姫野カオルコのレビュー一覧
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2016年、この事件が起こった時私は7歳だったからこの本を読んで初めて事件の内容を知った。
恋人というのは、自分の1番の味方でいてくれる存在であることに価値があるのだと思う。男性経験が少なかった美咲は特に強く感じたのだろう 少し違和感があっても、自分のことを愛しているからとのその違和感を飲み込んでしまう。
本当にその恋人に価値はあるのか。
自分の1番の味方は自分であるべきだし、それを人に預けてしまう現代は異常ではないか
つばさのように、何事も簡単に成し遂げてきた人は自信のないことが多い気がする。きっと自分が自信を持って言える努力をしていないから、肩書きや客観的な評価に縋りやすいのだろう
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歪んだ自尊心と残酷な後知恵バイアス
有名大と女子大の学生が集まるインカレサークルや医学部体育会の女子マネージャーの存在をネタにしたり、有名人の不同意わいせつスキャンダルに対してああだこうだと憶測を語ったり、「男子校のノリ」を面白おかしくやってみたり……
物語の展開、あるいは実際の事件のあらましについてだけでなく、読み進めるほどに自分の中の醜い悪魔的な面を認識してしまってしんどくなったものの、それにじっくり向き合えただけでも読む意味はあったと思う。
「東大生たちが起こした強制わいせつ事件」というセンセーショナルな字面がどうしても独り歩きしてしまうところがあるけれど、学歴社会とか性差別とか自己責 -
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最初から最後まで読みやすかった。
東大生という学歴だけで女を下に見てバカにして、女の方も東大生というだけで明らかに態度が変わってしまう。嫌な世の中だなと思った。
親も子もやはり同じだなと。学歴だけが全てではないと、真っ当に生きようと思った一冊でした。
主人公の美咲は純粋につばさに恋をしていたし、だからこそ裏切られたことが本当にショックだったんだろうな。容姿も学歴もそこまででない美咲は自分に自信がなかったし、そんな自分のことを誘ってくれた最初は優しかったつばさにとハマりしてしまったと。本当にクズな男代表だと思いました。
やはり女のことを容姿でしか見てない男と学歴でしか見てないバカな女たちと、 -
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京浜急行を舞台にした小説ということで、京急百貨店で平積みになっていたので思わず衝動買いしてしました。
姫野カオルコ先生の著作は初めて手に取ったのですが、劇的なストーリー展開があるわけでもなく、登場人物の激しい内面の葛藤があるわけでもなく、ただの日常を描いているのに、その心理描写が絶妙です。
いつの間にか自分の経験とも重ね合わせてしまい、とても共感しながら、春風のように心の中をさーっと作品が駆け抜けていきました。
読み終えたあとに、じんわりと心に残ります。
姫野カオルコ先生の作品に出会えたことに感謝です。
短編小説3編から成り立っている本ですが、ほかの著書も是非読んでみたいと思います。 -
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ネタバレ2016年に、東大生が他大学の女子学生に対して集団でわいせつ行為をした罪で逮捕・起訴された実際の事件をもとにした小説。あくまでフィクションであるとあとがきにも書かれているが、逮捕された5人の東大生の役回りや、サークルの実態、公判で明かされたわいせつ行為の内容などは、かなり忠実に事実に近く書かれているようだ。被害にあった女子大学生や、一番重い罪となった東大生のキャラクターや、周辺の人物の生まれ育った家庭環境などは、作家の想像力が加わっていると思われるが、母親が公判に証人として出廷していることもあり、分かる部分は生かされているだろう。
ありきたりな感想だが、実にいろいろなことを考えさせられる小説 -
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2010年上半期(第143回)直木賞候補作品。(受賞作は中島京子の「小さいおうち」)
TikTokでよく聴く安住紳一郎の「日曜天国」で、アシスタントの中澤有美子アナへ作者の姫野カオルコさんが書いた手紙が紹介され、その中で本作が登場し、どんな話か気になった読んだ。
タイトルから想像する、いわゆる「シンデレラ・ストーリー」では全くなく、あとがきのことばを借りると、「リアル」は「まるで実際の事件をルポしたような」、「シンデレラ」は「『幸福』の寓意」。幸せってなんだっけ、と考えさせられる作品。
主人公 倉島泉「くらしま・せん」の生き方がとにかく素敵。
泉が小6のときにした3つのお願い。熟慮の末 -
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昭和日本の一地方の土着的人間模様を描きながら、この著者独特の着眼によって「これはいったい何を読まされているのだろう」という感覚に襲われる、稀有なタイプの小説である。昭和の地方都市に生まれた女性がたどる人生というのは著者の数々の著作に共通するテーマであるが、本書はそこに「リアル・シンデレラ」という偶像を置き、ルポ形式で周辺人物へのインタビューを重ねることで、主人公=倉島泉(くらしま・せん≒暮らしません)の人間像を浮き彫りにしつつ、さらに一回転して昭和女性(男性)マジョリティの集合無意識としての憧れ=シンデレラを陰画のように描き出す。
そして、シンデレラはとこしえに幸せに暮らしま… -
匿名
ネタバレ 購入済みどのグロい本よりも悍ましく恐怖
私は40前後の女、おばさんだけど、
女子中時代に男性教諭から猟奇的なことをされ
学校にもみ消され
結局退学することとなった。
性被害も受けたことはある。
そして私の身内に、つばさと同じ大学の人間がおり
どこか似ているような発言を昔していたことを思い出した。
ただ私の身内の場合は、女の子を偏差値では判断しないし
尚且つ究極にモテない人間だったし
運動部にも所属していたので
本の中のような男女がわいわいするサークルとは無縁ではあった。
‥あったけど、私自身は
つばさに対しても美咲に対しても
どちらに対してもどこか共感できる感覚があり
それは読めば読むほど
辛くて読むことをやめてしまいたくなった -
Posted by ブクログ
ネタバレ「次に読む本が決まらない」状態が異常に長く続いてしまったがついに来た!
しかも読む前は知らなかったがイラストはもんでんあきこ
だ。
著者の方が年長であることに加えて、ご本人曰く「上にずれている」ので取り上げられている映画も俳優もほとんどが分からない。全て検索していてはちっとも進まないので気にせず読み進めた。『顔面』と言いつつ著者の観察は顔に留まらず声と身体全体に及ぶ。自分も声と身体がとても気になる質なので共感できたし、自分なりの作品の善し悪しまたは好き嫌いの評価において、役と俳優のマッチ度を最重視するのもありかもと思いを新たにした。 -
Posted by ブクログ
帯には「異色の食のエッセイ」とある。
なるほど、なるほどである。
まずタイトルに惹かれる。
明らかにこれは怒っていますね? うん怒っている。
食 と言っても、この方は酒ありきの食である。
この料理にはどんな酒が合うか、和食のコースの酒の順番、良い店の条件、日本酒の煩わしい種類分け、など。
まあ良い大人であるから、他人の言動に対して、また社会情勢に対して、声を荒げて怒ることはなさらないにしても、あきれる、嘆く、気分を害する。
まあ気持ちよく飲食したいのに邪魔してくれるな、という感じ。
そして今回も出身地の滋賀の話題や、幼少の頃の懐かしい話(同世代なので大きく頷く)が盛りだくさん。
家飲み用のお -
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『昭和の犬』を読んだならこちらも!と読みました。笑った笑った。
著者によると、『昭和の犬』は自伝的要素の強い小説で、『近所の犬』は私小説でよりエッセイに近い感じで読めますよ、と書かれてます。
とはいえ、小説なので、あくまでもフィクション部分が含まれています。と。
『昭和の犬』でも著者の趣味?としての【犬見】について説明されてたけど、
犬が好きだけど飼わない。その分近所の散歩中の犬気が合えば散歩に同行したりして仲良くなる。
犬それぞれの性格や飼い主の人生まで、楽しく書き綴られています。
同じ犬好きとして、犬の気持ちを通訳したセリフがめっちゃわかる〜そんなこと言うよね〜犬って!と、おおいに盛り -
Posted by ブクログ
どん、と強い衝撃を、何度も受ける一冊。
痛かったり、恥ずかしかったり、羨ましかったり、色々な種類の衝撃を不意討ちで、喰らいます。
「地の文」が一切なく、登場人物が他の登場人物に宛てた手紙だけで物語は進みます。
主人公が高校2年生であった時を起点にした、約20年間が描かれています。
同級生への淡い恋心、先生の悪口、同級生の噂話、受験、進学…
そんなことで埋め尽くされていた手紙の内容は登場人物達が年齢を重ねると共に変化していきます。
別離、結婚、不倫、奪取、離婚…。
彼らに起きた様々な出来事が、変化する手紙の内容から、推察されます。
手紙というのは、ある程度自分を客観視していたり、
少な