姫野カオルコのレビュー一覧

  • 昭和の犬

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    短編集かと最初は思ったが、柏木イクという女性の幼少期から初老までの物語。各章傍らにはいつも犬。
    イクは昭和33年生まれの設定だから第一章はかなり古臭い。馬車やらカラーテレビやら登場。捕虜から戻った父、父を疎ましく思う母との三人暮らしで、心をギュッと縮こませていた日々が彼女の土台になっていていつも傍らにいたのは犬。なかなかに鬱屈した世界が延々と続くのだが最後までイクは実に真っ当に生きていて、それはいつも側に犬が居たからなのか。その時々でイクのまわりにいる人々が実に温かいからなのか。
    著者の本は初めてである。直木賞受賞作。
    私はこの世界嫌いじゃない。他の作品も読んでみたい。

    直木賞、私設図書にあ

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    2021年08月14日
  • ツ、イ、ラ、ク

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    分厚いので身構えましたが、案外サクッと読み進められました。

    主人公は隼子なんだろうけど、他の登場人物にもそれぞれストーリーがあって、意外なところでキーマンになっていたり、逆にあっさり出て来なくなったり。

    どこか懐かしさを感じる雰囲気の恋愛小説でした。

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    2021年05月29日
  • 整形美女

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    ネタバレ

    整形の話だけど、「顔としての美しさ」と、「それがどう他者から見られるか」を切り分けて描こうとしているのが伝わった。
    そもそも美人とは何なのかという話。

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    2021年04月16日
  • 受難

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    フランチェス子に魅了され、ちょいと泣けてきたりする。
    が、古賀さんとのやり取り、他のキャラクター達など、普通に笑わせてくれる作者の力量に心が転がされる。

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    2021年01月02日
  • 忍びの滋賀~いつも京都の日陰で~(小学館新書)

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    滋賀県は京都の影に隠れて印象が薄い、佐賀とか千葉とかよく間違われると嘆かれる作者は滋賀のご出身。
    昨年、連続テレビ小説の舞台にもなりましたが、あの舞台が滋賀だと認識している人がいかほどおられるか・・・などなど。
    いくら説明してもわからない人には京都と言っておくなんてそんなことはないでしょうが。
    そう嘆くわりにそんなに郷土愛が感じられないのはどうしてでしょう?
    やんわり毒舌で、適度に厳しく、なんだかすがすがしい。
    そして全編を通して出てくる話題がお酒。
    鮒ずしにはどんなお酒が合うとか琵琶湖の魚にはこんなお酒とか、小さい頃からの思い出や現在までほとんどお酒が出てきます。行ける口なんですな、姫野さん

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    2020年12月21日
  • 整形美女

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    視点が面白い。
    読後はもやもやが残る。答えがでる話じゃないから。。。
    色々考えさせられる内容で、読んだ後に誰かと話したくなる1冊。

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    2020年11月28日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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     こちらの作品に限っては、著者のあとがきを読んでからの方が、物語に入り込みやすいかもしれません。というのもかしこまった書簡形式(著者は相談小説と表現)という独特の文体故に、とても読みづらく感じたため、そのような構成に至った著者の意図とプロセスを理解した方が物語を理解しやすいだろうと思ったからです。さらにこの物語は不可解な出来事の羅列なのですが、なんと全て著者の実体験だそうです。本書では凄惨な暴力などの痛ましい事件などはほとんど書かれず本当に小さな不可解で理不尽な出来事しか起きないのですが、何も知らずに読んでいると正直「しょーもな」という気持ちが先行して内容がいまいち入ってきません。ですが、それ

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    2020年11月24日
  • 整形美女

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    二十歳の繭村甲斐子は、誰から見てもいわゆる美人。だが、彼女は名医・大曾根に懇願し、彼女の思う美人に(一般的には可愛くない)全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子も、上京を機に整形。甲斐子の卒業アルバムをみせて、そっくりにしてもらう。
    甲斐子のだんだん狂気じみてくる心の中が恐ろしく、本当の美しさとは?と考えることになる。

    このような小説は読んだことがなかった。
    読後感よくはないが衝撃の作品。

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    2020年11月13日
  • 昭和の犬

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    直木賞受賞作ということで読んでみた。
    終戦後の昭和から物語が始まっているせいか、昔っぽいタッチで描かれており個人的には最初入り込み難かったが、徐々に読み進めていくうちに面白く感じられた。

    犬がタイトルにも使われておりそういった作品の多くが感動系であるから、そういう心持ちで読んでいたが、これにはいい意味で裏切られた。この小説は昭和から平成にまでの1人の女の人生を、その都度関わりのある犬と共に書き綴っている物語で、特にこれといって何か大きなイベントが起きたりするようなことや犬の死に寄り添う涙ちょうだい系の話は無く、その時代背景というか匂い?みたいなものに徐々に誘っていくといった不思議な雰囲気の小

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    2020年11月11日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    「毒親」ということばの元は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードの著書『毒にやる親』です。あとがきより
    相談小説と表紙にもあるように、すごく丁寧なデスマス調でのやりとりが多少読みにくかったけど、内容は濃くとても怖かった。
    これをドラマや映像にしたら、とんでもないサイコパスな両親として話題になるだろう。
    育った環境が違いすぎて、主人公ヒカルちゃんを理解することは出来なかったが、彼女の壮絶な未成年時代を辛く思った。

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    2020年10月11日
  • 忍びの滋賀~いつも京都の日陰で~(小学館新書)

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    滋賀出身の連れ合いと出会うまでは、この本に出てくる県外の人と同程度の認識だったので
    「そうそう、夏は琵琶湖で湖水浴するなんて知らなかった!」
    「確かに鮒ずしは押し寿司の仲間だと思ってた!!」
    などなど「滋賀県人じゃないあるある」をひとつひとつ堪能して笑いました。

    後半、滋賀菜ちゃんの合コンやみうらじゅんさんの話のあたりからは「?」と感じたり読んでいてムズムズする箇所が多くなり、前半の面白さとは違うテイストに(勝手に)少しがっかり。

    本筋とは関係ないけど、自分もかつて参加した旺文社ラジオ講座のスクーリングの話が出てきてビックリ&懐かしかった!

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    2020年09月03日
  • 昭和の犬

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    直木賞受賞作という事で買った一冊。

    初めてよんだ姫野カオルコさんの小説でもあった。

    1人の女性の人生ドラマだった。

    この女性の人生を読んでいるとよくどこかで躓かなかったなと思う。

    たんたんと進む話で大きな出来事があるわけでもないが、なぜか話に引き込まれた。

    犬との交流は本当にこの女性は犬が好きなんだなと感じた。
    犬がいたからグレなかったのかな?

    時代の流れも感じられる小説でした。

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    2020年07月03日
  • 何が「いただく」ぢゃ!

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    私は食に関してこだわりがなく‥味覚が幼稚なのである。
    普段エッセイはあまり読まないが、これはなんともパンチのある1冊!
    特に日本酒。私も覚えきれない(笑)奥深いわ!
    それと、「さかのぼりコース和食」にもなるほど‼︎
    ロンパールームも懐かしい!私もテレビの前で牛乳を一緒に飲んでいた(笑)

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    2020年01月26日
  • 忍びの滋賀~いつも京都の日陰で~(小学館新書)

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    <目次>
    第1章  自虐の滋賀~哀愁のあるある
    第2章  ボーノ滋賀~無名だけどおいしい郷土料理
    第3章  忍びの滋賀~ミウラとヒメノ
    第4章  これからの滋賀~さきがける地方都市として

    <内容>
    滋賀県出身の私と同年代の著者。自虐ネタのあれこれ。第3章は滋賀ですらなくなっている。屈折したみうらじゅんへの思いが語られる(というか、京都への屈折した思いか?)。まぁ、エッセイかな?自分の出身地をめぐるお話。井上章一さんの「京都ぎらい」とは似ても非なるものでした。

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    2019年12月16日
  • 昭和の犬

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     受難という作品も本作も、所詮地面を歩くことしかできない人間の地面を歩くことしかできない悲しさというか強さというかどうしようもなさを感じる作品でした。
     父は父として母は母としてイクはイクとして、置かれた場所で置かれた温度でまんまに生きる様が描かれていました。

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    2019年10月19日
  • 昭和の犬

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    わたし自身、犬と暮らしてまして。
    このストーリーの流れかたに、納得感がありました。
    犬のにおいや感触がよみがえり、
    過去にひきもどされ、
    その時、自分はどうだったか、家族はどうだったか、
    つながった世界が胸に広がっていくし。
    その逆も。良くも悪くも。
    また、家族のことでいろいろ悩んだ時期もあり、
    理不尽をこうむっている、
    と感じる自分の身の置き場はパースペクティブ。
    切なさに同調し、くすりと笑わせてくれる。
    この多くを望まぬ主人公の幸せを切に願います。

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    2019年02月17日
  • みんな、どうして結婚してゆくのだろう

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    結婚についてタイトルどおり、しないほうの立場から持論をぶっている。1990年代に書かれたものを集めて一冊にしたんだろうけど、21世紀になって20年ほどたつ今読むと、わりと書かれている世間の人々の言動が古めかしい。90年代なんてついこないだの感じがするけど、けっこう人々の意識って変わっているんだろうな。90年代は高度経済成長期のような時代との様変わりが感じられながらもまだ男女の仲とか結婚が当たり前にあるべきものって感じで書いてあるけど、いまや男女の間は意識や考え方の違いではなく、距離がすごーく開いた感じ。同性婚の是非がうんだかんだ言われたり、あとアニメの美少女キャラのステッカーを堂々と貼った男子

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    2019年02月02日
  • 部長と池袋

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    細かい話が収録されいて、間をつなぐものも挟まれているのだけれど、全体としては読みにくかった。短編集なんですよね?という感じ。

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    2018年10月05日
  • 昭和の犬

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    これが直木賞とは…普通。所々に考えさせられる所があるけど、私は普通…昭和から平成に生きた人間だからこそ普通に感じてしまうのかな。だからこそ直木賞なのか…
    でも、犬や猫好きにはたまらないのかなーこの本は。可愛いく、癒してくれたり時には、裏切られたり。
    イクは人生通して犬や猫がいたから生きてこれたんだろうなー。これって凄い事なんではないかと思うけど。
    人間の側に一番近い動物の事が分かった本。そう言った意味では面白くよめたかな。

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    2018年08月30日
  • 喪失記

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    読んでいて苦しくて疲れる。読者を勃たせない。笑

    ありのままでいることを許されない幼少時期が内なる健やかさ、自尊心、女性性をねじまげ、上手に解消できないとやっかいなモノを抱えて生きることになる。よく分かる。

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    2018年07月20日