佐藤正午のレビュー一覧

  • 鳩の撃退法 下

    どこまでホント?!

    作家が巻き込まれた事件を小説にしていく過程を描いた斬新な構成。
    どうでもいいようなことがつらつら描写してある箇所が多いのだけど、それがまたリアリティがあって、本当に起こったことのように思えて読み進んでしまう。
    登場人物も案外多くて途中くじけそうになりましたが、最後にはちゃんと伏線も回収されるので、登...続きを読む
  • Y

    Y

    よくあるタイムリープものって言ってしまえばそこまでなんだけど物語の持っていきかたが秀逸だった。
    ただ北川はこのタイムリープをいったい何回繰り返すんだろう。選んだ道は違っても同じ人間と違う立場で関わっていくっていうのもただ同じ時間を過ごすんじゃなくて面白いと思った。まさに映画のキャストみたいにそれぞれ...続きを読む
  • 書くインタビュー 1
    すべてメールでやり取りされるインタビュー集。
    相手は現役バリバリの作家、性格は偏屈な気性。
    表情が読み取れないから、
    聞き手は正しく理解される以前に
    誤解を生まない文章に仕立てなければならない。

    そう、普通はそう考える。
    一巻目に登場する聞き手の伊藤ことこ嬢は、豈図らんや、
    大胆というか、分をわき...続きを読む
  • Y

    Y

    タイムトラベラーいやパラレルワールド的なストーリー。人生やり直しできればいいなぁと思っていたが、北川を見ると、先がわかるのは、つまんないとも思えてきた。後半は面白くて一気読み。
    2018.3.28
  • きみは誤解している
    いやあ、うまいなぁ。
    すべて競輪にまつわる6つの短編を掲載。
    通底するのは漠然とした人生への諦念と、それでも諦めきれずに何かに賭けてみる男たち(女たち)の物語。
    「きみは誤解している」
    いや、誤解していない。
    「遠くへ」
    それは憧憬。
    「この退屈な人生」
    だから何かに賭けてみたくなるんだ。
    「女房は...続きを読む
  • 永遠の1/2
    解説の中で丸谷才一の影響が指摘されていました。
    確かに。
    ちょっと風変わりな日常をキッチリと、しかも淡々と描きながら、どことなくユーモアがある。爆笑は無いし、オチもない。落語でも漫才でも出来ない、穏やかな笑いの世界。そんな全体の雰囲気は丸谷才一に良く似ています。もちろん文体はまったく違うのですが...続きを読む
  • スペインの雨
    何なのでしょうね、特に大きな感動がある訳でもないのですが、何故か引き込まれてしまいます。
    連作という訳ではないのに、同じ体験が異なる短編に出てきます。著者自身の経験を元にした作品でしょうね。同じ時代を生きてきたからなのでしょうか、何となくスッと物語に溶け込めるのです。
    肩肘を張るのではなく、流さ...続きを読む
  • 個人教授
    やはり雰囲気は丸谷才一に似ていますね。知的な恋愛小説とでも言っておきましょうか。あまり恋愛小説は得意ではない私なのですが、佐藤さんの話は基本的に好きなようです。
    なんだか通俗的なハッピーエンドがちょっと残念なような、でもそれも良いかと思えるような気もします。
    しかし、こういう小説、女性が読んだら...続きを読む
  • 小説の読み書き
    25人の小説家の代表作を著者が読んでコメントする面白い企画の本だ."図書”で読んだ記憶も一部あったが,改めて通読すると,著者がかなり素直な気持ちを書き記していることに感心した.勘違いも数点あるが,それを素直に改訂している姿勢は,政治家に見せたいものだ.取り上げていた中で大作は三島の「豊饒の海」だと思...続きを読む
  • Y

    Y

    時空を越えて未来から戻ってきた男が、何とかして電車の事故から大切な人を助け出そうとする話。設定は少しベタなところもあったが、話はなかなか面白かった。もっと効率的に対処すればよいのにともどかしく感じる部分はあった。
  • Y

    Y

    マトリックスやパラレルワールドラブストーリーに模した設定で、日常に対する違和感や疑問がストーリーを動かす。
    ある日突然の友人からの電話を皮切りに、託された手紙から紐解かれる謎と、人間関係やつきつけられた現実、何を信じたらよいかわからなくなる、この辺りは秀逸。

    ラブストーリーではない感、どこか他人事...続きを読む
  • Y

    Y

    単行本が1998年刊なので約20年前の作品ですが、本作の中核を成す超常現象および、SF・ミステリを前面に出しつつ実は恋愛小説だったという体裁から考えると、直近の直木賞受賞作『月の満ち欠け』と相似形をなす作品となっているように感じました。
    本作の読みどころは構成の上手さです。北川健に起きる事象自体は、...続きを読む
  • Y

    Y

    この本から感じたことは、
    ・人生の岐路は必ずあるが、実は今の現実を受け入れ、それをどのように生きるかを決意することが大切であること。
    (タイムマシン的な小説や映画がそうであることが多いように、自分の都合の良いように現実を変えることは、結局は難しいのではないかと思います)
    ・人の縁があるということ
    ...続きを読む
  • きみは誤解している
    競輪をこよなく愛する男女の切なく輝く一瞬を綴った6つの人間ドラマ。残り一周を報せる鐘の音が聞こえるような緊張感が漂う作品集。
    ギャンブルは人生を狂わすというが、その渦中に身を置くと、尋常ではない喜びと哀しみが味わえる。極めれば極めるほど知的興奮が上昇するので、止めるきっかけが見つからない。本作品の登...続きを読む
  • 書くインタビュー 1
    作家佐藤正午にメールでインタビューをするという連載もの。メール返信ということとにどんなことを考えるものかが垣間見えて面白い。最初にインタビュアーとして登場したライターはハチャメチャで作家を怒らせてしまうが、それがかなり面白かった。突然の交代は予定通り?そのままいったらどうだったんだろう。次のライター...続きを読む
  • 放蕩記
    この作家知らなかったけど村山由佳の放蕩記と同じタイトルだから読んでみた。こうまで破滅的に生きてみたら楽しそうでもあるけど、自分にはとてもできそうになくてファンタジーだな。
  • カップルズ
    祝山田風太郎賞受賞!ってんで性懲りもなく正午さんを読んでみた。
    新刊のようでいて実はリニューアル本、まだまだ自分もと村上某らと張り合ってた頃の短編集。
    それ故かスカし具合は半端ないのだが不思議と嫌味になってないのはファンの贔屓目だろうか… 先ずは初手から街、小説家、ドーナツショップ…と後の作品の津田...続きを読む
  • アンダーリポート/ブルー
    解説で伊坂幸太郎が書いた通り、ストーリーはもうわかってるという上で、緊張感とか心情の微妙な変化をうまく書いてて、そして、やっぱり読み返しちゃうっていうのが、小説ってこういうことができるんだなーと思えるところ。
    私は好きです。
  • アンダーリポート/ブルー
    皆さんが第1,2章が読み難いと書かれていたので、多少構えて読み始め、そのお蔭で分かり難くはあったが面食らわずには読めた。
    そして確かに読み終えると、と言うか私の場合は読んでる途中でもだったけど、そこに戻ってくる。
    しかし、そうした変わった構成だけで読ませた訳ではないですね。
    読んでる途中から、何だか...続きを読む
  • 書くインタビュー 1
    佐藤正午に二人のライターがメールによるインタビューを試みるという企画。
    数年にもわたるこの企画が書籍化されたのがこの本。

    ものすごく面白かった。なんど顔がにやけてしまったか。
    でも基本的には人にはお勧めしない。
    正直、佐藤正午ファンではないければ全く面白くない。
    彼の本を読んだことがなければちんぷ...続きを読む