佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ癖が強くて読みすすめると味わい方がわかり、噛めば噛むほど味わい深くなる様な小説でした。
伏線の回収やストーリー構成が素晴らしい作品ですね。但し、最後まで読まないと突風のようで好き放題な書き方に翻弄されるだけで終わります
(※注意!!)
ナルシストの小説家の記憶を辿っていくような書き口で、つど、その人の思い込みや都合によって好き放題に物語が変えられているのが、新しくて新鮮な体験でした。
時系列もへったくれもないようなストーリー展開だったので、序盤の方はストーリの展開について行けませんでしたが、物語終盤では様相を変え、ここに繋がっていくのか!!という今までが全て伏線だったかの様な展開で最後の -
Posted by ブクログ
僕は、たぶんいつかきっと「佐藤正午賞」という文学賞ができると信じている。現実と空想との狭間、現在と過去との狭間を行きつ戻りつしながら読者を導いていくその小説は、いつも物語がはっきりとした輪郭刻むのを拒んでいるかのようにも見える。もしかしたらそれこそが佐藤さんの世界の見え方なのかもしれない。いやもしかしたら逆に、現実の世界がはっきりと見えてしまうからこそ曖昧なものに憧れを抱いているのかもしれない。いやたぶん、そう感じてしまう僕の感想こそが、すっかり佐藤さんの術中にまんまとはまっている証左なのだろう。
UFOの子供たち、マルセイ・マルユウ。どこまでいっても納得のいく答えは提示されない。それについて -
Posted by ブクログ
かつて親友だったと名乗る男からの電話。主人公には心当たりがない。なぜなら語られる物語は「Y」の字のように分岐した世界線の話だったから。いったい何があった?知りたくて、ページを捲る手が止まらないが、捲るたびに苦しくなった。読後は「もしもの世界」に思いを馳せずにはいられない。
あったかもしれない世界のことを考えても、自分にとっての現実は今生きている世界でしかなくて、向き合うしかない。弓子の言う「運」も分かるが、加藤由梨の言う「縁」もあると思う。自分の運命って、自分で選んでるようで、自分だけでは決して決められない。ままならないことはいっぱいあるもんね。
北川がその後どうなったのかが気になる。何周 -
Posted by ブクログ
おもしろかった
と同時に訳のわからない本だなとも思った。
結局、何が起こったのかはっきりと買いてはいないし、数学の先生はどうして杉森さんに執着していたのか分からないし、亡くなったライターの娘さんも何を求めていたのかわからない。
という、主要でない登場人物のことも気になるし。
主人公レベルのマルセイとマルユウに何が起きたのかも想像するしかないし、マルセイが倒した悪がなんだったのかもぼんやりとしかわからない。
でも私はそういった箇所を自分の頭で穴埋めしながら、想像しながら読むのが楽しかった。
想像する余地がたくさんあることでこの作品はより一層面白いものとなっているし、その余白が好きではない人に -
Posted by ブクログ
輪廻転生を繰り返す瑠璃という女性。
全ては一人の男性ともう一度出会うため。
これだけ見ると、とてもロマンチックな印象を受けるが、
読んでいて、果たしてこの再会は幸せなのだろうかと感じたのも正直な意見。
後半で明らかになる小山内の悟った真実。
これもまた、待ち受けるのは本当に幸福なのか?
苦しみでしかないのではないかとそんな風にも思った。
自分だったら、いつか壊れてしまうのではないかと
そんな風に思い、ゾッとしてしまった。
そう、そんなことを佐藤正午は全て理解した上で、
この物語を我々に突きつけているのではないだろうか。
この数奇なる愛の軌跡をどう受け止めるか。
読んだ我々は試されているので -
Posted by ブクログ
愚かなことに、ずっと「鳩の上撃退法」というタイトルの本だと思っていたが、ある日、「鳩の撃退法(上下)」だということに気づいた。正しいタイトルがわかったところで、何の話なのか全く想像がつかなかった。読んでみて、下巻の途中で初めてわかった。
伏線が張り巡らされ、ストーリーが複雑に絡み合っていて(読者の前に最初に投げ出される謎だけでも何個あるだろうか、というくらい)、途中から読む手が止められなくなるくらい、物語の推進力がある。
要は面白い本だったのだけど…とにかく語り手たる主人公がいけすかない。主人公の周りの人の発言を読むに、いけすかない人物として扱われているのが明白なので、あえてこういう人物像に