佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
のちに直木賞作家になる著者が描く、
元直木賞作家の作品内で起こった現実から生み出された、どこまで現実か虚構かわからないメタのメタ構造。
人は大なり小なり
現実の断片を繋ぎ合わせて
現実の世界を自分の都合のいいように切り取り、
繋げ、何かを信じ、それがその通りになったり、ならなかったりして一喜一憂する。
そこをエンタメ小説で書き上げる筆力に脱帽。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
―このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ。身を潜めて小説の下書きを進める津 -
Posted by ブクログ
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
かつては直木賞も受賞した作家・津田伸一は、「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして小さな街でその日暮らしを続けていた。そんな元作家のもとに三千万円を超える現金が転がりこんだが、喜びも束の間、思わぬ事実が判明する。―昨日あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ。偽札の出所を追っているのは警察だけではない。一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きた物騒な事件に必ず関わっている裏社会の“あのひと”も、その動向に目を光らせているという。小説名人・佐藤正午の名作中の名作。圧倒的評価を得た第六回山田風太郎賞受賞作。
⚫︎感想は下巻へ -
Posted by ブクログ
映画を見たけど、本の方が面白いと聞いたので
なるほどー映画だとすべてが事実かのように見えちゃうけど、じつはどこまで本当でどこからが想像の産物なのか分からないこの曖昧さがこのお話の面白さなんだな
映画も原作に倣って、「あり得たかもしれない話」ってことなんだろうな
気になって聴き返してみたけど(Audible)津田は高知秀吉の妻の顔を知らないよね??
ベンツや動画の晴山青年の相手が高知奈々美だったとは限らないよね??
高知秀吉一家の行方不明事件と、晴山青年と謎の女性の遺体が上がった事実からのこれも想像ってこと??
読んだあともいろいろ気になるー -
Posted by ブクログ
初佐藤正午さん。これまで読んだことのない文体・構成が新鮮でとても面白い。糸井重里さんが「ピントが合うまでの時間がどうしても必要なんですよね。話はちゃんと読めるんですが、ピントが合わない。バチーンと合ってからどんどんおもしろくなるんです」と言及されていたが、大いに納得。上巻最後まで読んで初めの方のページをめくってみたら、内容がスルスルわかって、もう一度読みたいくらいに。登場人物も結構多いし、なかなかキャラをつかみきれない、と思ったところで、私は邪道かもしれないが映画化の相関図を横に置いて読んでみた。するとたちまち内容が入るようになった。文中に突然筆者が顔を出したり、読者に呼びかけたり、自由自在。