佐藤正午のレビュー一覧
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『つまりさ、5万円はどんな状況においても5万円の価値を発揮するんだよ。ところが愛情の価値は不安定だ。女が支払った5万円はパジャマを受け取った男にとっても5万円だけど、女が一針一針にこめた愛情は受けとる男によってはゼロの価値になる場合がある。ゆえに結論としては、愛情は5万円に劣るんだよ。まちがってる?』
『でもあたしは当時のあたしを笑うつもりなんかないわよ。あれから20年たって、うん、正確にいえば20年じゃ足りないけど、いいじゃないの税金の申告じゃないんだし。』
『お金というのはやっかいなものですね。足りなければ大切な人を失ってしまう。あり過ぎても失ってしまう。』
『あなたの一番幸福な時は -
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ネタバレ第157回(2017年下半期)直木賞受賞作。
素敵な小説でした。
落ち着きある、駆け足にならない速度の文章で書かれていて、
読んでいる期間中、いい時間を過ごせました。
「輪廻転生」「生まれ変わり」が大きな仕掛けになっています。
だからといって、オカルト色が前面にでている
けばけばしい作品ではありません。
ロマンティック。
見ようによっては、ヒロインのその深い情愛に怖さを感じるかもしれない。
それでも、読後感といい、相手役のキャラクターといい、
素敵なロマンスを独特の角度から語った小説と言えそうです。
中盤の正木瑠璃と三角哲彦の章は、
これだけで短編としてでも、まばゆく、優しく、燦然と輝く出 -
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直木賞を受賞された作家の文庫を何気なく手にとってみた。
初めて読む佐藤さんの本。新たな作家の発見に少しわくわく。
題名からどろどろした女と男の話を期待していたのだが、いい意味で裏切られた。
男の目線から見たときの恋愛の話は新鮮で、女ほどのねちねちとした感覚のない、さわやかな、いやあっさりとした男女関係が独特の口調で語られる。
短編で構成されており、読みやすく、どの話も切り口が違って楽しめた。
終わり方もあっさりとしていて逆に切ない。
あっさりとした考えだからこそ、それって好きってことなんじゃ…と思う場面もいくつかあったが、それは私が女だから思うことなのかもしれない。
とりあえず、他の佐藤さん -
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「時間は無駄には過ぎていかないと思うよ。人が時間を無為に過ごすことはあっても」
『僕には性欲と恋愛との区別がつけられない。性欲と恋愛と魔法の区別もうまくつけられない。』
『「嘘だけは聞きたくない」とそれから彼女はくり返した。「あたしたちのあいだで」
あたしたちのあいだで。初めて会ってから十日間に五回もホテルへ行き、その倍の数のSEXをしたふたりのあいだで、夫のいる三十代の女と二回離婚歴のある四十男とのあいだで。』
「憶えてるか? これも初めて会ったときのことだ。長谷まりは映画の話をしたな。確かバットマンのなかにあこがれのシーンがある。キム・ベイシンガーが壁ぎわに男を押しつけて、男のネクタ -
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佐藤正午の『ジャンプ』という小説は、コンビニにリンゴを買いにゆくといって消えたガールフレンドと取り残された僕の5年間の物語である。
ミステリーとして絶賛されたそうだが、これはミステリではなく、紛れもなく優柔不断でやさしくって冷たくって少しシニカルな佐藤正午のいつもの話なのだ、と思った。
主人公に対して、ああ俺ってこんな優柔不断できたねえ野郎だなと、フムフムとうなづくことはできても共感はできない。だから書評とか読むと、怒ってる女の人たちもいたりするのだろう。でもそれが佐藤正午のいいところなのだ。
その頃、1991年に書かれた『放蕩記』を、自宅の本棚の奥から引っ張り出してきて読むことにした。自伝風 -
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★SFの設定を生かした男の切なさ★佐藤正午の小説のテーマは「去りゆく女と後悔する男」なのではないか。そして僕は、こういう離れていく女の話が好きなのだろう。解説でも触れているように、同じ時間を何度も繰り返して生きるアイデアそのものはオリジナルではなくても、別の人生では前の人生での知り合いを失ってしまう切なさの描き方が著者ならでは。それも語り手である主人公を別の人間とすることで、より距離の遠さが浮かび上がる。別の人生でも同じ人々が身近にいるというのがご都合主義だなと読みながら思っていたが、「縁」という表現で最後にまとめられるとなんだか納得してしまった。
★2019/8再読
うっすらと以前に読んだ -
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何度も転んでは食いしばって生き抜く女性の人生のお話。
転ぶ内容も、警察沙汰という重い内容。
また、刑務所内で出産とは、嘆かわしい。
可愛い我が子と強制に別れるなんて。
どうしても、会いたいという抑えられぬ気持ちが悪い方向に転がっていく。
親戚の叔母さんの葬式の帰りが発端。
幸せ絶頂からコロコロと転び、読み手の私も切なくなってくる。
なんで、こんな事になるの?と本当に悔しくなる。
いい人も中には現れるのだが、くせものは、元夫。どんなストーリーの中でも、元夫って邪悪に見えるのね。
本当にコイツは許せぬ!
主人公も、かなりの頭の弱い人なのか、もう少し考えればわかる事なのに、ヘマをする。それも愛 -
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ネタバレ嫌われ者の大叔母が亡くなって精進落としの際、賑やかな宴会になる。大叔母が大事にしてた庭の柿をお手玉のように遊んだのを「祟られる」と咎められた。
その日、夫は泥酔し妊娠中のかおりが嵐の夜道を運転して帰った。が、視界に急に現れた、暗闇に柿を大量に持って立っていた大叔母に似た老女を轢いてしまう。だが、あれは大叔母の祟り?・・・と、思い込んで去ってしまった。
家の車庫にいつもはバックで入れるのに、パニックで前から入れようとするとぶつけてしまう。
翌朝、夫は車を修理に出す。
かおりは、本当に老女を轢いていたし、轢き逃げ犯として裁判になり2年半、栃木の刑務所にはいった。
翌朝、修理に出したことで証拠隠滅し -
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轢き逃げで人を殺めてしまった女性。それをきっかけに夫と離婚をし、産んだ子どもとも引き離され会うことも叶わない。その上、罪を償い出所してからもその過去に自ら苛まれたり、他者から疎まれたりしながら隠れるようにして生きていく。希望は自分の産んだ最愛の子どもただ一人だけ。
社会は一度犯罪を犯した人に厳しいんだろうと思う。実際にその立場になった人じゃないとその感覚はわからない。いつ前科者とバレて追い出されるかもわからない中でひっそりと暮らす。
女は各地で働き、様々な出会いをする。ずるいヤツもお人好しもいる。どれだけ傷つけられて何度裏切られても、どこかで息子が生きていると思うだけで強く生きられる。人の