姫野カオルコのレビュー一覧
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姫野カオルコさんの本はどの本も大好きですが、この本は、ちょっといつもの姫野カオルコさんの作品とはちょっと違う感じがしました。
主人公・泉さんの個性的なところは姫野さんって感じなのですが、お話自体が、おお、、、こういう終わり方のお話もアリなのか、姫野さん!!っていう感じでした。
編集者が取材していくというスタイルで、いろんな切り口から泉さんのことが語られていて、、、そして切なかったです。
確かに、シンデレラの話って、自分のことをコケにしてきた意地悪な継母とその娘達への復讐に満ちていて、本当にそんな嫌な奴がシンデレラ?という考え方もあるのかもしれません。私はそこまで考えたこともなかったので、それも -
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角川文庫の著者紹介文に「独特の倫理主義」と表現されている倫理観をコメディータッチのファンタジーで表現した作品。著者の単行本デビュー作。
私立薔薇十字女子大英文科に在籍する女子大生「ミツコ」が不思議なパワーで悪徳を懲らしめます。ここでの悪徳とは「冷静に考えれば悪徳なのだが、なぜか、まかり通ってしまっている、見逃しがちな悪徳」です。
例えば、人込みでの喫煙、職場での暴言……。法律的には精々軽犯罪法に引っ掛かる程度の悪徳を、ミツコさんが懲らしめます。懲らしめるといっても、殺人などの過剰防衛に走らず、破廉恥なことには破廉恥で、ちょっとした暴力にはちょっとしたお仕置きで。適度な警告を発します。
純文学表 -
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要介護の家族を持つ十三人の独白で構成された連作掌編集。
『日経ヘルス プルミエ』(日経BP社)の連載を単行本にまとめた一冊です。
各編には独白をする人のプロフィールが示され、あたかも一般人の投書を読むような体裁になっています。この工夫により、僕は親しい人の話を聞くように読むことが出来ました。
読み終えて思うのは、作中でも述べられるのですが、
「実際には、聞く機会の無い話なのだろうな。」
でした。
おそらく、僕が毎日通っている職場にも、この本の語り部のような毎日を送っている人がいるのだろうと想像します。しかし、彼らは、同僚がお盆休みの計画を「スペインに行ってくるんだ。」と明るく話すのに対し「あ -
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ギリシャ彫刻のような美人の甲斐子が「美人ではないけれど可愛い」と言われる容姿へ、綿密な計画の元に美容整形手術を受けます。
「美人ではないけれど可愛い」と言われる阿倍子が完璧な美人へ、美容整形外科院にカモられるように美容整形手術を受けます。
着実に計画を実行し、モテ女へと変貌していく甲斐子。
成り行きで美人になり、モテなくなる阿倍子。
容姿を入れ替えたような二人の、手術を受ける学生時代から、その後の歩みが
時より交叉しながら、語られます。
執拗に「美人」と「モテ」とが異なる事が説かれる点を含め、大筋は記憶の通りでした。
坂口安吾の作品が「エッセイが小説的で、小説がエッセイ的」と言われたのと同じ -
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ゲームメーカーの女性プログラマーを主人公にしたファンタジーです。
主人公の勤務形態が嘱託なので、在宅勤務。独り暮らしなので滅多に人と会うこともありません。早くに両親と死別し、きょうだいもいない彼女は、戒律厳しい修道院で育ちました。成人して後は、友達から「フランチェス子ちゃん」と呼ばれるほど(結果として)禁欲的な生活を送っています。
そんな彼女のファンタジーは、哀れ股間に人面瘡が出来てしまう喜劇。しかも人面瘡はしゃべります。何をしゃべるかと言えば、恵まれた容姿にもかかわらず、禁欲的な生活を送っているフランチェス子ちゃんを人面瘡が「ダメ女、ダメ女」と、替え歌にして繰り返して歌います(笑)。そんなふ -
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同じ中学時代を過ごした男女の当時と今を綴った六編の連作集。『ツ、イ、ラ、ク』(角川書店2003/10/31)の舞台設定を踏襲しています。
卒業写真
高校生まで過ごした故郷を離れ、妻の故郷でフィットネスジムのインストラクターをしている安藤健二の物語。中学時代の友情と淡い恋愛に馳せる思いを、大人になった今の視点で綴っています。
秘密の宝物のように、時々眺めては甘酸っぱい気分に浸る事の出来るのが少年時代の思い出ですが 僕たちは、往々にして、思い出を今と分離した過去として扱いがちですが 自分を形成した経験として、自分やかつての同級生の今の幸福を思う安藤の感慨が胸に染みました。
作中で中学時代の -
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童話「シンデレラ」について調べていた編集プロダクションのライターが、「シンデレラは幸せになったのか」と疑問を持つことに端を発する物語です。
この疑問に意気投合したプロダクションの社長から、知り合いの女性「倉島泉」を紹介され、取材を始めます。
「幸せになったシンデレラ」とは、本当はこのような人の事を言うのではないか。
物語は、倉島泉の半生を描いています。
諏訪湖のほとりの料理屋兼温泉宿(現代風に言えばオーベルジュ)の<たから>に昭和二十五年に生まれた女の子が倉島泉(くらしません)=本書の主人公です。
さて、倉島泉は、シンデレラになれたのでしょうか。
読み終えた直後にぼくは、考えました。
「 -
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ホラーとミステリー八編からなる短篇集。
夏で、暑いので手にしてみました。
ネタバレに気を付けつつ、順に読んでいきます。
よるねこ 「こうして温かい味噌汁をかけると、ごはんも温かくなる」と、無頓着に娘の食事に気をつかう母親。娘の視点で追うホラー。
身近な、特に肉親を扱うホラーって怖いですねぇ。って、ネタバレに注意してるから、何にも書けないね(^^;
女優 普通に恋人がいる二十八歳の達哉と、彼の恋人とをめぐるサイコホラー。
この一冊の中では、僕が一番気に入った作品です。なぜ気に入ったかと言うと、女優が……って、やっぱりネタバレになるから、なんで気に入ったか書けない(ノ_< -
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長編としては、2003年度下半期直木賞候補となった「ツ、イ、ラ、ク」角川書店2003/10/31)以来二年ぶりの作品。丹念な取材を元に描かれた作品としては「整形美女」(新潮文庫2002/10/01)以来、約六年ぶりの作品。取材の対象は、本書では特定の女性。著者初のモデル小説です。ただし、モデルは有名人ではなくて、一般人。大正生まれの女性。
歴史に名を残すでもなく、またマスコミに登場するでもない彼女の半生です。が、しかし、彼女の人生は僕にはうらやましい限りの個性的な人生として映りました。
もちろん、現代とは違って選択肢が限られた彼女の人生には、たとえば自分がしたいことを選んで進路を決めるような自 -
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2007年3月に「ああ正妻」として出版された作品の文庫化。文庫化に際し、全面改稿されました。
文庫の後書きに著者が記した意図が、本書を理解する上で大きく役立つと思いますので、是非お読みすることをお勧めします。
僕が文庫化で大きく変わったと感じたのは、ラストで雪穂の側に立って夫との関係を考察している点です。
物語の皿回し的役目を担う、川松教授の質問に答える形で、小早川くんが「妻が求めるものは何なのか」を述べます。
内弁慶なモンスターとして家庭に君臨する雪穂は変わらないのですが、それでは、雪穂自身はこの現状をどう考えているのか。
川松教授の考察は、幸福論(又は不幸論)として秀逸だと感じる一方、