佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ものすごい暗い小説だなと思いながら、ツラく読み進めていました。
そしたら、本屋大賞の発表があり、第2位でした。正直、驚きましたが、小説としての完成度は非常に高いのかも、とも感じていたので、読む人が読むと(本屋さんという読書のプロの人が読むと)、分かっちゃうんだなと、本作の価値を教えていただいた気がします。
創作でありながら、次々と起こる出来事や、その時々の周囲の風景や人の動きなどの描写がとても細かくリアルで、まるで現実を写すように状況が伝わってきます。どの場面も頭の中に映像がはっきりと浮かび、文字を追いながら映画を観ているかのような錯覚にとらわれました。
登場人物たちも、こういう人い -
Posted by ブクログ
ネタバレオーディブルで。
雨の夜で人通りがほぼないところ。
そこに徘徊老人。
これは、注意深く運転していても、なかなか難しいだろう。
普通に運転していて避けて自分が事故で死ぬ可能性もあるような状況だ。
夫が結局のところ、わかっていながら、確認せずに隠れ共犯となっていた。
轢き逃げしてなければ、すぐに通報していたら、故意に起こしたわけでもなく、スマホを見てた点はかなりダメだが、状況的にここまで厄介な人生を送らなかっただろう。
しかし、そう言ってたら小説にならない。
刑務所に入った後、人生は大きく狂うのだ。
噂が付き纏い、転々と職を変える。
現代のようにネットが発達してなかったら、もうちょっと仕事は -
Posted by ブクログ
ラストで救われました。
かおり目線で語られるので、全然安心できなくて、安定しそうかと思えばまた不運に。
読んでいても、ずっと心細くて、先が見えなくて、かおりは何故こんなにぼんやりしているんだろうとか、ハッキリ言わなくちゃダメなのに!とか感情が振り回されてとっても疲れました。
それだけ没入できたということですね。
久住呂さん親子、なんという世話焼き親子。
咲ちゃんの正義感はお母さんからの遺伝なんだろうけど、救いのない展開に現れた天使のようだったよ。
ピントがズレたような頑張り方だけど、黙々と頑張っていると手を差し伸べてくれる人があらわれる。
かおりはしっかりお礼を言えているのか気になっちゃうく -
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とても良かった。
テーマとしては明るいものではないので、前半は若干憂鬱な気持ちで読んだ。ただ半分を過ぎた頃から、徐々にさっぱりとした気持ちになり、最後はスッとした気持ちで読み終わることができた。
罪を償うとはなんなのだろうか。罪を評価すると言うことがいかに難しいかを痛感した。もちろん被害者に罪はないという大前提はおいた上で。本の中で出てくる、鶴子ちゃんのように、運よく罪にならなくて良かった、ということもたくさんあるだろう。それと、かおりさんを分けたものはなんなのだろう。
彼女は裁判で「定義された」罪を償った。けれど、その後何年も罪を背負っている。誰が正しく罪を定義できるんだろうか。
本の -
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2026年本屋大賞2位
おめでとうございます。
いやぁ〜読み終えた後の疲労感たるや。読み終えて裏の帯のコメント読んだら、「おっしゃる通り」って感じだった。ひとことで言うなら
『罪を背負って生きる ある母親の半生』かな。
最初の方は主人公のかおりさんが、何事も自分だけの頭の中で想像して完結してしまい、実際に発言もしなければ行動もしないから、もどかしくてイライラしてたけど、徐々に物語に引き込まれて、早く先を知りたい。知りたいけど知りたくない、みたいな矛盾を抱えながら読んだ。ラストのあのシーンは涙堪えきれなかった。
かおりさんのこれからの人生には、心を支えてくれる誰かがそばにいてほしいし、穏やかで -
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「なんで最後の最後に泣かせにくるの」
佐藤正午さん、これはずるいです!
晴子伯母さんの葬儀が終わった。激しい雨の降る夜、眠る夫を乗せた車で老婆を撥ねたかおりは轢き逃げの罪に問われ、服役中に息子・拓を出産するが…。
真夜中に熟した柿の汁を啜る伯母の話で一気に引き込まれた。27歳で道を踏み外したかおりの人生は、投げ上げられては落ちてくる、まるでジャグリングされる柿を見ているようだと思った。千葉からひとりで居場所を転々としながら、九州の博多にたどり着く。
「わたしは今年で42歳」
我が子のためと生命保険に入り、やみくもに働き続けるかおり。世間の目から身を縮めて生きてきたが、それでも「息子の拓に会 -
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ネタバレ題材
・アイリスイン、アイリスアウト(タイムリープ)
テーマ
・やり直したところで、最後は受け入れないといけない
誰が何をする話なのか
・北川が人生をやり直す話(二回やり直す)
最も伝えたかったこと
・小説の構造自体
何が新しいのか
・タイムリープに巻き込まれる主人公(主人公自体がタイムリープをするわけではない)
・SF×恋愛×ミステリ
キャッチコピーは何か
『アルファベットのYのように人生は右と左へ分かれていったー』
『彼女を救うためなら、何度だってやり直せる』
その他(心に残ったことなど)
・佐藤正午は何度も似通った題材やテーマ、小説の構造で書いている。その執念深さというか、変 -
Posted by ブクログ
土砂降りの雨が降る夜道、泥酔して眠る夫を乗せて車を運転していたかおり。友人からの電話に気を取られ、老婆を撥ねてしまう。怖くなってそのまま走り去るが、轢き逃げの罪で服役。服役中に息子を出産する。息子は離婚した夫に引き取られ、「母親に死なれた子供」として育てる旨を告げられる。かおりは出所後、息子に会いたい気持ちを抑えられず、息子の通う幼稚園を訪れるが…
結婚して、子供を産み、家族を作り、子供を成長させ、夫とともに年をとり、次の世代の家族へバトンを渡す。そんな世間一般の人たちの歩く道から踏み外してしまったかおり。過ちと向き合い、ひたすら息子を想ってひたむきに生きる。裏切られたり前科を知られて後ろ指