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Posted by ブクログ
長編としては、2003年度下半期直木賞候補となった「ツ、イ、ラ、ク」角川書店2003/10/31)以来二年ぶりの作品。丹念な取材を元に描かれた作品としては「整形美女」(新潮文庫2002/10/01)以来、約六年ぶりの作品。取材の対象は、本書では特定の女性。著者初のモデル小説です。ただし、モデルは有名人ではなくて、一般人。大正生まれの女性。
歴史に名を残すでもなく、またマスコミに登場するでもない彼女の半生です。が、しかし、彼女の人生は僕にはうらやましい限りの個性的な人生として映りました。
もちろん、現代とは違って選択肢が限られた彼女の人生には、たとえば自分がしたいことを選んで進路を決めるような自由さはありません。逆に時代に流され、状況に身をゆだねざるを得なかった事の多い、彼女の人生です。それでも、僕が彼女の人生をうらやましく思えたのは(僕の読書に偏るかもしれないけれど)彼女が自分の個性を肯定し、限られた選択肢の中で自分の身の丈にあった選択をしてゆくところにあったように感じます。
自由と言われる現代にあって、僕は、本当は何をしたいのだろうかと考える事も多く、また、思うようにいかなくて悩む事もあります。でも、たとえば、ハルカのように生きることもできるのだと思えば、僕も、僕なりに、自分らしく生きる事ができる、そのヒントを与えられたように感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
初姫野カオルコ。今まで、ドロドロの恋愛モノを書くヒト、と勝手に思い込んで読もうとしなかったのだけれど、ものすごーーーくおもしろかったー。昭和の女一代記ときくと、苦労に苦労を重ねてみたいな、じめっとした話も出てくるんだろうと思っていたらそうではなく、明るくてさわやかでじめじめしたところがなくてすごくよかった。登場人物全員いい人、みたいな。お姑さんが本当に優しくて、ハルカがわたしもこういう人になろうって思うところなんて、なんだか涙が出たくらい。ときどき著者の視線というか、二〇〇×年の視線で語られるところがあるんだけれど、それもわたしは違和感なく、おもしろかった。当時の社会状況を解説されているみたいで。ハルカと夫が、お互いをいちばん愛していると思いながらどちらも浮気をするっていうのは、どうなんだろう、賛成とも反対ともわからないんだけれど、文章の雰囲気なのかな、ハッピーな感じがした。結局、人生、人と違っていようがなんだろうが自分がここちよく楽しく生きられればいいんだな、というようなことを思った。自分が機嫌よくいられれば人にも優しくできる。人と自分を比べず、くよくよせず、せかせかもせず、おおらかに生きていくハルカはすばらしいー。娘の恵の話で続編なんて読みたいな。
Posted by ブクログ
戦争って悲惨で暴力的で血みどろで悲哀なことばかりだけど、戦時を生きる人の生活と日常をちゃんと書いた本はあまりないと思う。
小さな喜び、友達を思う気持ち、困惑などだってあるはず。
一日100パーセント戦争のことじゃない。
空襲のあと、義母とちらし寿司を手掴みで食べて、美味しいなと思うシーンが好き。
ハルカさんは、楽しみやユーモアをより強く感じて素直に生きるのが人生のメインで、不倫や夫婦の危機は添え物みたい。
それなりに不幸もある普通の人生なのに、普通じゃなく芯からエンジョイしている。
昭和の女性の人生をスキップで駆け抜けるハルカさんは素敵です。
Posted by ブクログ
実はあまり期待しないで読んだのですが、非常によかったです。こういうの好きです。みなさんが書いているとおり、ハルカという女性の一生が描かれているのですが、戦争のことなど事実をちゃんと織り込みながら、それでも普通に生きていた人々の理屈じゃない部分も無理なく読ませてくれました。あとがきで著者も書いていましたが、暗くてむごい戦争の中にも笑ったり食べたりしゃべったりする日常があってそういうのをちゃんと書きたかった、というようなこと(うろ覚えですが)、読んでいてすごく伝わってきました。文章もリズムがあってよかったし、関西の言葉も個人的に好きな雰囲気で、結構おすすめです。久々に読み終わりたくないなーと思う本でした。
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