佐藤正午のレビュー一覧

  • 熟柿

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    激しい雨が降る夜に犯してしまった過ち。
    そのせいで産んだばかりの子どもと引き離されたかおりの悲痛はいかばかりであったろうか。
    刑務所を出てからの日々もまた、罪の意識を抱え続けたまま、数々の困難にも見舞われ、もうここまでにしてあげてと、読みながら何度願ったことか。
    苦難の日々を過ごしながらも、生き別れとなった息子を思いながら、決して届くことのない手紙を書き続ける母としてのかおりの気持ちに触れる度に、何度涙を流したことか。
    どの角度で切り取っても、名作中の名作と呼んでも大袈裟な表現ではないだろう。

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    2026年02月01日
  • 熟柿

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    たしかに犯した罪は小さくはないが、立ち上がろうとする度に足を引っ張られたり、積み上げてきたものを台無しにされたりするのが居た堪れなくなりました。
    息子への出す宛のない手紙としての独白が本当に悲しくもあり、愛を感じさせます。

    ドラマチックな出来事は現実では簡単には起こり得ないですが、それでも、深い悲しみの底でも、熟れた柿が自然と落ちるように時機を待ち、上を向こうと思わせてくれる内容でした。

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    2026年01月30日
  • 熟柿

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    ネタバレ

    母親が息子と16年ぶりに再会するまでの葛藤が緻密に描かれている。作者の、当事者なんですか、と疑ってしまうほどのリアリティのある描写が秀逸。息子と再会するシーンでは自然と涙が溢れた。彼女の原動力はいつだって息子の存在だった。300ページにもおよぶページを使って描かれてきた彼女の人生に心から共感したのだと思う。

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    2026年01月29日
  • 熟柿

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    なんか、なんかすごい、、
    言葉に表せないけど!


    なんて可哀想な人なんだとずっとかおりさんを
    思っていたけど、
    最後の土居さんや拓くんとのやりとりで
    よかった泣、、!と思った。

    とっても細かく描かれているのに
    くどくなく、わかりやすく、
    没入できて想像できて読みやすい文章。

    まだその時でない。その時が必ず来る。
    そう信じて生きていく。

    1人の一生を一緒に歩んだ感覚になりました。

    じゅくし。読んでよかったです

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    2026年01月28日
  • 熟柿

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    「なんで最後の最後に泣かせにくるの」
    佐藤正午さん、これはずるいです!

    晴子伯母さんの葬儀が終わった。激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産するが…。

    真夜中に熟した柿の汁を啜る伯母の話で一気に引き込まれた。27歳で道を踏み外したかおりの人生は、投げ上げられては落ちてくる、まるでジャグリングされる柿を見ているようだと思った。千葉からひとりで居場所を転々としながら、九州の博多にたどり着く。
    「わたしは今年で42歳」
    我が子のためと生命保険に入り、やみくもに働き続けるかおり。世間の目から身を縮めて生きてきたが、それでも「息子の拓に会

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    2026年01月28日
  • 熟柿

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    面白かった。やめてーやめてーこれ以上辛いこと起きないでーやめてーって思いながら読んだ。そして最後の新事実。面白いー!!

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    2026年01月26日
  • 熟柿

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    物事には時間が必要なこともあるよなあ、と改めて感じた小説。

    ひき逃げをしてしまった母親が息子と引き離されてしまう。誰にも起こりうるかもしれない。
    それは我が子をひと目見ることすらかなわないほどの罪だったのだろうか……とも思うのだけれど、そこが佐藤正午さんの描き方のすごいところで。

    事故を起こしてからの母親はなんだか危うく感じられるのだけど、少しずつ思考がしっかりしていくように見える。
    もしかしたらすぐに息子と会えて幸せな世界線もあったかも分からない。
    だけど最後まで読むと、本人にも周りにも、これだけの時間が必要だったのだなと思えた。

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    2026年01月25日
  • 熟柿

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    木綿のような質感のシンプルな文章で語られる、主人公の半生。
    根無草のようにしか生きられない事情を抱える人の中には、もっと悲惨な状況にある人も少なくないのではと思う。
    だからこそ、主人公に出会ってくれた人たち、久住呂親子や土居さんはもちろん、パチンコ屋の店長さんやそのお姉さんや、いろんな人たちに主人公に代わってお礼を言いたくなった。
    世の中こんな風にうまくはいかないと言う人もいるかもしれないけど、こんな風に報われることもあると信じたい。
    映画化してほしいな。

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    2026年01月25日
  • 熟柿

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    ネタバレ

    〜あらすじ〜
    主人公かおりは妊娠中に起こしたひき逃げ事件により獄中出産をし、その後夫と息子とは離ればなれに。かおりは職を転々としながらも堅実な生活を送る。子供の成長を見れなかった悔しさから加入を決めた生命保険では、相続人を息子にする。
    またひき逃げ事件で犠牲になった老婆に償うように、介護福祉士への道を志すように…


    〜印象的なシーン〜
    久住呂さんがかおりの息子拓に対して
    (かおりが)「いままで一人でどれだけ苦労してきたか、誰のために、どれだけ一生懸命働いてきたか想像できる?」
    と言い放つ場面


    〜印象的なフレーズ〜
    『熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと』

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    2026年01月25日
  • 熟柿

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    かおりは雨の夜、轢き逃げ事件を起こす。
    服役中に息子・拓を出産。
    会いたい一心で息子を連れ去ることを思いつく。
    その後、面会を禁じられ
    我が子を思う気持ちを抱いたまま追われるように西へ。

    佐藤正午さんの本は全て読んでいるが
    毎回、感想を書くとなると苦労する。
    強く訴えかける訳でもないのに
    心の奥深く、しんと静まり返った場所に着地する。
    そして、本作も含め全ての作品に言えるのだが
    タイトルがいい。
    信頼できる作家のひとり。
    次はどんな作品を届けてくれるだろうか。

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    2026年01月22日
  • 熟柿

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    子どもを身ごもっている中、雨の中での運転中に老婆をひき逃げし、殺してしまった一章から始まり、その後どうなったのかわからない中、二章目を読み進める。その中で、殺人犯となったかおりの後悔やその後の人生が丁寧に、とても重くえがかれており、先が気になって仕方がなかった。
    かおりがこのままどうなってしまうのか…平穏な日常を手に入れたかと思えば、頭をもたげる罪悪感、希望に見えた息子への思いもどこか自分勝手な妄想になっていき、落とし穴に落ちていく。

    「熟柿」の意味である『気長に時機が来るのを待つこと』はてっきり息子に会うタイミングのことだと思っていたけれど、読み終わった後にはかおりが希望を胸に前に進めるこ

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    2026年01月16日
  • Y

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    ネタバレ

    題材
    ・アイリスイン、アイリスアウト(タイムリープ)

    テーマ
    ・やり直したところで、最後は受け入れないといけない

    誰が何をする話なのか
    ・北川が人生をやり直す話(二回やり直す)

    最も伝えたかったこと
    ・小説の構造自体

    何が新しいのか
    ・タイムリープに巻き込まれる主人公(主人公自体がタイムリープをするわけではない)
    ・SF×恋愛×ミステリ

    キャッチコピーは何か
    『アルファベットのYのように人生は右と左へ分かれていったー』
    『彼女を救うためなら、何度だってやり直せる』

    その他(心に残ったことなど)
    ・佐藤正午は何度も似通った題材やテーマ、小説の構造で書いている。その執念深さというか、変

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    2026年01月11日
  • 熟柿

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    どーんときた

    蓑虫のように、というのは自身の姿を客観的にそう見なしたわけではなく、毛布の折り込み方とか工夫して積極的に自分を蓑虫に寄せてみた

    なんで??
    こういうところが好きです

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    2026年01月19日
  • 月の満ち欠け

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    すごく好きな作品でした!
    これほど執念深く愛されることがどれほど素敵なことか、自分にもそんな愛が芽生るのか。などと考えながら次から次にページをめくってました。

    短い間で何代にも渡って生まれ変わる。その過程で痛い思いや辛い思いもあった。それを乗り越えて尚会いたいと思うなんて、どれほど素敵なことか。

    今度こそ幸せになって欲しいし、いつまでも2人が仲睦まじく会話していて欲しい。

    とてもいい作品でした。

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    2025年12月30日
  • 月の満ち欠け

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    面白くて2度読み。

    生まれ変わったら、なんて言葉はロマンチックだけれど、実際のところ、大変困る。
    生まれ変わっちゃった人も、生まれ変わられちゃった人も。

    やっぱり一生は一回切りだから、
    後悔はできるだけ少なく
    やりたいことやって、
    愛したい人を愛して
    死のう。いや、生きよう。

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    2025年07月20日
  • 身の上話 新装版

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    ネタバレ

    面白かった。
    不倫、宝くじ二億円当選、殺人、誰がミチルのことを話しているのかわからず読み進める。
    若いのに覇気がなく考えなしの行動をするミチルが後に妊娠し、結婚する相手の語り。身近な妻というよりまた聞きのような話し方をするためおかしな距離感を感じ、何か起こっている不穏なムードをかもしだしている。
    最後の1行、自分の元妻殺人を告白して、更に現在の妻、ミチルと竹井の殺人事件を告発するとは!
    読んだことのないパターンだと思う。
    ひらがなでわざわざ書いてある部分はどのような意図なのかわからずモヤモヤ。
    他の作品も読みたい。

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    2025年05月10日
  • 冬に子供が生まれる

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    むちゃくちゃ面白い。ミステリーホラーなのかな? かつてUFOに出会った子どもたちが大人になって覚える違和感。中心をあえて外して周りをぐるぐるしていく不安感、一人称がブレるような仕掛け、集中が途切れる瞬間が主人公たちの追体験な風もあり……。好き。

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    2025年05月04日
  • 鳩の撃退法 下

    購入済み

    さて、小説家に必要な事実はここに揃った。
    ここから彼は紡ぐ。
    実際にあった事実の断片を絶妙に繋ぎ、一つのあり得たかもしれない事実(フィクション)を。

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    2025年04月10日
  • 月の満ち欠け

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    ファンタジーのような、大恋愛のような、いろんな顔を持った小説だった。
    誰も死んだことがないから確証はないが、実際に前世の記憶を持つ人がいるかもしれない。もし大切な人が早くに亡くなり、目の前にその人の記憶を持つという別の人が現れたら奇跡を感じるだろうなと思った。

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    2025年04月10日
  • 冬に子供が生まれる

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    人生の記憶、人々の記憶、あいまいさで満ちているこの世界、何が正しいのか分からなくなることも多々ある。
    人々が感じているこの世界の不思議さや、儚さを、見事に面白く小説にしてしまったような。
    読んでいる間中、2人の少年を混同し、分からなくなってしまう。
    最愛に人たちを亡くした者たちの後悔や、寂しさが痛烈に響き、考え込んでしまう。
    静かな夜に読み終え、この作品を反芻するひとときがずっと続いてほしいと願う。

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    2025年04月09日