佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
非常にすっきりとした文章でした。
カバーイラストの背景は白で書名は薄いグレー、陰影は最小限に手とリンゴを描いているのも納得です。
リンゴを買いに行ったきり戻らなかったガールフレンドを追う主人公の独白です。
書き出しがかっこいい。
カクテルと靴の話から物語が始まるのですがこれは終わりまで、物語に浸った読者をジーンと響かせてくれます。
火薬を使うような派手な演出はないですが、物語の構成はサスペンスに富んでいて楽しいです。読者の疑問は主人公の緻密な推理と自然に重なっており心地良く読めます。
ガールフレンドとの馴れ初めのシーンがお洒落で好きです。
どんな人にこの本を勧めるのかといえば運命に打ちの -
Posted by ブクログ
ネタバレ『鳩の撃退法』では、どこまでが現実の話で、どこまでか小説の話なのか理解するのに苦労した。
『月の満ち欠け』では、誰が誰の生まれ変わりなのか理解するのに苦労した。
そして本書『冬に子供が生まれる』では、どれがマルユウでどれがマルセイなのか理解するのに苦労した。
でも仕方ない。作者がそういう風に書いているのだから仕方がない。小説は、一度で理解できるように書かなければいけないという決まりはない。あえてミスリードするように書いているとすれば、それは登場人物たちの混乱を、そのまま伝える意味もあると思う。
しかし、それでもやっぱり謎は残る。この小説の書き手である湊先生も真相は知らないし、マルセイとマルユウ -
Posted by ブクログ
この作品は映画を先に見た。というか、先に知った。エンドロールで原作があることを知り、佐藤正午……見覚えのある名前だ! たしか『月の満ち欠け』という小説を読んだことがある──それがきっかけだった。
本書の主人公は、津田という小説家である。津田は行きつけのドーナツショップで、ある男と相席になる。その男が読んでいる本の帯に、こう書いてあった。「別の場所でふたりが出会っていれば、幸せになれたはずだった」。津田はそれについてこう言う。「だったら、小説家は別の場所でふたりを出会わせるべきだろうな」。じつは、これが小説全体の大きな説明になっている。
津田が相席した男は幸地秀吉といった。この幸地秀吉が、その夜 -
Posted by ブクログ
主人公とは、性別も年も職業だって何から何まで共通点はないはずなのに。
とことん感情移入してしまい、、、
わたし自身もモヤモヤした日々を送りました。
後半にさしかかり、
あれ?これって一番最初に書かれてなかったっけ?と読むと同時に過去の記憶をたどる私。
ああ、もう主人公じゃんわたし。
記憶と記録と、そして体感に残るもの、香り。
記されるもの、記されないもの。
存在するもの、しないもの、でもたしかにあるもの。
丁寧に、細やかに辿っていった先に待っていた結末に鳥肌ゾクゾク、ぞわぞわ。
自分がまさに殺されると思いながら、
どこか切なさを感じながら読み終えました。
佐藤正午さんにハマりそう!
次は何を -
購入済み
身の回りやこの世のどこかでもこの様な事が
当たり前に起きているのだろうなと思わされました。
愛は命をも超え受け継がれる。
自分もそう思える素敵な人を大切にしていかなくてはと再確認させられました。 -
Posted by ブクログ
『つまりさ、5万円はどんな状況においても5万円の価値を発揮するんだよ。ところが愛情の価値は不安定だ。女が支払った5万円はパジャマを受け取った男にとっても5万円だけど、女が一針一針にこめた愛情は受けとる男によってはゼロの価値になる場合がある。ゆえに結論としては、愛情は5万円に劣るんだよ。まちがってる?』
『でもあたしは当時のあたしを笑うつもりなんかないわよ。あれから20年たって、うん、正確にいえば20年じゃ足りないけど、いいじゃないの税金の申告じゃないんだし。』
『お金というのはやっかいなものですね。足りなければ大切な人を失ってしまう。あり過ぎても失ってしまう。』
『あなたの一番幸福な時は