佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★SFの設定を生かした男の切なさ★佐藤正午の小説のテーマは「去りゆく女と後悔する男」なのではないか。そして僕は、こういう離れていく女の話が好きなのだろう。解説でも触れているように、同じ時間を何度も繰り返して生きるアイデアそのものはオリジナルではなくても、別の人生では前の人生での知り合いを失ってしまう切なさの描き方が著者ならでは。それも語り手である主人公を別の人間とすることで、より距離の遠さが浮かび上がる。別の人生でも同じ人々が身近にいるというのがご都合主義だなと読みながら思っていたが、「縁」という表現で最後にまとめられるとなんだか納得してしまった。
★2019/8再読
うっすらと以前に読んだ気はしたが、内容はすっかり忘れていた。2度楽しめたのだからよかった。佐藤正午の面白さとは何だろうと改めて考えてしまった。設定はそこまで奇抜ではなく、性の場面も出てこない。ミステリー感と切なさの案配、取り返しのつかない後悔に引き付けられてやまない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく読み応えがあって良い作品だった。轢き逃げをして服役してどん底の人生を歩んでいる市木さんの葛藤が繊細に書かれていてすごく読んでいて苦しかった。でも、最後にタイトルの熟柿の意味がわかった途端はっとさせられた、、、。
熟柿→熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと
市木さんが、事件を起こして反省して、そこから一途に息子のことを思い続け、懸命に働いて最終的に拓君と会えた時は本当に感動(;_;)
熟柿と市木さんがしっかりマッチしていて、この小説の凄さが伝わった。とにかく久住呂咲さんと土居さんいいひと過ぎて(;;)めちゃめちゃこの2人に個人的に救われた。 -
Posted by ブクログ
題材
・15年前の交換殺人
テーマ
・人生最後の欲望
誰が何をする話なのか
・古堀が、15年前に起きた殺人事件の真相を究明する話(自分が考えた物語が正しいかを知りたい。それは変わり映えのない日々に突如現れた刺激)
最も伝えたかったこと、何が新しいのか
・構成の妙(最後の章の続きが最初の章になっている)
キャッチコピーは何か
『過去はあなたを離さない』
『決断そして実行 ふたつの人生の 許されざる接点』
その他(心に残ったことなど)
・登場人物が特段魅力的でもなく、物語の動機もなんだっけと思うほどで、交換殺人のトリックにフィーチャーしている様子もなく、だが読み耽った、不思議だ -
Posted by ブクログ
ネタバレ↓本の中身についてだれかとがっつり共有?したくて、ネタバレまみれの拙い誰目線長文、汗↓
人は死んだあと生まれ変わり得る、という考えを含む話。
ひとりのひとつの思考を基にして、時も場所もばらばらだった人たちがすべて線で結ばっていき、多かれ少なかれ影響を与えあう過程が描かれていておもしろい。
時系列はばらばらでも、唯一、瑠璃だけがすべての世界を生きていて、瑠璃の仕草や口調がすべての場面に落ちているから、短編集のようになってないところが好きだった。
だからこそ、登場人物が多くて混乱しそうになるが、映画のキャスト、短歌、ライター、、などでそれぞれ対比させているところが、登場人物の多さにより意味を感じて素敵だなと思った。
ほかにも、「」の有無、色の表現などといった、いわゆる"よくある"手法もたくさん落ちていたところも好みだった。
特に大好きで感動したのが、物語の終わり方。
物語は小山内視点からはじまった。当然、終盤も小山内視点だと思っていた。
しかし、小山内視点の最後は4/5章。
それも、とある人物を思い浮かべて、(娘・瑠璃と共に亡くなった)妻・梢の生まれ変わりが存在しているのではないか、と小山内自身が考えを揺らしたシーンだった。
これには未熟ながら、「ありがちなハッピーエンドか」と思ったりもしてしまった。
しかし、そのまま最終章を読むと、視点は全く変わり、現在軸の瑠璃(=緑坂るり)でびっくり。最初は誰視点かわからなかったくらい唐突の場面変更だった。(4章の終わり方も、最終章の始まり方も)
4章を引きずらなかったのが、ラストに三角×るりをもってきたのが、良かったと思う。
もっと言うと、「小山内の妄想」で留めたのはものすごく良かったと思う。ありきたりな「妻も生まれ変わりで、自分に会いに来てた」パターンのハッピーエンドじゃなくて、その"妄想"をすることで、小山内の考えが(変わるではなく)揺らぐきっかけになっただけなのがほんとうに、大好きでした。思考が揺れている小山内、のあとを描かないのも大好き。
しかも、瑠璃も希美もるりも含めて、"瑠璃"の視点が描かれたのって初めてな気がする。(曖昧な記憶)
結局、すべての登場人物に共通してるのは瑠璃だからたしかに適切であって、逆にここで初をもってきたことに感動。
これは少し飛んだ妄想だけど、
小山内視点でみれば、物語ってきっと四章で終わってて、五章はアナザー/アフターストーリー、くらいなのかなと思ったり。でも、物語の本質は五章に全部含まれてる…っていう…。楽しい。素敵。
最終章の三角の言葉が「」で表されなかったのも粋だなと感じた。読者はあくまでるりの頭の中だけをみてる。三角とるりの関係や実状は、こちら側の想像に委ねられるし、なんなら、あえて伝えたくない、ふたりだけの秘密のような、そんな状況を思わせる表現で素敵でした。
…
大人になってから真面目に読んだ1冊目がこの本で良かったです。
きっとこれがわたしの読書人生のベースになっていくんだろうな。たのしみ。
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Posted by ブクログ
佐藤正午最新エッセイ集
前作「正午派2025」の興奮冷めやらぬのに。
あれはエッセィではなかったか? まあいい
小説家の四季というサブタイトル通り、季節ごとに発表されるエッセィだが季節には全く関係のないテーマで、ちょっと退屈だなと飛ばし飛ばし読んでいると、次のエッセイで前回のテーマがまだ続いている、下手すると一年を通してそのテーマが語られている。
訳が分からなくて、前回に戻りまた読み返す・・・
「真剣に読めよ」という作者の意図?
今回のハイライトはやはり編集者にまつわる話。
デビュー作からの編集者についてのエピソードは本当に感動的で、泣かせる話なのに、正午さんはなんでかなぁ・・・
素直じゃないというか斜に構えているというか、意固地というか。
本当にお世話になった、有難かった、感謝している、となぜ言えない?
正午さんらしい
昨今の物価高騰は出版業界も深刻な問題で、そこで苦肉の策として本書でとられた策
笑える。でも違和感なし。
かたくなに佐世保を出ることなく、自由に気ままにこれからも執筆にお励みくだされ。
そうめんだけではたんぱく質が不足しますよ。