿に子どもたちは大喜び(´∀`)
    でも食べるのは5歳の息子だけ、、、笑


    この時期いろんな方に柿をもらって5歳の息子だけデザートが豪華になってホクホク顔をしてます笑



    『柿が好きだし、ドングリも好きだか

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    2025年11月16日
  • 熟柿

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    熟柿という言葉を初めて知りました

    読んでいくと確かに熟柿という言葉ぴったりな作品でした

    ある日起きてしまった一つの出来事
    罪を償わないといけないし、この罪は償っても消えることはありません

    そんな罪を背負ったかおりは一人で生きていきます

    正直読んでて辛い気持ちになってけど、かおりのなかにある息子という希望が唯一の光で、読んでてとにかく幸せになってくれと願ってました

    熟柿というタイトルの通り、息子との再会っていう夢は叶ったけど涙ありの感動の再会というよりは、これから先の希望に繋がっていくって感じのラストでした

    罪を犯した一人の人間の一生にフォーカスした読み応えのある作品でした

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    2025年11月16日
  • 鳩の撃退法 上

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    時系列が前後したり、一人称が作中と外とへ色々な軸へ交錯するので、頭の中で順序や人物を追っていく必要がある。
    また一人称が語る描写一つ一つが、情景を抉り出すかのよう緻密で、時折り本筋から飛ぶようなレトリックもあるので非常に文学的的という感じがする。

    展開も先を読ませない、主題の意味するところも上巻の時点ではよくわからない。
    読む者を惹きつけるが一方では読むのにエネルギーを要する作品といえるかもしれない。
    それは著者が吐き出すエネルギーからくるものかもしれないし、単純にページ数が多いから、ということなのかもしれない。

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    2025年11月15日
  • 熟柿

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    装丁やタイトルのシンプルさと同じく、ただひたすら息子に会いたいというとてもシンプルでひたむきな想いが描かれている。かおりの罪はどんなことがあってもしてはならないことで後から悔やんでも裁かれることは致し方なく、息子が将来、本当の母親の過去を知った時にどう思うかを考えるといたたまれなくなる。でも、自分が同じ立場だったらやはり会いたくて堪らないだろう。長い年月の間にたくさんの苦労や絶望がありこれでもかとの追い討ちが辛すぎる。その先でのやっと叶った息子との邂逅には涙が出た。淡々と語られる中に、陰と光を見た。

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    2025年11月03日
  • 熟柿

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    おかしてはならない罪をおかしてしまったかおり。
    罪を償った後、
    千葉から西へ西へと追われていくが
    その都度、
    手を差しのべてくれる人が現れて
    何とか生きながらえていく。
    最後の地で出会えた土居さんの言葉がいつも深い。 
    咲ちゃんも真っ直ぐないい子だよね。
    苦しくて辛い展開が続くけれど
    それでも読み終えて良かったと思う。
    熟柿の意味を噛み締める。

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    2025年11月01日
  • 熟柿

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    一時の判断の誤りのゆえに、刑に服すことになり、獄中出産した息子を思いながらも会うことも叶わず流転を続ける主人公。彼女の切々とした言葉、息子への思い、後悔などがとてもリアルで、彼女の身を案ずる身内であるかのように引き込まれて読み続ける、なかなか重い読書体験だった。

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    2025年11月01日
  • 熟柿

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    初めは主人公の我を失うほどの衝動や、ポジティブとも狂気とも取れるような行動力に若干置いてかれるような感じだったけど、焦らず1度深呼吸してみてと寄り添ってくれるような話だと思った
    数人、会話が焦ってるような台詞回しなのもそういう意図なのかな
    最終的には良い話

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    2025年11月01日
  • 月の満ち欠け

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    佐藤さんの作品は、「永遠の1/2」「身の上話」しか読んでおらず、直木賞受賞作の「月の満ち欠け」は途中で挫折していたことを思い出してaudibleで聴いた。
    当時は前半でオカルトチックな道具立てや複数の時間軸とエピソードを読みこなす余裕がなかったのだろうが、待った無しのaudibleで聴いたお陰か?きちんと最後までいつもの会話の妙も楽しみ、過去と現在がつながり伏線回収されて物語の軸である純愛ストーリーまでたどり着いた。そして、さらにどんでん返しからのもう一つの…

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    2025年10月26日
  • 熟柿

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    静かに悲しく、でも強く生きていくお話だった。
    妊娠中に事故をおこし、服役中に出産。離婚し、子供には1度も会わせてもらえず、会いたいあまり幼稚園、小学校におしかけ警察ザタ。
    終始暗いけど、なぜか読み進めてしまう。これも筆者の腕なのか…
    目的ができてからの母は強かった。
    熟柿とは熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つことの意味もあるらしい。
    そこからの熟柿なわけだと納得。
    最後に土居さんが柿の実が季節になれば熟すように、物事の成熟には適した時期があると言ってあげた時に土居さん、ステキだなぁと思った。
    熟柿の意味を知れただけでもこの本を読んで良かったと思う。

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    2025年10月22日
  • 月の満ち欠け

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    前世とかうまれかわりとか、あまり考えた事はなかったけど、それほど愛情深く蘇る事がその人にとって又周りの人にとって幸せなのか考えさせられる。もしかして、誰もがその事実に気づかずに日々を過ごしているのだとしたら、その事実に気付く事でどんなふうにかわるのだろう。
    そして、私自身前世に思いを馳せてみる。
    私の心も頭も何も記憶していない。
    その現実に私は満足している。
    もし、過去生を記憶せずに、次の人生をえらべるのであれば、私に能力があり懸命に勉強して、人の役に立てる職業につきたいと思う。
    そして、愛する四人の子ども達の母親になりたいと思う。

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    2025年10月18日
  • 月の満ち欠け

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    久しぶりの佐藤正午。
    相変わらず、物語の流れに引き込まれてどんどん読み進めてしまう。
    一冊を通じて飽きることなく、最後まで心地よく読み切れた。

    深く心に染みるタイプの作品ではないのに、なぜか読後の印象がしっかりと残る。
    この独特のリズムは好きな作家のうちの1人です。

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    2025年10月16日
  • 鳩の撃退法 上

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    もしあの場所で出会っていたら…小説家を小説の主人公にして、入れ子状態で展開される話が面白かったです。ピーターパンの話に出てくる心の箱についての描写を読んで、ピーターパンも読んでみたくなりました。

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    2025年10月01日
  • Y

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    かつて親友だったと名乗る男からの電話。主人公には心当たりがない。なぜなら語られる物語は「Y」の字のように分岐した世界線の話だったから。いったい何があった?知りたくて、ページを捲る手が止まらないが、捲るたびに苦しくなった。読後は「もしもの世界」に思いを馳せずにはいられない。

    あったかもしれない世界のことを考えても、自分にとっての現実は今生きている世界でしかなくて、向き合うしかない。弓子の言う「運」も分かるが、加藤由梨の言う「縁」もあると思う。自分の運命って、自分で選んでるようで、自分だけでは決して決められない。ままならないことはいっぱいあるもんね。

    北川がその後どうなったのかが気になる。何周

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    2025年09月08日