姫野カオルコのレビュー一覧

  • リアル・シンデレラ

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    約10年ぶりに再読。
    やはり名作。

    2021年34冊目。

    以下は過去のレビューのコピペ。
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    たまらなく、よかったです。

    倉本泉という、田舎に生まれ育った女性について取材することになった筆者。
    彼女の周囲にいた人間の視点で語られる彼女と、彼らから聞いた話を元に、筆者が書いた文章。

    泉本人の主観は、一度も描かれません。

    広く一般的に知られている「シンデレラ」は主人公が受動的過ぎて、その他の登場人物の個性が際立っている。
    シンデレラは、自分がされたことを、その他の登場人物にし返しているだけ。
    果たしてシンデレラは、本当に幸せになれるのか。

    泉は、真

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    2022年09月01日
  • ケーキ嫌い

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    お酒大好きで甘いの苦手な私にとって、とってもとっても楽しくて共感しまくりの1冊でした!
    そして勉強になった!これからの「食」がもっと楽しみになった(^-^)⊃⌒♡

    激太りしたので絶賛禁酒中(年明けてからほぼ毎日飲んでた)やけど、目標体重まで行ったら絶対にヒメノ式レシピと共にお酒を嗜むゾ!!!とさらにダイエットへの意欲湧いた!!!ヒメノ式レシピ、全部美味しそうすぎて読みながらお腹なってた笑
    ふきのとう大好きすぎて早く春になってほしいと願うばかり。あとかんずりも気になる!絶対手に入れる!!!!

    表題作の「ケーキ嫌い」に関しては頷きすぎて首もげるかと思うくらいに共感した!世の中の人(私もやけど)

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    2022年08月02日
  • リアル・シンデレラ

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    ネタバレ

    一読後、胸の中に美しく青い星空が広がるような気がしました。そして、その星々を映すこれまた美しい湖。湖に浮かぶ一艘の小舟。小舟の中には………

    倉島泉(せん)というリアル・シンデレラのお話です。泉ちゃんは、ちゃんと両親揃っていて、可愛い妹もいて、傍目には何不自由なく暮らしています。けど、母親は今でいう毒親で、その暮らしは童話のシンデレラ同様、辛いものでした。傍目にわかりにくいだけ、シンデレラより悲惨だったのかも、です。

    毒親の心ない言葉に、もう死んでしまいたい、自分なんていない方がいいんだ、と思いつめていた泉ちゃん。十二の冬、そんな泉ちゃんに魔法使いがやってきます。
       「死はすぐそこにある

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    2022年06月09日
  • 桃 もうひとつのツ、イ、ラ、ク

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    さびしい、痛い、触れたい、うれしい、たのしい。そういうのがひたひた溢れてる。
    恋ってまっすぐなんだと思う。好きな人と思う存分セックスするのはなによりも気持ちがいい。
    まっすぐでふたりきりで寂しい。好きな分だけ、ずっと寂しい。
    大人になると思い出す。幼い、でも全てが満ちていたあの頃の鮮度は、もう二度ともどってこないこと。
    懐かしてくさびしい、これは大人のための物語。

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    2022年04月23日
  • リアル・シンデレラ

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    ネタバレ

    不遇に生まれて幸せに生きるとは。幸せは環境、他者によってもたらされるものなのか、はたまた自分が自分のまま、人を蹴落とさず自分の靴を履いて今あるものを教授するのか。泉のように生きられたらと思わなくないけど、スタンダードな幸せから価値観ズレた泉が悪意ある噂でエンタメとしてコンテンツ化されるくだりはとても怖かったです。

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    2022年04月06日
  • リアル・シンデレラ

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    作者がTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』をよく聴いていて、番組アシスタントの中澤有美子さんをモデルにして書いた小説とのこと。私も中澤さんが大好きなので読んでみました。
    『リアル・シンデレラ』というタイトルから受ける印象とはかなり違っていましたが、文庫版あとがきで作者もそのことについて書いていました。「リアル」や「シンデレラ」に持たせた意味の認識の違いが大きかったみたいだと。明治大正昭和をまたぐ女性の一代記などでは全くないと。気になる方は、まずはあとがきから読んでみてください。
    その上で、幸せな人生とはどんなものか、自分はどんなふうに生きて、どんなふうに幸せになりたいかを考えさせられる小説でし

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    2022年02月16日
  • お金のある人の恋と腐乱

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    したたりそうに熟れて美しい表紙や題名が想像をかきたてる。連作短編集。上流の人ってこんな世界で生きてるんだろうか。お金以外のところに不自由な印象を受けた。
    ・反行カノン・・・冷静な田鶴子さんが可愛い男子高校生の藤沢さんに恋する話。田鶴子さんは高校生がハマるほどステキな女性なんだろうなあと想像。
    ・フレンチ・カンカン・・・田鶴子さんの夫の妹、栞さんと藤沢先生。上流に暮らす栞さんの心が空洞のように感じる。
    ・三幕アリア・・・お手伝いさんの娘、牧子ちゃんと偶然食事を一緒にした藤沢さん。大金持ちでダンディーで最後までステキだった。牧子ちゃんの幼くて一生懸命な思いがせつなかった。
    ・輪舞・・・田鶴子さんの

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    2021年02月07日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    じっくり、じんわり読める。お手紙方式をとっているからか、余白があって、なおじんわり、とした読後。ひとことで表せない、家族というものについて。複雑な心境を、「謎」という言葉が置き換わって、ミステリーの様相も呈して進む。家族と他人、人間のつながり、感情の持って行き場、昇華のされ方。良かった。

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    2020年11月21日
  • 結婚は人生の墓場か?

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    この小説は僕にとって危険すぎる
    悪い意味で個人的にインパクトを受けたということで、評価5

    出版社に務めていて年収は1000万を超えるにもかかわらず、不自由な結婚生活を強いられている小早川という男の話

    お嬢様として育てられた妻は、日本語が話せるけど独自の論理思考を持つため一般的とは異なったコミュニケーション能力が必要
    そしてそのリクエスト内容も優先順位が決まっていると思われるが、夫の小早川は釈然としないものを感じる
    度重なる引っ越しによる住宅家のローンと過大な教育費、そして意味不明な妻のリクエストの解読
    散歩に行こうとするものなら、そんな事よりも家の中のあれをして欲しいこれをして欲しいと自由

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    2020年11月18日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    不可解な話の連続でホラー小説でも読んでいるかのような気味の悪さをたびたび感じたけれど、それらの謎に対する回答者たちの推理が見事で、なるほどこんな見方があるのかと感動すら覚えた。
    特にタクシーの話は意味不明すぎて頭痛がしたけれど、その回答が特に素晴らしくて電車内で思わず「なるほどなあ」とつぶやきが漏れてしまった。
    エピソードも回答もすべてが面白いし、綺麗な文体のなかに垣間見えるシニカルさもまた良くてとても楽しませてもらいました。

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    2020年03月26日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    ウチはウチ、ヨソはヨソ。
    誰でも一度は聞いたことがありそうな言葉ですが、この言葉と共に葬り去られた「謎」が、世の中に一体どれ程あったのでしょうか。

    主人公ヒカルがいうように、虐待というのは違うような、でもすんなり受け入れることは不可能、といった両親の謎の言動について、投稿という形で相談と回答が交わされます。
    これを読んだ人の反応は大きく3つに分かれるのではないでしょうか。信じられない派、わかる派、そんな酷い?派です。(一部重なることはあると思いますが)
    しかしながら、本書において、この両親が酷いかどうか、謎の解決というものはあまり重要ではない気がします。
    最後の方に書かれているように、親子の

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    2020年01月18日
  • 何が「いただく」ぢゃ!

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    食の雑誌『dancyu』の連載をまとめた異色の食エッセイ
    「好きなものの魅力を伝えたい」という意思が伝わってきます。
    高価な珍味ではなく、身近な、普段口にするものを「いかに食べるか、いかに飲むか」の切り口で、様々な読者に伝わるよう、工夫しながら語ります。
    僕は、どちらかというと食にはこだわりがなく、酒も飲まないのですが、平素ネットでの批判や、糾弾形のニュースばかり目にして疲労が溜まっていたところ、こんな語り口調の一冊が、オアシスのように感じられて、心地が良かったです。

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    2019年09月04日
  • ドールハウス

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    ネタバレ

    普通の恋愛小説と思って読んでたら、普通の恋愛小説ではなかった、というか恋愛小説と思って書かれては無いんですね これ。

    ちゃんと伏線はあったけど、何も疑わずに読んでた、普通に結ばれるエンドかと思ってた。

    主人公は、親から逃げる為に、相手の男性を無理やり好きだと思い込んでる。感じかな
    親からも、相手の男性からも逃れることで、自分を確立できたね。

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    2019年07月23日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    幼い頃の両親の謎な行動について、主人公が相談投稿し、返信をもらう、という構成の作品です。

    私はモラハラな父親と過保護な母親という「毒親」育ちなのですが、読んでいてツライ部分もあり、読み飛ばしてしまったところもあるのですが、回答の文章に救われて泣けました。

    タイトルに「毒親」とつけるところに作者は悩んだかもしれませんが、私のように「毒親」と付いているから手に取った人もいるはずです。

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    2019年07月09日
  • レンタル(不倫)

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    軽薄さと甘ったるさにチョップ!
    けど、軽薄さと甘ったるさを取ったら、世の中はスカスカになっちゃうなぁ。
    「しおしおのぱー」が思いの外、面白かったから、星を五つにしよう。

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    2019年05月27日
  • 喪失記

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    姫野カオルコ。凄まじい作家だ。

    主人公のような人物を、現実には「こじらせた」人と言うのだろう。しかし、小説の中では、その凄まじさはたとえようがない。

    これでもか、これでもかとつらいエピソードが続く。
    性の貧困は、自分観の貧困、人間関係の貧困も招くからだ。

    その中でも後の救いとなる、大西と食べるシーンは量感的で圧倒される。

    あとがきを読んで、初めて主人公が救われたことに気付く。身体を取り戻したのだ、と。大西のおかげで。

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    2019年05月14日
  • ドールハウス

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    読んでいてもどかしく、苦しくも、最後の主人公の痛快な笑いによって、読後は救われる小説。題名の通り、まさに現代の『人形の家』か。

    あとがきにあったように、未熟を掬う(救うではない)物語である。的確に描写する=掬うほど、救いになることはない。その順番を間違えてはいけない。

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    2019年05月10日
  • 謎の毒親(新潮文庫)

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    こんな面白い形の小説読んだことがない。形式も面白いし、内容もめちゃくちゃ面白い。そして、出てくる親の行動が本当に謎としか言いようがなくて、まさに「謎の毒親」。ただ、読んでる自分が男であり父であれば、このおかしな父の行動の中にほんの少し自分を垣間見たりもするかもしれないし、それは痛みを伴うかもしれない。相談相手からの回答は示唆に富んでいるし、これは、というような慧眼と言える内容もあって、とても深みがある。単に毒親を描いただけではない読み応えのある凄い小説だと思う。面白かった。

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    2019年02月07日
  • リアル・シンデレラ

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    個人が何を持って幸せと感じるか。他人には計り知れない。読者は騙される。泉は自分以外が幸せならそれでいい健気な子だと。けれど終盤、そう貂のような人と会う直前の泉、段ボール部屋でこっそり泣いてた泉、やっぱり悔しくて切なくてという「当たり前」の感情をひとりむき出しにしていた泣いている泉を目の当たりしてやっと分かるのだ。普通の子が虐げられてきた故感情を偽っていたのだと。この話は寓話だという。けれど私は泉みたいな子がいて、一生懸命生きていることを感じている。泉のように幸せを見つけられるといい。自分で決めた幸せを。

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    2017年05月24日
  • リアル・シンデレラ

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    姫野カオルコさんの本はどの本も大好きですが、この本は、ちょっといつもの姫野カオルコさんの作品とはちょっと違う感じがしました。
    主人公・泉さんの個性的なところは姫野さんって感じなのですが、お話自体が、おお、、、こういう終わり方のお話もアリなのか、姫野さん!!っていう感じでした。
    編集者が取材していくというスタイルで、いろんな切り口から泉さんのことが語られていて、、、そして切なかったです。
    確かに、シンデレラの話って、自分のことをコケにしてきた意地悪な継母とその娘達への復讐に満ちていて、本当にそんな嫌な奴がシンデレラ?という考え方もあるのかもしれません。私はそこまで考えたこともなかったので、それも

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    2017年05月23日