【感想・ネタバレ】夏の情婦のレビュー

あらすじ

みずみずしい感性が光る永遠の恋愛小説集。

「ひとつ例にとると、『傘を探す』という作品。僕はこの、失われた雨傘を探して夜の街を、人から人へとめぐり歩くストーリーをいまでも面白いと思います。

もし若い佐藤正午がこれを書いていなければ、いま僕の手で新たに挑戦してみたいくらいです。

短編集『夏の情婦』を読み返して、この五編がいずれも、書くべきときに書かれた小説である、と三十年後のいま思える、それが僕の率直な感想です」
(本書「三十年後のあとがき」より)

「鳩の撃退法」、「月の満ち欠け」と、次々に小説読みたちを唸らせる傑作を発表し続けている著者が、「永遠の1/2」でのデビュー直後に執筆した恋愛小説五編を収録。

「傘を探す」の他には、小説賞を受賞した三十一歳のぼくがネクタイを介して大学生の自分と年上女性との恋愛を追憶する「二十歳」、男と女のフラジャイルな関係を気だるい夏の残暑のなかに再現してみせた「夏の情婦」など。

いずれも恋愛をテーマにしているものの、その語り口は変幻自在で、すでに「小説巧者」の片鱗をうかがわせる作品ばかりだ。

【ご注意】※集英社より一九九三年三月に刊行された文庫をもとにして、新たに著者が書き下ろした「三十年後のあとがき」を加えて、再文庫化したものです。

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Posted by ブクログ

良すぎるというか好みの人だった。

遠野さんと似ているなと思ったら「恋人」に出てくる、面倒さ、鬱陶しさを覚える女も同じように書かれていると思った。そしてやはり主人公は身体を鍛えている。客観的で理論的で、ある人から見れば冷酷な、そういう考え方が好きだと再認識した。そうして感情的な女の部分に迷う。

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2021年09月25日

Posted by ブクログ

どれも面白かったけど、特に「傘を探す」が秀逸。姉への近親相姦を思わせる秘めた思慕と、そんな姉を奪い取った義兄への憎しみ。そんな複雑な思いを相変わらずのシニカルなタッチで描いていく。それから巻末に収録された著者自身による「30年後のあとがき」もよかった。作家はいつも「今、この瞬間」を書くのだ、という強い決意。彼の文体に惹かれるのはその緊迫感が滲み出ているからだ。世に溢れる凡百の流行作家とは隔絶している。この点では作風は全く異なるが、村上春樹と通じるものがある。

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2018年10月16日

Posted by ブクログ

直木賞を受賞された作家の文庫を何気なく手にとってみた。
初めて読む佐藤さんの本。新たな作家の発見に少しわくわく。
題名からどろどろした女と男の話を期待していたのだが、いい意味で裏切られた。
男の目線から見たときの恋愛の話は新鮮で、女ほどのねちねちとした感覚のない、さわやかな、いやあっさりとした男女関係が独特の口調で語られる。
短編で構成されており、読みやすく、どの話も切り口が違って楽しめた。
終わり方もあっさりとしていて逆に切ない。
あっさりとした考えだからこそ、それって好きってことなんじゃ…と思う場面もいくつかあったが、それは私が女だから思うことなのかもしれない。

とりあえず、他の佐藤さんの本も読んでみようと思った。

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2017年12月06日

Posted by ブクログ

表題作を含む5つの短篇集。

表題作もよかったけれど、個人的には、やはり「傘を探す」もおもしろかった。
映像化されたらどうなるんだろうと考えながら読んだ。

また、著者自身による「三十年後のあとがき」もすばらしいものになっている。

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2017年11月29日

Posted by ブクログ

タイトルと作者に惹かれて手に取った1冊。

リアルな話だと感じた。

5つの短編で構成された作品。

『傘を探す』が個人的にはお気に入り。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

やや寡黙な青年が主人公の短編5編。とてもリアルに感じられ、また、作者が同年齢の頃に書いた小説でもあることで、本人の自伝ではないかと思いながら読んだ。
男目線での恋愛小説は主人公が寡黙な人であるならある程度モテなければ物語にならないと思うが、そんな願望も含めて楽しく読めました。傘を探して出会いを重ねる「傘を探す」が一番印象に残る。

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

社会的には、そしておそらく女性から見たらダメな部類に入る男の恋愛を描く短編集。
みんなどことなく投げやりで、でも不思議と女性にモテて、だけど最後まで思い通りにはいかないところが良いなあ。デビューした頃に何冊か読んで以来久しぶりの佐藤正午さんだったけど、若い時には感じなかった味わいがあるかも。
もう少し別の作品も読んでみようかな。

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2022年09月12日

Posted by ブクログ

短編集
そろいも揃って酒と女にだらしない
個人的には嫌なタイプの男性が主人公
だけどやっぱり独特な文体に引き込まれ
詩的な表現のような描写に
ハッとさせられるかと思えば
どたばたコメディぽかったり
技巧的で読ませるなぁと感心する

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

人は自分に似たものを嫌うのではないだろうか。だからかもで、僕は佐藤正午が好きになれない。彼が書く小説も。この短編はすべて一人称で、饒舌すぎる。まずそこが苦手だ。うるさすぎるのだ。「黙れ」と言いたくなる。そして自分に似ただらしなさ、品のなさ、女好き、酒好き。読んでいて息が苦しくなるほど、この小説から抜け出したくなった。もう佐藤正午は読まないと誓った。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

【かわいた地面に水を撒いて、そこから立ち上がった】

面白いかと聞かれればそうでもない。読むのが遅いが読みづらいかと聞かれればやはりそうではない。

ただ、通り雨のような一瞬の凪。

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2017年12月06日

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