姫野カオルコのレビュー一覧
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手土産もディナーの最後も、なぜケーキなの? 嫌いな人はどうすればいいの?
「お気持ちだけ」と言えなかったケーキ嫌いの筆者による、食エッセイ。
ケーキが嫌いな話から、お酒にぴったりの創作レシピまで。爽快な語り口でくすっと笑える姫野カオルコさんの食エッセイです。
私もお酒が好きで、甘いものよりどちらかと言えばしょっぱい物が好きなので、共感できるところも多かったです。
クレソン大好き! と公言している方初めて見る気がして、私もクレソン全野菜の中で3本の指に入るくらい大好きなので嬉しくなりました。そば×クレソンぜひ試してみたい!
あれにはこれが合う、これはこう食べると美味しい、など熱量たっぷりに -
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あなたは、文芸小説の五つの分類を知っているでしょうか?
私は女性作家さんの小説ばかりの読書をこの四年半ほど続けてきました。すでに750冊以上の小説を読みレビューを書いてきた私ですが、そんな小説たちはその内容によって幾つかに分類することができます。それが、次の五つの分類だそうです。
“時代小説。ミステリー。恋愛小説。ホラー小説。その他。”
なるほど、私が読んできたあの本、この本がそれぞれの分類に分かれていくのを感じます。もちろん、一つの要素だけで書かれた小説の方が少ないとも思います。”時代小説”にだって”恋愛小説”はあるでしょうし、”ミステリー”と”ホラー”の親和性は高そうにも思い -
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著者の本を読んだのは2冊目。
最初に読んでかなり衝撃を受けた「彼女は頭が悪いから」の印象がとても強く、以来、ずっと気にはなっていた作家の一人だったのだが、同時に、一冊めに読んだ内容がある意味かなりドギツく、軽く平常心を維持しながら読めるタイプの小説ではなかったのも事実。そんなこともあって、2冊目を読むのにかなり時間が空いてしまった。
2冊目の本作は、最初に読んだ長編とは異なり、文庫オリジナルの短編集。どれもとても軽く、読み易い。ところが、驚いた。一篇一篇「これらは本当に同じ著者がほぼ同時期に著したモノなのか?」と訝しむほどに、各篇のテーマや作風、文体までもバラエティ豊か。というか「芸域が広い」 -
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どストレートなタイトルに惹かれたのもさることながら、最近こういう表紙からいかにもな雰囲気が漂う瑞々しい青春小説を読んでない!今の若い子達は何を考えて何を感じてるんだ!教えてくれ!という勢いで手に取っていざ開いてみたら、自分よりもだいぶ先に学生時代を謳歌した大先輩が綴ってくれた青春が詰まっていた。こっちが勝手に「ラーメン屋に違いない!ラーメン食べたい!」と勘違いして入ったら熟練のナポリタンが出てきて、なんか少し申し訳なくなってしまったような。
半分私小説、みたいな扱いでいいのかな。時代を超えても等しく共感覚を得られる部分もあることを楽しみつつも、散りばめられた小ネタの数々を見る度に浮かぶ「この時 -
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様々な立場(女優から一般人まで)の4人の人生観が現れたエッセイ集。「彼女は頭が悪いから」を読んですぐに見つけた姫野カオルコさんの作品なので購入。帯にルッキズムと書いていた通り自分の容姿やその受け取り方、容姿によって経験した思いなども書かれていた。4人の人々は絶妙に絡み合っていて、その関係性を把握しきるのが困難で割と読みづらかった。
ここに出てくるメインの女性達は自分の容姿が美しくなくても、多少不満があってもそれでいいのだと考え自分の人生を生きられていた。しかし若い登場人物のaは美容整形を受けるなど現代のルッキズム事情が書かれリアルだと思った。4人のように容姿を受け入れて生きられたらいいが、現代 -
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先に書いた「王女アンナ」「王妃グレース」に書き下ろしの2篇を加えて昭和〜令和そして近未来にかけての家族の物語に仕立てた連作集。
なんだけど、まあ読みにくいったらありゃしない。以前に読んだこの作家の作品の感想にも文体が合わないと書いていたから、嫌なら読まなきゃよかったんだけど、間違って手に取ってしまった。
それでもルッキズムについての女の子(この表現もポリコレ違反?)の心理を、なんとなくモヤっと感じているところまでしっかりと言葉で言い表しているところはすごい。
一番頷けたのは自己肯定感の部分。
ルックスそのものじゃなくて“籠の中にいるあいだにもらった自信の強度”がその後の人生を左右するという -
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高校時代を共に過ごした4人の男女。卒業してから20年もの間途切れずに続く彼らの絆を、交わされた手紙、FAX、メモなどだけで綴る物語。
高校時代の同級生4人とその関係者たちが交わした文章のやり取りだけで20数年の軌跡を追う一風変わった形式の小説です。「手紙」だけで展開するわけではないですが、一種の書簡体小説と言えるのでしょうか。
特定の対象しか読まない事を前提とした、秘密のやり取りを盗み見ているようでちょっとドキドキします。
今は誰もが携帯を持つようになり、こまめな手紙のやり取りや授業中に友人にメモをまわしたり、交換日記などもそうそうやったりはしないのかもしれませんが、私とは年代がずれてい -
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この作品で直木賞を受賞した時、ジャージで走ってきた事が話題になりました。
主人公・イクは、昭和33年滋賀県生まれ。姫野さんは、同世代同郷の女性を、昭和から平成を振り返りながら語るという構成で、その時代を描きました。
全八章からなります。イクの幼児期から年代順に、時代の背景、イクの生活、そして、流行していたと思われる種類の犬が書かれていきます。タイトルには、その時代印象的だったアメリカのテレビドラマの番組名が使われます。タイトルと内容は、関係するところはありません。
シベリア抑留経験を持つ気質の荒い父親。そんな夫を嫌悪する為か、娘への慈しみを見せない母親。イクは居心地の悪い家庭で、高校生まで、寡 -
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女は強い。女はシビア。
改めて、そう感じた一冊。
主人公の理気子は、男性経験のない34才ポルノ作家。
その肩書き(?)を聞くと、容姿が著しく悪いのかとイメージしてしまうけど、そうではないように思わせる描写も。
長身で、怪力であることは間違いないようですが。
彼女は、自身には女としての魅力が著しく欠けているのではないかと考えており、けれど、とにかく経験はしておきたい、という願望を強く抱いています。
そんな彼女が惹かれ、そんな彼女に惹かれた男性は、妻帯者でー。
とにかく面白おかしい一冊。けれど単なる、薄っぺらなラブコメではありません。
恋愛中の盲目・陶酔・自己保身…そういったものが、恋愛 -
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最近、新書や対談ばかり読んでるから、小説サイドにズレたい感覚から、女性作家の短編という、読みやすそうな着地点へ。しかし、40のオッサンが、恋と名の付く、カオルコと名乗る人の本を電車で読む勇気をわかって欲しい。
姫野カオルコの本は、「リアル・シンデレラ」以来。短編は初。
なんて言うんだろう、気持ちの良い読後感。
アッパーでもダウナーでもない、ニュートラルって気持ち良いよねー、って感じ。恋だからって別に燃え上がらなくても良いし性行為の描写が無くても良いやん、バックバク心臓打たんでも燃え上がるほどヒート!しなくても良いやーん、って感じ。
女性作家が書いた、村上春樹短編的な?違うかな。
恋とか性 -
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完璧な美女、「繭村甲斐子」はいわゆるブスに整形手術し、一方、高校の同級生可愛いけど美人ではない「望月阿部子」は甲斐子をモデルに美女に整形手術してもらう。
そして、手術後の二人の運命はどうなったか。
まず、
なんで美女なのにブスに変身するの、もったいない!とは下世話な話。
もっと高尚な理由が。
『自分が醜いと信じている、どすぐろい強欲な未練を断ち切れないから、整形手術という手段を使えばこの状態から抜け出せるのではないか。ブスになったら健康であることを神に感謝できる。』
これでも訳、解らないよね。
甲斐子は精神も完璧に強かったのだ。個性も美人ということ。
他人は個性的な人に『変わっているね