佐藤正午のレビュー一覧
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ネタバレ熟柿。熟した柿が落ちてくるのを待つ。
警察官の妊婦妻が轢き逃げをしてしまう。同乗してた警察官は辞職し、妻は刑務所で出産し、出所と共に離婚する。
子供に一目会いたいと幼稚園に行くが別の子を抱きしめて逃げ出してしまい、誘拐で怒られる。
小学校入学式にも行くが、追い返されて会えない。
そのまま息子に手紙をノートに書き連ねるけど、出す予定のないのを生き甲斐に、千葉から山梨や大阪や岡山をへて、福岡にたどり着く。行く先々で、人間関係トラブルや過去の服役がバレたり、ルームメイトに全財産を盗まれたりする。不倫してる友達と何ヶ月かに一回電話をしたり、好きになりそうな人に出会えたり、でも轢き逃げと服役の事は言 -
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けんごさんの動画を見て、そして装丁にも惹かれ購入。
スタートして速攻事件発生。大雨の中パジャマ姿のおばあちゃんを車で引いてしまい、そのまま逃走。その事件を境に生活は一変。お腹の赤ちゃんは刑務所で産み、出所後は離婚…。
本作はその後の「かおり」の物語でした。前科が付いてしまったかおりは働き口を求め、全国を転々とする日々。色んな人に出会い、色んなことを体験し、色んなことを思う日々の中で常に引っかかるあの日の事件。あの事件さえなければと読者の自分も思ってしまいました。
ただ、後半思わぬ展開に急ハンドル。元夫との出会い、久住呂さん、実の息子、そして土居さん。色々な人との出会いを経て移り変ってい -
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主人公 市木かおりの27才〜44才の話
主人公は大雨の中運転中に人身事故を起こしてしまう。
視界が悪いとはいえスマホを操作していたかおりは、
その場を逃げ去ってしまう。
ひき逃げだ。しかも殺人。
その後服役し罪を償いひっそりと暮らしていく。
服役中かおりは男の子を出産していた。
旦那からは離婚を伝えられ、
自分もそれを受け入れる。
服役を終えた後のかおりは、
ちょっとおかしくなってしまったのかな?
と思うくらいの文体の表現で
読んでいてゾワゾワした
罪を犯してしまうとその後の人生は
真面目に誠実に生きていても
常に何かに怯え、
住む町、職場をその度に変えていかなければいけないのか、と心が休 -
Posted by ブクログ
79/100
なんか素敵な本だったなぁ
抽象的な言葉での表現になっちゃうけど、想像力を掻き立てられるような言葉がふんだんに使われてる小説じゃなく、作家さんが紡いだ言葉がそのまま頭に入ってくるような文章。
だからこそ物語のストーリー性に起伏があるはずなのに、安定した心持ちで読み進めることができる。
子供と母親の話なので、またこれは歳をとったら見え方もだいぶ変わるのかなーと思った。
「熟柿」…熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと
今自分が失恋したばっかりだからこそ、この言葉が刺さる。今辛い感情が大きかったとしても、いつか違う事として改めて今の様子を客観的 -
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佐藤正午さんの直木賞受賞作です。映画化もされているらしく、佐藤正午さんの、万人受けするような作品って一体どんな感じなんだろうと期待と不安で読んでみました。が、やっぱりちゃんと佐藤正午さんでした。軽妙で独特な会話のやり取りが非常に癖になります。この物語は登場人物がそこそこ多く、時間も行ったり来たりするのでだんだん誰と誰がどの時代の何だったっけってなるんで相関図を作りながらがいいかも。「生まれ変わり」という非現実的・非科学的なテーマを扱っているのでファンタジーだと割り切って読みましたが、参考文献にもあるように、実際に前世の記憶をしゃべる子供がいるらしく、研究も行われているそうです。