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常軌を逸した強権の父と、身を飾ることを狂気じみて嫌悪する母。一人娘の理加子は29歳になっても「不良になるから」と、髪をのばすことも、気ままに電話することも禁止されている。そんな理加子の前に、仲のよい家族のもとで育った江木という男が現れ、強引に接近してくる。理加子は初めて「男性とつきあう」ということに向かい合うが、毒親の呪縛が立ちはだかる……。初版1992年、「毒親」という言葉がまだなかった時代に、毒親育ちの葛藤を描いた先駆けの小説。
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Posted by ブクログ
読んでいてもどかしく、苦しくも、最後の主人公の痛快な笑いによって、読後は救われる小説。題名の通り、まさに現代の『人形の家』か。 あとがきにあったように、未熟を掬う(救うではない)物語である。的確に描写する=掬うほど、救いになることはない。その順番を間違えてはいけない。
普通の家族、普通の恋愛……「普通」という言葉の重圧に押しつぶされそうな人がいる。高齢処女3部作の最高傑作。
私も父親に性を封じられ生きてきたので、よく分かる。そのせいで内なる健やかな性が私の中でねじれているのも気付いていた。 きみだけには夢を語ろう、今まで何人もの女に見せてきたのだろう、技巧として見せるわけではなく、彼の内の健やかな性の神経は無意識に女に媚態を示し得るのだ。 だが、見せかけて、さりげ...続きを読むなくにおわせる行為にたまらない不潔さを、リカコは感じた。 女になりたい。 すねたりむくれたりウィンドーに飾られた赤いハイヒールが欲しいと言ったりしてみたかった。頭脳ではなく肉体で考えるひとときが欲しかった。
姫野カオルコさんの文章って、おもしろいですよね~ けっこうハマって、かなりのスピードで読み進んでいます。 単独とはいえ続編というかシリーズがあるのですね!早速入手して読みたいです^^
「いつか王子様が、か。今時の王子様は白馬には乗ってないんだろうな」 「きっとタクシーに乗ってるのよ」
ヒロインの理加子の家庭ほど極端でなくとも、どこ家庭でも「自分にとっては普通である異常なこと」があるのではないだろうか。少なくとも私にはある。だって家族の中には世間はないのだから、最小単位内での常識なんてのは非常識なのではないか? では異常をどのように検知するのかと言えば、他人とつきあうことで...続きを読むしかない。その他人も異常かもしれないけれど、大勢を見ていけば、自分と異なる点を見いだすことが出来るはずだ。どんな異常でも良いけれど、自分にとって心地よいモノを見いだすしかないのかもしれないな……と思った。
姫野カオルコの作品に出てくる女性は今まで抑圧されていたのが、何かのきっかけでぷっちんと切れて解放されるっていう印象を受ける。 厳格で家に縛りつけようとする両親。結婚ははしたないことと戒めるけど、それって現実的なのかねえ。お家存続のほうが大事じゃないか。 祖先が大事にしてきた家よりも自分たちの独占欲...続きを読むが強いってのがちょっと違和感。 しかし、そんな親に育てられながらも、ラストでは”ふつう”の方向に進もうとするのがちょっと救われたかなあと思った。 それにしても主人公の彼氏みたいな男がどうしようもないな。 なんでちょっと病んでそうな年上で、しかも美しくない人と付き合い始めるかなあ。結局こいつはフリーターな自分よりも弱い人間が好きなだけなんだろ。いい顔したいだけだろ。
これまた極端な設定・・・と思いつつ、自分も多かれ少なかれ滑稽な規範に縛られていることを思い知らされ、痛い・・・。
どこまでも暗いイメージ。 キチガイか?と思うような父母。がんじがらめにされ、 自分の価値を貶められ、まともな考え方ができないよう育てられた理加子。 そんな彼女も30を前にいろいろと思うところが育っていった。 終わりはがっちりと閉ざされていた扉が音を立てて開いていく様子が伺えて、読者側はよかったなぁ...続きを読む、と思える。
不運な家庭のレシピっていうのは尽きない。 凄惨と残虐に限りはあるけど異常に限りはない。 両親の設定がいなさそうだけどいそう、ここまで偏ってなくてもこういう人いるっていう絶妙さ。 最後はちょっとずるかったけど。
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