椹野道流のレビュー一覧
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「最後の晩ごはん」の著者による、同じく芦屋が舞台の「おいしい生活」
季節は巡って、ちょうど一年分。
眼科医の遠峯朔(とおみね さく)は、祖母が残した古い一戸建てで一人暮らし。
そこへ突然、高校時代の部活の後輩、白石真生(しらいし まなぶ)が転がり込んでくる。
白石は小説家になっており、作家生活初の深刻なスランプに陥っていたのだ。
しかし、もう13年も年賀状のやり取りだけだったのに、何故、遠峯先輩を思い出してしまったのか?
運命?
幽霊も出てこないし、胸がギュッと痛くなるような深刻な事件も起こりません。
その分、こまやかな心の揺れや、存分に美味しいものが描かれている。
深刻な事件が起こらず毎日おいしいものが食べられるのがどんなに幸せなことなのかしみじみ感じます。
面倒くさい恋愛のドロドロもないし。
こりゃ、二人とも結婚の必要性なんか全く感じなくなっても仕方がない。
いや、自分に甲斐性があったら白石くんを嫁に欲しいなあ~
シチュエーションとしてはいつでもBLになだれ込みそうですが、その辺は匂わせず、まるで兄弟みたいな感じなのがなんとも微笑ましいところ。
出てくるお店はほとんど実在するようで、グーグルマップを見ながら読むのが楽しいです!
芦屋近辺の人がうらやましいかぎり。 -
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ネタバレ最後の晩ごはんシリーズ、第10弾。
初心に戻ってみると、この物語は、主人公・五十嵐海里の成長物語なのだった。
記念すべき10冊目は、お客さんはやや控えめで、がっつり海里のお話でした。
読者としても、海里が定食屋の仕事に熱心に取り組む中、ときどき顔を出す、演じることへの未練がとても気になっていました。
座敷で向かい合って座り、「で、そこんとこどうなの?!」と問いただしたい気分だったというか…
今回は、彼からの答えが聞けた気がします。
中間報告だけどね。
ちょっとまとめっぽくて、終わってしまうのかと心配もしましたが、まだまだこれからですね!
芝居の話が真剣すぎて一気に読んでしまい、気がつくと、ご飯食べていなかったなあ~な気分。
それを察してか、“巻末付録”なる章があり、夏神さん、ロイドと3人でワイワイとスイーツを作るエピソードが楽しかったです。
個人的な好みですけど、一憲さんて、やっぱり素敵な人だなあ。
それはそうと、仁木さん、今回は何のために来たんだろう… -
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ああ、なるほどこれはレーベル所属の各作家のショウケースなのだなと小粒にまとまった猫アンソロジー。
猫かわいい〜〜な無邪気なノリではほぼなく、生まれ変わりや人生の悲喜こもごもに猫が寄り添うなんともビターな展開多目。
タイトルと装丁からもふもふ癒し系な本をイメージした人はがっくりするんじゃないでしょうか。
ひいき目を差し引いても一穂さんの神様はそない優しないが関西弁とおっさんのインパクト、どんでん返しの落ちの強烈さも含めて最高に面白くて読み応えがありました。
スモールワールズが刊行されてからあらためて振り返ると、ミステリータッチの話運び、人間の辿る運命のやるせなさ、どうにもならなさ、都合の良い救済はなくとも人生は続いていくのだからーーというまなざしのあたたかさに改めてじん、となる。
いい意味で浮いてるんだよな…。これだけBLの枠を外れた場所で力を余すことなく発揮する作家なのに随分世に出るのに時間がかかったなぁ。 -
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一人暮らしをしているところへ転がりこんできたのは
大学時代の後輩。
転がり込んできてから、の12か月分の話ですが
1月1月、視点が家主と店子で視点が変わっていきます。
互いがどう思っているのか、も面白かったですし
双方の性格が出ていて、愉快でした。
が、一番のメインはやはり食事!
それはもう美味しそうでたまりません。
これがまた、実在している甘味処が出てきたり、で
いつものことながら、おやつと食事時間前に
読んではいけない内容になっています。
ここまで生活がすれ違っているなら、確かに暮らしやすい。
ですが…どこまで散らかしているんだ家主、と
疑問いっぱいの家の中、でした。 -
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本作では、2回泣かされそうになりました。
最後のほうに書かれているように
食べ物の記憶は、それを食べた当時の
聴覚や資格や触覚、おおよそ五感のすべての
記憶とつながり、時に呼び醒ましてくれるもの。
亡父が作ってくれた油ギトギトの炒飯。
亡母が「味噌だき」と呼んでいた
豚肉と白菜の味噌味の鍋料理。
この数年間に亡くした両親の思い出も
食べ物から思い起こされる。
今回のキーになるマカロニサラダ。
うちも亡母が同じ作り方をしていた時期がある。
保育所の給食調理の仕事に
長年たずさわっていたからかもしれない。
夏神が前に進めたこと、それが何よりも嬉しい。