姫野カオルコのレビュー一覧
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高校の同級生、悦子、優子、都築を中心に、高校〜社会人までの主に恋愛を中心とした出来事を綴った青春群像劇。手紙やFAXで構成されたそれは、時に一方通行だったり、タイミングが合わなかったりでもどかしく、しかしだからこそ、その不便さがドラマチックに作用する。現代から見た物語の時代は良くも悪くも前時代的で、感覚的に少しのめり込めないところはあったけど、手紙やFAXといったオフラインによるやり取りは、その余白に起こった出来事を想像する楽しみが用意されてていいなぁ。
物語の後半は、結婚や離婚などいろいろな出来事を経験し、歳もとってちょっと悟りの境地に達した登場人物たちの哀しくも温かい言葉で手紙が綴られて -
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あとからじわじわくる。切なくていとおしくて泣ける。でも逆立ちしてもどうしたって自分はそんな願いを言える人間になれそうにない。
倉島泉さんが同級生だったら、友達になれたかどうか、独特の受け答えや笑いかたをちゃんと理解し、共感しあえる仲にしてもらえるのか、自分自身になげかけたくなる。
奥底にある清らかすぎる善とか美とか判断できるのかを試されても、きっと私もミニ世界のスタンダードなガールやぽちゃぽちゃした女と同様、見抜けないだろうし、無力すぎて救いだすなんてこともできそうにない。
あの表紙の神々しい姿は、小口さんが見た温泉から上がってきた泉ちゃんなんだろうと思って読んでました。
もしかして倉島泉は〈 -
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ネタバレ昭和33年生まれの柏木イクの半生と、彼女の人生に関わってきた犬たちの話。
シベリア帰りの父は突如切れる(作品上では割れる)ので、イクも母も気が抜けない。
母はたいていの時不機嫌で、イクの心を傷つける。
心の交流が全くない家庭。
幼い頃からいろいろな人たちに預けられ、5歳で両親と同居するようになってからもずっと、周囲の人の気持ちを推しはかり、気配を気取られぬよう生きてきたイク。
両親がイクに向ける心無い言葉は、読んでいる私の心をも傷つける。
イクの人生と交差するように、その時代それぞれに流行った犬種と犬の飼い方っていうのがあって、確かにそうだったなあと思う。
犬は犬なのに。
家を出ていきた -
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「ツ、イ、ラ、ク」のスピンオフにあたる、短編集。
「ツ、イ、ラ、ク」では当然のことながら恋に墜ちた二人に焦点が当てられているので、その二人が特別であったかのように記憶に刻み込まれますが、この短編集を読むと、彼らの周囲にいた人々にもその人達の個性があり、それぞれ異なる考え方があり、それぞれ異なる視点で、彼ら二人を見ていたことを知ります。
現実に照らし合わせれば、当然なのですが。
長命中学校と何らかの関わりを持つ人々が時間を経て、当時の自分を振り返る。その時、「ツ、イ、ラ、ク」の主人公である二人のことも、記憶の一部として語られます。
主人公の二人の視点で描かれた作品もあります。
作品中にも -
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好きな作家の一人、姫野カオルコさんの直木賞受賞作(スピーチ、面白かったです)。
受賞作の本作より、個人的には「リアルシンデレラ」の方が好きでした。
それにしても、著者が描く人物は「聖人」。
何故こんなにも、清く生き続けられるのか。切なくも、羨ましく思います。
主人公のイクは戦後に生まれ、両親の愛に恵まれずに、そしてそれを受け止め、ただ、自己の不甲斐なさ故に愛されないのだと思いながら育った女性。
そんなイクの5歳から、中年期までが描かれた作品です。
イクの父は理不尽な理由で怒りを撒き散らす人物ですが、犬を手懐けることに長けた人物。
小さな頃から犬と共に生活してきたイクもまた、犬を愛し