【感想・ネタバレ】鳩の撃退法 上のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年10月13日

冒頭から最後までセンスのある文章で、津田伸一ワールドに没頭してしまいました!
どこまでが“小説”で、どこまでが“事実”なのか、本人たちにしか本当のことはわからないけど、そういうところも含めて津田伸一の小説は面白いです。

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Posted by ブクログ 2023年07月14日

この作品は映画を先に見た。というか、先に知った。エンドロールで原作があることを知り、佐藤正午。見覚えのある名前だ。たしか『月の満ち欠け』という小説を読んだことがある。それがきっかけだった。
本書の主人公は、津田という小説家である。津田は行きつけのドーナツショップで、ある男と相席になる。その男が読んで...続きを読むいる本の帯に、こう書いてあった。「別の場所でふたりが出会っていれば、幸せになれたはずだった。」津田はそれについてこう言う。「だったら、小説家は別の場所でふたりを出会わせるべきだろうな。」じつは、これが小説全体の大きな説明になっている。
津田が相席した男は幸地秀吉といった。この幸地秀吉が、その夜を境に一家そろって失踪してしまう。それで津田は、この失踪を題材にして小説を書き始める。ここから、現実の出来事と、津田が書く小説との奇妙な並走が始まる。
おそらく読者が一番苦労するのは、どこまでが現実に起きたことで、どこからが津田の書いた小説の話なのか、ということだ。しかし、じつはあまり気にしなくていい。なぜなら、この小説は津田の一人称で書かれているので、われわれは結局津田の目を通してしか出来事を知りえない。津田は自分が知ることのできない部分を「俺だったらこう書くね」と創作することで、小説を書いているのだ。すべてが津田の頭の中だと思えばよい。
しかし、それだけではない。ときどき津田の書いている小説の中の出来事が、実際に起きているのではないかという予感が走る。「事実は小説よりも奇なり」というが、事実が小説を追いかけてきて、抜き去ろうとする。この現実とフィクションのカーチェイスこそ、この作品の醍醐味だろう。
ところで、最初に挙げた『月の満ち欠け』は伊坂幸太郎さんが解説を書いていて、その中で伊坂さんは作者の佐藤正午を激賞していた。だからかもしれないが、『鳩の撃退法』を読んで、「なんかこの本って、伊坂さんの本みたいだな」と思った。わざと回りくどい言い方をして言葉で遊んでいるような書き方とか、たしか『陽気なギャングが地球を回す』がそんな小説じゃなかったっけ。壮大な伏線回収も伊坂さんっぽい。
最後に、紙幣を本の栞がわりに挟んでおくのはあまりおすすめしない。KKK(経験者は語る)。まあ、津田がフイにしたものに比べれば、僕が失った金額なんて全然たいしたことはないのだが。

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Posted by ブクログ 2022年07月25日

小説家の飄々としたキャラがいい。
コンパニオンの源氏名が昭和女優の名前っていうのも覚えやすくてよい。
だんだん点と点が繋がってきて、今すごく面白いとこ。

面白いけどちょっと気になるのが、不倫相手に会うのに毎週他所のお宅のシッターに子どもを預けたりするかな?っていうのとヒモ男が他人の車に乗りまくって...続きを読むること。大雪の日や飲酒運転までも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年02月09日

かつては直木賞も受賞したと噂される40代の小説家 津田伸一が主人公。不倫など数々の不祥事を起こし、地方都市にてデリヘルの運転手で糊口を凌いでいる。

ある大雪の夜、ドーナツ店で出会った男と会話を交わす。翌日、男は妻子と共に忽然と姿を消す。その1年2ヶ月後、親しくしていた古書店店主から形見のキャリーバ...続きを読むッグが津田の元へ届けられる。中身は数冊の絵本と古本のピーターパンと3,403万円の現金。ところがその中に偽札が含まれていたことが判明。

「神隠し」と「偽札」。
この2つの事件をモチーフに再び小説の執筆をはじめた津田。以来、彼の周辺で次々と事件 が起こり、裏組織から逃れ、東京中野へ高飛び。バーテン見習いをしながら、Macbookに向かう津田。やがて自身がその小説の最重要人物になっていることに気づく。

騒動の核心と小説が重なり、過去と現実と虚実が行きつ戻りつしながら、その境界が徐々に決壊していく。あるひとつの行為が、巡り巡って事件を引き起こし、それに連なる人間を次々と結びはじめ緩慢な円環を成していることに気づかされ、物語は終結に突き進んでいく。

読者は作中の出来事=実は主人公であり小説家の津田が描いたものだったという、所謂「メタフィクション」の手法で、本書が紡ぎだされていく過程と事の成り行きを同時進行で読み進めていくことになり、読者側も次第にすっかり惑わされていくという奇妙な読書体験を味わえる。

複雑かつ巧緻な構成、スリリングな展開、随所に張り巡らせた伏線、鮮やかな回収、クスッと思わず笑ってしまうユーモアの妙…にぐいぐいと引き込まれ上下巻千頁超の大作なのに、あっという間に読まされ、読後感はしばらく陶然状態が続いている。あらためて凄い作家だ、佐藤正午。

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

うん面白い。物語的にどうかはまだ半分読んだだけで評価はできぬが、小説としての技法・手法が面白くて素晴らしく、いやこれルール違反じゃない?って感じでとても楽しめる。と言うか、では何が真実で何が創作なのか?などとそもそもこれは小説なんだがな、と言った気持ちで読んでいる。とてもメタな小説で面白い。映画を観...続きを読むてから読んでるので、いかに映画が舌足らずであるかがよくわかる。ここ省略しちゃダメじゃん?って箇所が多すぎるのでやはり映画化は愚策。下巻にも期待。

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
かつては直木賞も受賞した作家・津田伸一は、「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして小さな街でその日暮らしを続けていた。そんな元作家のもとに三千万円を超える現金が転がりこんだが、喜びも束の間、思わぬ事実が判明する。―昨日あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ。偽札の出所...続きを読むを追っているのは警察だけではない。一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きた物騒な事件に必ず関わっている裏社会の“あのひと”も、その動向に目を光らせているという。小説名人・佐藤正午の名作中の名作。圧倒的評価を得た第六回山田風太郎賞受賞作。

⚫︎感想は下巻へ

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Posted by ブクログ 2023年10月02日

佐藤正午さんが読みたい&藤原竜也が主演の映画をやったと言うのも惹かれて購入⭐︎
文章がちょっとしつこいというか。。くどい笑。
でも、嫌いじゃない。惹き込まれる。
主役の津田伸一がダメ人間なとことか、セリフとか行動とか。。藤原竜也がピッタリだと思った!まだ前半戦。後半も楽しみ‼︎

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Posted by ブクログ 2023年05月28日

「永遠の1/2」に似た違和感、空気感を纏った不安を文章にした「鳩の撃退法」。現実と仮想のあいだで読者は迷子になる。この違和感、不安が下巻でどう進むのか?
先に進みたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月31日

小説家が現実の世界を元に書いた物語に現実が吸い寄せられる話し。上下巻の長編だけど、最初の方の伏線を見事に回収されて綺麗な終わり。ただ、最初の方は、ややまどろっこしい進み方でなかなか入り込めなかった。すぐに引き込まれて先を読みたい気持ちが高まった。

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Posted by ブクログ 2022年10月22日

初佐藤正午さん。これまで読んだことのない文体・構成が新鮮でとても面白い。糸井重里さんが「ピントが合うまでの時間がどうしても必要なんですよね。話はちゃんと読めるんですが、ピントが合わない。バチーンと合ってからどんどんおもしろくなるんです」と言及されていたが、大いに納得。上巻最後まで読んで初めの方のペー...続きを読むジをめくってみたら、内容がスルスルわかって、もう一度読みたいくらいに。登場人物も結構多いし、なかなかキャラをつかみきれない、と思ったところで、私は邪道かもしれないが映画化の相関図を横に置いて読んでみた。するとたちまち内容が入るようになった。文中に突然筆者が顔を出したり、読者に呼びかけたり、自由自在。下巻は一体どうなるのか。とても楽しみ。

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Posted by ブクログ 2022年08月17日

なかなかに読みにくい文章……だけど癖になるっちゃなる。笑
時系列も行ったり戻ったりでしっかり読まないと理解するのが難しい。でも、いつも速読しちゃって話の展開だけを追ってしまう自分にとって、小説の良さを再認識させてくれた作品。下も気になるから今から読んできます!

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Posted by ブクログ 2022年05月19日

冒頭からずっとおもしろい!でも、ただでさえ時系列がぐるぐるして忙しいのに会話も展開も回りくどすぎてサクサク読めないので時間がかかる。上でも470Pあるのに「盛り上がってきた!」からのめっちゃ話逸れる流れ多くてモヤモヤする!面白いし気になっちゃうから読めるけど笑

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Posted by ブクログ 2022年05月04日

ワンシーンの表現が精緻で微妙に肩透かしな語り口調が癖になるといえばなる。終始コミカルな空気感でおもろいですね。どう展開していくのか、下巻へ。

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Posted by ブクログ 2022年01月30日

いや面白いんだけど,まどろっこしいというか何というか.会話は横道にそれるし,話は素直に進まないし,実は関連しているし.
だけどまとめると結局,面白いかな.

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Posted by ブクログ 2021年09月09日

主人公の津田伸一は典型的なダメ男。女を利用して、女に助けてもらって生きている。太宰治の小説にありがちな男主人公。
映画では藤原竜也が演じているけど、個人的には松田龍平のイメージ。

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Posted by ブクログ 2021年07月21日

――

 別になにか大きな教訓を得るわけでもなく(教訓譚、なんて今昔で出尽くしたでしょ?)、
 特に大きな収穫があるわけでもない(新しい趣味や目的地が出来たりもしない)。
 感動に震えて身をあらためるわけでもなく(三日坊主になるまでもない)、
 感情移入して泣くわけでももちろんない(その点RPGとか...続きを読むのが泣くかも)。
 たかが小説である。


 そう、たかが小説である。
 けれど、序盤から流れるように巻き込まれ、引き込まれ。
 無駄口ばかり叩いているかのようなことば、ことば、ことばの中に、ひやりと煌めく刃のようなものが。
 それはミステリ的な手掛かりを見落としそうになるひやり、であり、虚構が現実を抉るひやり、であり、そして自分を試されているようなひやり、でもあって。
 そうやってどんどん気が抜けなくなっていって、転げ落ちるみたいに物語を追って、
 終わる終わる終わる、ってもう早く終わってほしいのか終わらないでほしいのかわからない混乱のまま、
 読み切ったところでうわああああって呻き声をあげながら両脚をばたばた空中のペダルを漕ぐみたいに空気をかき混ぜてしまうこれがたかが小説である。


 なんの為に読むのか、という話は以前にも少ししたけれど、それはまぁ例えば生きるためとかでいいとして、よく考えたら本当に生活のために本を読んでいる、読むことで生計を立てている、っていうひともいるわけで(羨ましいんだかどうだかわからんけど)、では逆に生きるために書いているということが、書くことで生計を立てていることとイコールで繋がるかというとそれも怪しい。
 書くため、書き続けるためには不断の努力が必要なのは前提として、
 そうまでして書かせるものというのは、一体何なのか?

 そのこたえのひとつ、こたえというのは真理とかそういうことではなくて格好が付く返答のひとつが、描かれているように見えた。読めた。
 そのへん津田伸一を主人公として読んだ場合、であって、実はこの作品自体を幸地一家失踪事件の副産物と捉えれば物語の主題も大きく変わってくるのだけれど、そんなこと云ったら小説って大概そうか…
 また面倒な(?)ことに、個人的にどのキャラクタにも肩入れしてしまう要素があるからより、そういう読み方にもなってくる。
 お前佐藤正午の小説に出てきそうな奴だなぁ、とか云われたいもんだ。


 思い付きには、理由があって。
 もっと云えば、それをいま、自分が思い付いたことにも理由があって。
 誰の言葉も「いま、ここ」のものであるように、それを物語ることのできるのは自分だけ、なのかもしれない。
 同じことを、いつかどこかで、誰かが語ってくれたとしても。語られてしまったとしても。

 さてその上で、では今度は想像力の製造責任、ということになってくる。
 「あなた」の想像力には、責任が伴うのだ。
 ティンクの生殺与奪を握るくらい重要な責任が伴うのだと。
 それを自覚して、もっといろんなことを想像、してみよう。


 だんだん怖くなってきた。
 ☆4.4

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Posted by ブクログ 2021年06月15日

佐藤正午の山田風太郎賞受賞作
小さな街でその日暮らしを続ける、直木賞も受賞した作家の語るストーリーが展開していきます。どれが本筋なのか迷う展開と、伏線だらけに思わせるテクニック、ちょっと不思議な世界観で物語は進み・・・
淡々と紡ぐストーリーに意外と引き込まれます。
というコトで、下巻行きますっ!(^...続きを読む^♪

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Posted by ブクログ 2024年02月15日

まるで小説家の頭の中を覗き見ているような小説。
どうやって真実味を持たせるのか、どこまでが真実なのか、ちょっとした出来事からどこまでも飛び立っていく小説家の創造力の翼よあっぱれ。

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Posted by ブクログ 2023年10月22日

時系列がバラバラで語り部が誰なのかも不明で進むので、そこが売りなのかもしれないけどあまり頭に入ってこない。最後のパートくらいでようやく全体像が見えてくるけど別に続きを見たいとも思わないかな。

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Posted by ブクログ 2022年11月03日

ちょっと変わった綴り方と、序盤は一見なんてことない出来事を、よくもまぁ、というくらい緻密に冗長に描いてくるので危うく挫折しかけそうになるが、それも後半へと繋がる重要な準備なので根気よく読みましょう。

段々と密度を増していく出来事たちと、登場人物のちょっとズレたような軽妙なやりとりに引き込まれて行き...続きを読むます。

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Posted by ブクログ 2022年10月30日

偽札事件と浮気した人妻の妊娠に纏わる一家失踪事件が作中作のような形を取って交互に進行する。
2つの事件にどんな関わりがあるのかはまだ不明で、また面白くはないものの進行が遅くてもどかしい。
評判作だけに下巻の展開に期待したいです。

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Posted by ブクログ 2022年02月17日

相変わらずの「読みにくさ」。
挫折しそうになるころに、ふっと連れ戻されるような気になる展開。
どう決着させるのか、我慢して下巻に臨んでみる…

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Posted by ブクログ 2022年02月06日

言い回しが、とにかくまどろっこしい。主人公のしゃべる言葉が面倒くさい。私がこういう小説に慣れていないせいかもしれないと、頑張って上巻読み終えた。
せっかくなので、下巻に続こう…

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Posted by ブクログ 2021年12月31日

眠る前の読書は電子ブックでするのだが、「いわゆる虚構」と現実と称する「虚構」とがいきつ戻りつしながら進行していき、眠くなって途絶え、翌日になってまた読み出すと言うのを繰り返すうちに、どちらが「いわゆる虚構」で、どちらが「虚構」なのかわからなくなる。文体には好き嫌いがあるが、最初、面白いと思いつつ、上...続きを読む巻の三分の二近くまで来るとかなり退屈してきて、ようやく物語りが動き出すのが、上巻の終盤のセックスシーン。寝る前の電子ブックのせいか、私の読解力のせいか、面白くなりきらないところがこの作品の妙味なのかすらわからぬまま、物語が終盤を迎えてしまい、判断に難しい小説でした。

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Posted by ブクログ 2021年12月14日

映画見たいけどなかなか見に行けそうもないので。映画もちゃんと見ないと理解するの大変て意見もあったから、本の方がいいのかな?と
とりあえずやたらドーナツショップに主人公が行くからドーナツ食べたくなった。
始めの一家3人の奥さんの不倫や失踪、古本屋さんの残した偽札
謎がやたら多いけどまだ解決しない。下巻...続きを読むですっきりするかな
この作家さんは初めて読んだけど、話を先延ばしするのがうまい

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Posted by ブクログ 2021年10月02日

括りとしてはミステリー。しかし型通りでなく、読者の考察抜きでは全体が理解できないように作り込まれている。
語り口調がまどろっこしく、会話の噛み合わない掛け合いに混乱させられるが、慣れれば即興的な面白さだとわかってくる。
主人公が小説を書くという形で、同じ日の別の場面を小分けに語ることで、少しずつ事実...続きを読むが明らかになってくる。それにしても、当該の日は、いろんな出来事が起こりすぎである。もはや三谷幸喜ばりのドタバタで、頭の中を時系列に整理できなくて、よくわからない。映画では、その辺りの理解を、映像が助けてくれるのを期待する。きっと裏切られそうだけど。

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Posted by ブクログ 2021年09月14日

映画化をきっかけに手に取った。
語り手(津田)がつらつらと主観も交えながら書かれる文章が慣れていないと理解し辛く、最初苦戦したが、読み進める手が止まらなかった。
なんだか断片的な主観で無理矢理つなぎ合わされたような気がしなくもないが、下巻でどう結末に向かっていくのか楽しみ。
どこが事実でどこが彼の創...続きを読む作なのか想像しながら読むのも面白い。

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Posted by ブクログ 2021年09月01日

映画を観た感想

主人公が視聴者に語りかけるような新しい切り口な作品

人は知らず知らずのうちに、自分を取り巻く環境でいろいろなことが起きていてそこに関わっているのだ、ということを伝えたかった作品なのかなぁ、と思った

事実に基づいたフィクションだとは言え、結末は観た、読んだ人に委ねられる作品

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Posted by ブクログ 2021年08月15日

映画の予告編を観て読みたくなって
迷うよね、観てから読むか、読んでから観るか
これは『読む』が先だね

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Posted by ブクログ 2021年06月03日

偽札事件とか家族3人失踪事件とか人妻の浮気とかいろんな事件が絡みあってるみたいなんだけどまだよく先が見えてこない感じ。
会話もテンポはいいんだけどすぐ脱線する感じでわかりづらい。
なんだかこの作品は評価ほどじゃないんじゃないかって気もしてきたんだけど、これが下巻ではどうひっくり返ってくるのかとりあえ...続きを読むず読んでみます。

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