佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「熟柿」
熟した柿が自然に落ちるように、時機が来るのを待つこと、物事の成就には適した時機があるという意味なのか。
罪の重さは1人で背負おうが、何人で背負おうが変わる物ではないが、拓のためにはこれしかなかったような気がする。
出所を待って家族で背負って行けば少しは軽くなるのかもしれないが、かおりの天職と理解してくれる人達との出会いは、結局罪を1人で償った結果のものだ。つまり機が熟したのだ。
だが!
実際は歳を重ねてくると熟柿まで待てそうにない!
青柿なのにもぎ取ってしまわねば時間が無いかもとせっかちな思考になる。来年またその柿がなっているか⁉︎とも思ったりする。やれやれ。
梅もマンゴーも熟したら落ちる。
だからと言って、「熟梅」「熟マンゴー」では読む気にならないかあ。
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Posted by ブクログ
雲のない夜空には、満ち欠けを繰り返す月が見えます。
月は幻想的な光を放ち、わたしには知るすべのない神秘を湛えているようです。
夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したという逸話が残っているように、月の神秘とロマンはラブストーリーのモチーフにふさわしいと感じられます。
この小説にも、それがよく現わされていると思いました。
一方で、満月が近づくと心身に影響を受けやすく、不調を訴える人もいるそうです。
わたしはこの小説に、月が秘めている「怖さ」も感じました。
平穏な日常にもたらされる異変。違和感をかかえたまま、やがて悲劇が起こります。
この小説によると、死に方には「樹木の死」と「月の死」の二種類があり、人類は「樹木の死」を選んだという伝説があるそうです。でも、もし「月の死」を選べるとしても、わたしは選ばないけれど、ペットの猫には選んで欲しいかもしれません。
切なくて、美しくて、おそろしい、ホラーラブストーリー、そんな小説かと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ佐藤正午さんの作品は初めて読んだ。
読みやすく、面白いという印象。
ほかの作品も読みたいと思える内容。
テーマは何だろうか、と考えると「永遠の愛」という
のが一番浮かびやすいと思う。
その次に「孤独」「死生観」がくるのかな。
作中、「瑠璃」は4人いる。
「生まれ変わり」という設定。
ファンタジーとも取れる設定であるが、その瑠璃と出会い、瑠璃の周りには男性がいる。
三角、小山内、正木、、、
それぞれのプロットも緻密に書かれているので、外側から見ればひどい人間(とくに正木は)に見えてもドラマがあるので、一方的に否定できないと感じた。
その事から人間の多様な見方を読者に強いることで、正義や悪という簡単に人間をカテゴライズできないということも再確認させてくれる。
「おもいが強い人は生まれ変わる素質がある」と4番目の瑠璃は言った。
しかし、それは「純愛」「深愛」と取らせるような内容ではあるが、作中前半に死後、人間はどうなるのか?
輪廻転生やそのままいなくなるのかという宗教的なことも書かれている。
良く捉えると「また巡り合える愛」であるが、「成仏できないで死後も孤独に耐え切れずにいる」とも捉えてしまう。
はたしてこれは幸福なのだろうか?
それも大切なテーマであると思う。
死んでも、死んでもずっと好きな人を思い続けて、蘇ってしまうのだ。
三角が瑠璃のことを数十年後も覚えていて、ようやく出会えたという内容であったが、その間三角はほかに好きな人はいなかったのか?もしいたのであれば、、と思うと
瑠璃は永遠に転生し続けるのか。
三角にとって初めての女性であった瑠璃を死によって美化してしまい、忘れられないというのは人間、特に男性にはよくある。
三角が一番瑠璃に対して気持ちが盛り上がったところで、瑠璃が死んだことでその気持ちを持ち続けることになる。
果たしてこれは「愛」なのか?そもそも「愛」とは?
「月の満ち欠け」というタイトルも、生まれ代わりのメタファーとして神秘的に聞こえる反面、その月の裏側を想像すると「誰も見たことのない恐ろしいもの」があるのでは、と考えてしまえるのが深い。
という深堀を読者にさせるという内容であるので
まんまと作者の意のままにされたという作品でした。
いろんなことを考えれるのでお勧めです。
※ちなみに映画化されていますが、内容はかなり変わっています。2時間の尺では難しいようでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたまたま手にとって、私の本棚で積読になっていた本。情報も何も入れずに読んでいたら、想像を超えた謎が広がって一気に読んでしまいました。
死んで生まれ変わる時に、死んだ瞬間から次の命に引き継がれていくシステム?なので、舞台は連続した時間軸の中で行われている。私は転生モノは勝手に「時代を超えて展開していく」と思いこんでいたので、この本のように「同時代の」この人もこの人も、全部生まれ変わりで繋がっていて…みたいな話は混乱もしたしそれが面白く物語の真相を掴みたくてどんどん読めました。
ちょっと瑠璃さんの挙動は愛というより「呪い」のような印象を受けました。