佐藤正午のレビュー一覧

  • Y

    Posted by ブクログ

    時々、過去の答え合わせをしたくなるときがある。
    でも、それをして何になるのか?最後は思いとどまるのだけれど。
    あのとき、こちらの選択をしていたら?
    Yのように世界はいくつも存在しているのだろうか?
    向こうの世界の僕はどんなだろう?

    0
    2018年12月23日
  • ビコーズ 新装版

    Posted by ブクログ

    「何してるのだれからだれ出かけるのどこへ。いいかげんにしてくれよ朝っぱらから。クエスチョンマークで頭のなかを引っ掻かれてるみたいだ」

    『そのころ自分の脚を使って歩くのは子供とまだ生き足りない老人だけのように思えた。ぼくたちの眼は車の中から、若い女の顔しか捜さなかったし、ぼくたちの頭には、彼女たちのからだのふくらみやくぼみのことしかなかった。たぶん当時のぼくたちの世界には、子供とまだ生き足りない老人と、そして若い女と男だけしか存在しなかったのである。世界は狭く、ルールは単純だった。寝るか寝ないか、当りかはずれか、生きているか死んでいるか。』

    『どんな恋愛も男次第だよ、と叔母は言った。覚えとき

    0
    2018年08月05日
  • Y

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「Y」。人生の分岐点。同級生でかつて親友だったと名乗る男からある日突然託された物語。疑いながらも真実と思わざるを得ないことが次々と出てくる。思考や言動は繰り返され、別の人間によってもまた繰り返され、どことどこが、誰と誰が、繋がってるんだっけ?とぐるぐる迷路に入り込む。真実の尻尾を掴んだと思ったらするりと逃げ出している。止まらなくて一気に読んだ。楽しかった〜。ストーリーは違うが映画「スライディングドア」を思い出した。

    0
    2018年05月15日
  • 鳩の撃退法 下

    購入済み

    どこまでホント?!

    作家が巻き込まれた事件を小説にしていく過程を描いた斬新な構成。
    どうでもいいようなことがつらつら描写してある箇所が多いのだけど、それがまたリアリティがあって、本当に起こったことのように思えて読み進んでしまう。
    登場人物も案外多くて途中くじけそうになりましたが、最後にはちゃんと伏線も回収されるので、登山した気分になれた一冊(上下あって結構長いので二冊?)でした。

    0
    2018年05月07日
  • Y

    Posted by ブクログ

    よくあるタイムリープものって言ってしまえばそこまでなんだけど物語の持っていきかたが秀逸だった。
    ただ北川はこのタイムリープをいったい何回繰り返すんだろう。選んだ道は違っても同じ人間と違う立場で関わっていくっていうのもただ同じ時間を過ごすんじゃなくて面白いと思った。まさに映画のキャストみたいにそれぞれが色んな役を演じているみたいだなぁ。
    あと話は飛ぶけど、秋間と水書弓子はなんで結婚なんかしたんだろ。
    北川の3度目の人生も覗いてみたくなった。

    0
    2018年04月11日
  • 書くインタビュー 1

    Posted by ブクログ

    すべてメールでやり取りされるインタビュー集。
    相手は現役バリバリの作家、性格は偏屈な気性。
    表情が読み取れないから、
    聞き手は正しく理解される以前に
    誤解を生まない文章に仕立てなければならない。

    そう、普通はそう考える。
    一巻目に登場する聞き手の伊藤ことこ嬢は、豈図らんや、
    大胆というか、分をわきまえないというか、
    無知の知を逆手に取ったかのように
    のっけからトンチンカンな質問を繰り出し
    早々にして作家を激怒させてしまう。

    佐藤正午は3回目の返信にあたり、
    「件名:喧嘩うってるのか」と回答。
    激怒を通り越し呆れたのか、
    「ここからは編集部にむけて書きます」
    「……こんなことをへいきでやる人

    0
    2018年04月06日
  • Y

    Posted by ブクログ

    タイムトラベラーいやパラレルワールド的なストーリー。人生やり直しできればいいなぁと思っていたが、北川を見ると、先がわかるのは、つまんないとも思えてきた。後半は面白くて一気読み。
    2018.3.28

    0
    2018年03月29日
  • きみは誤解している

    Posted by ブクログ

    いやあ、うまいなぁ。
    すべて競輪にまつわる6つの短編を掲載。
    通底するのは漠然とした人生への諦念と、それでも諦めきれずに何かに賭けてみる男たち(女たち)の物語。
    「きみは誤解している」
    いや、誤解していない。
    「遠くへ」
    それは憧憬。
    「この退屈な人生」
    だから何かに賭けてみたくなるんだ。
    「女房はくれてやる」
    時には負けたって当たり前じゃないか。
    「うんと言ってくれ」
    その一言に私は賭けてみる。
    「人間の屑」
    どうせ+-0なら券は買わない。意味ないじゃないか。
    そうだろ?ミスバレンタイン。

    0
    2018年01月22日
  • 永遠の1/2

    Posted by ブクログ

    解説の中で丸谷才一の影響が指摘されていました。
    確かに。
    ちょっと風変わりな日常をキッチリと、しかも淡々と描きながら、どことなくユーモアがある。爆笑は無いし、オチもない。落語でも漫才でも出来ない、穏やかな笑いの世界。そんな全体の雰囲気は丸谷才一に良く似ています。もちろん文体はまったく違うのですが(丸谷さんの旧仮名遣いをまねしたら、単なる亜流になってしまいます)。
    あと、女性の描き方が好きですね。主役級からチョイ役まで、存在感があります。

    0
    2017年10月30日
  • スペインの雨

    Posted by ブクログ

    何なのでしょうね、特に大きな感動がある訳でもないのですが、何故か引き込まれてしまいます。
    連作という訳ではないのに、同じ体験が異なる短編に出てきます。著者自身の経験を元にした作品でしょうね。同じ時代を生きてきたからなのでしょうか、何となくスッと物語に溶け込めるのです。
    肩肘を張るのではなく、流されるが如く。そんな姿勢に惹かれるのかも知れません。

    0
    2017年10月30日
  • 個人教授

    Posted by ブクログ

    やはり雰囲気は丸谷才一に似ていますね。知的な恋愛小説とでも言っておきましょうか。あまり恋愛小説は得意ではない私なのですが、佐藤さんの話は基本的に好きなようです。
    なんだか通俗的なハッピーエンドがちょっと残念なような、でもそれも良いかと思えるような気もします。
    しかし、こういう小説、女性が読んだらどんな感じがするんでしょうね。

    0
    2017年10月30日
  • 小説の読み書き

    Posted by ブクログ

    25人の小説家の代表作を著者が読んでコメントする面白い企画の本だ."図書”で読んだ記憶も一部あったが,改めて通読すると,著者がかなり素直な気持ちを書き記していることに感心した.勘違いも数点あるが,それを素直に改訂している姿勢は,政治家に見せたいものだ.取り上げていた中で大作は三島の「豊饒の海」だと思うが,これはしっかり読んだ.かなり昔なので,佐藤の評価とは相いれない部分があったが,小説家が小説を考える事例は少ないので,面白かった.文章の癖をそれぞれの作家から引き出しているのは,職業的なものだろう.

    0
    2017年10月16日
  • Y

    Posted by ブクログ

    時空を越えて未来から戻ってきた男が、何とかして電車の事故から大切な人を助け出そうとする話。設定は少しベタなところもあったが、話はなかなか面白かった。もっと効率的に対処すればよいのにともどかしく感じる部分はあった。

    0
    2017年09月30日
  • Y

    Posted by ブクログ

    マトリックスやパラレルワールドラブストーリーに模した設定で、日常に対する違和感や疑問がストーリーを動かす。
    ある日突然の友人からの電話を皮切りに、託された手紙から紐解かれる謎と、人間関係やつきつけられた現実、何を信じたらよいかわからなくなる、この辺りは秀逸。

    ラブストーリーではない感、どこか他人事感があり、もう少し主人公が感情を激しく揺さぶられたなら、感情移入できたかと思うが、全体としては面白く一気に読めた。
    最後があっさりだった気がするが、会話から少しずつわかる事実と緻密な筋書きは、シナリオとしても魅力的と感じた。

    0
    2017年09月23日
  • Y

    Posted by ブクログ

    単行本が1998年刊なので約20年前の作品ですが、本作の中核を成す超常現象および、SF・ミステリを前面に出しつつ実は恋愛小説だったという体裁から考えると、直近の直木賞受賞作『月の満ち欠け』と相似形をなす作品となっているように感じました。
    本作の読みどころは構成の上手さです。北川健に起きる事象自体は、先行作品もありさほど目新しいものではありませんが、それに付随する伏線、登場人物各々の背景およびそれらが明らかになる過程が非常に凝っていて面白かったです。バックギャモンを人生になぞらせるくだりのように、本筋とは関係ないところで時折出てくる小ネタも味がありました。
    星を一つ減らしたのは、第九章で顕著にみ

    0
    2017年09月04日
  • きみは誤解している

    Posted by ブクログ

    競輪をこよなく愛する男女の切なく輝く一瞬を綴った6つの人間ドラマ。残り一周を報せる鐘の音が聞こえるような緊張感が漂う作品集。
    ギャンブルは人生を狂わすというが、その渦中に身を置くと、尋常ではない喜びと哀しみが味わえる。極めれば極めるほど知的興奮が上昇するので、止めるきっかけが見つからない。本作品の登場人物たちは、ギャンブル感に優れた者と人間の屑のように身を落とす者がいるが、私を含めほとんどの人間は表題作のような者だ。嫌なヤツだけど親近感は覚えた。

    0
    2016年11月23日
  • 書くインタビュー 1

    Posted by ブクログ

    作家佐藤正午にメールでインタビューをするという連載もの。メール返信ということとにどんなことを考えるものかが垣間見えて面白い。最初にインタビュアーとして登場したライターはハチャメチャで作家を怒らせてしまうが、それがかなり面白かった。突然の交代は予定通り?そのままいったらどうだったんだろう。次のライターはかなり気を使いながら質問でこれもまたまったく違う雰囲気で面白かった。

    0
    2016年04月10日
  • 放蕩記

    Posted by ブクログ

    この作家知らなかったけど村山由佳の放蕩記と同じタイトルだから読んでみた。こうまで破滅的に生きてみたら楽しそうでもあるけど、自分にはとてもできそうになくてファンタジーだな。

    0
    2016年03月01日
  • カップルズ

    Posted by ブクログ

    祝山田風太郎賞受賞!ってんで性懲りもなく正午さんを読んでみた。
    新刊のようでいて実はリニューアル本、まだまだ自分もと村上某らと張り合ってた頃の短編集。
    それ故かスカし具合は半端ないのだが不思議と嫌味になってないのはファンの贔屓目だろうか… 先ずは初手から街、小説家、ドーナツショップ…と後の作品の津田を嫌でも彷彿とさせる設定にニヤリとさせられる。
    そして今回の連作のキーは身の上話ならぬ噂話、どれもこれもしっくりとは収まらないのはいつものことながら本を読む楽しみはこういうことだとさりげなく主張するまさに正午さんらしい一冊であるな、うん

    0
    2015年11月11日
  • アンダーリポート/ブルー

    Posted by ブクログ

    解説で伊坂幸太郎が書いた通り、ストーリーはもうわかってるという上で、緊張感とか心情の微妙な変化をうまく書いてて、そして、やっぱり読み返しちゃうっていうのが、小説ってこういうことができるんだなーと思えるところ。
    私は好きです。

    0
    2015年10月30日