中島久枝のレビュー一覧
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日本橋牡丹堂シリーズ第十二弾。
二十歳になった小萩。菓子考案の日々の中、大人としての
気配りやあしらい、心遣いを周囲の者たち学ぶようになる。
夜咄の茶事・・・茶花の先生・直枝から頼まれた夜咄の茶事の菓子。
更に彼女の生徒たちからも菓子を依頼される。その理由は?
鉢かづき姫の最中・・・疎遠になった息子と孫へと頼まれた菓子。
その祖母の想いと悔い。頑なな心の鉢を割らなければ。
月と光と幹太の恋と・・・直枝から茶花を学ぶ、幹太。それは恋か。
亡き母への想いか。直枝と二人だけの茶会で彼は成長する。
阿古屋のひみつ・・・歌舞伎の演目『阿古屋』とあこや。だが、
それが縁で花絵は夫に疑いを抱く。あの母子は何者か?
もう二十歳であり、まだ二十歳である小萩の秋の日々。
一つの事に捉われると回りが見えなくなってくる。だが、
伊佐の注意、お景やお福の話は、そんな自分の姿を
気づかせてくれる。世話焼きはお節介に変わることもある。
人への気遣いや気配り、心配りの大事さ。
でも、お景やお福、それに須美という人生の先輩たちがいる。
彼女たちの姿と行いが手本になり、大人に成長することでしょう。
そして伊佐の、本当の家族は小萩だけという言葉が
心に沁みます。そう、伊佐の真の理解者は小萩でなくっちゃ。
また、十八歳になった幹太の成長著しいこと。
かつて菓子屋なりたくないと言っていたのがウソのような、
菓子職人としての、更に大人の振る舞いが頼もしく
感じられます。周囲も年を重ねる姿が垣間見られる日々。
続きが楽しみです。 -
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あっさり、どんどんと読めてしまいます。
主人公小萩は、江戸の牡丹堂で和菓子作りの修行中。
菓子比べがあったり、おかみさんが孫のために占いにハマったり、事件は次々と起こります。
お菓子の場面もさすがに多く、具体的な描写も。
こんな和菓子がほんとうにあるのか。作者が考え工夫したモノなのか。とにかく、美味しいだろうなぁ、と。
ただ、実際に江戸時代、女性が菓子職人として働く事ができたのか?と。
なんというか、職人達の仕事っぷりも、もっと厳しいものであったのではないかと思われるのです。
牡丹堂だから、幸せに溢れた場所だから(過去に辛いことがあったにしても)、という設定ではあるのですが、そんなトコロがチョット気になりました。 -
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日本橋牡丹堂シリーズ第十二弾。
初春を迎え、麗らかな日々の中での菓子作り。
小萩庵に入る注文は、小萩に人としての試練を与え、成長を促す。
鹿の子の思い・・・おとっつあんになってほしい。10歳の茜の
真摯な願いのため、贈る菓子を作ったが、岩蔵は姿を
消してしまう。母子の、岩蔵の亡き親方への思いが揺れる。
黒茶、花茶に合う菓子は?・・・札差・白笛の清国茶の茶会、
山野辺藩の新留守居役との顔合わせ、更に葬式饅頭百個の注文。
まさに天手古舞な一日に。だが、須美の機転が救いとなる。
とびきりかたい、かりんとう・・・国学者の父が煙草を控えるための
母子からの菓子の注文。百人一首の謎かけを添えて。
小萩は、人の内と外での姿と心の違い、言葉と言の葉を学ぶ。
吉原芸者の紅羊羹・・・自前芸者のお披露目の、菓子の注文。
その吉原芸者の千代菊を訪ねてきた妹の話から、彼女の
過去と真の姿を知る。苦労を経て得た芸の道と家族への想いを。
伊佐と夫婦になっても、まだまだ娘っぽい感じの、小萩。
見かけで人を判断してはいけないことや、
客の気持ちを察したり、機微を知るには、経験を積まねば。
でも、須美やお福、お景などの人生の先輩たちがいるからね。
今回は江戸の文化の一端を知るのが出来て良かったです。
また、家族というかけがえのない存在の話も、良かった。
ふと気になったのは、外国船が日本沿岸に現れる時代であること。
幕末という時代の変遷の波は、小萩たちにも押し寄せるのか? -
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冬の景色に彩られる中、小萩は菓子を考える日々を過ごす。
松兵衛の紅花色・・・鎌倉へ伊佐と共に里帰りした小萩はかつての
伊勢松坂の主・松兵衛と出会う。かの店の秘伝の紅花色。
それを伝授されての江戸への帰り道、伊佐は実母への想いを
小萩に語る。そして未来の家族についても。
杉崎と名残りの松風・・・初めての茶席に使いたい松風とは?
手掛かりを探す中、山野辺藩留守居役の杉崎が重い事項を
抱え国に帰ることに。杉崎とお文はそれぞれの場所で、
やるべき事に立ち向かい、進んで行くのだろう。
雪の日の金柑餅・・・今は無き菓子屋の金柑餅に込められた想い。
息子からの手紙でわかる家族の心情。母と息子の絆の深さ。
合い間に挟まれる酒饅頭の顛末は幹太の成長が感じられる。
娘から母に贈る祝い菓子・・・嫁ぐ娘から感謝を込めて母に贈る
菓子を頼まれた、小萩。そんな時、徹次が子どもを助け、
怪我を負うが・・・他人の噂に惑わされてはいけません。
新刊前の第十一弾。
小萩と実家、松兵衛、伊佐と母、お文と作兵衛、
卯祢とその子どもたち、お景と嫁いだ家、
おりんとすゑ。描かれたのは様々な家族の姿。
そして年月の経過。
少しずつ変わってきた伊佐は優しい目で笑うようになった。
かつて肩肘を張っていた須美も丸くなり、笑うようになった。
幹太も菓子作りの腕だけでなく、客あっての菓子屋を考えている。
そして、杉崎が去った山野辺藩との関係はどうなるのか。 -
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小萩庵に依頼する人々の心に内在する想いを受け、
相応しい菓子を考案する小萩の、成長する姿を描く。
異国の風にときめく甘さ・・・阿蘭陀好みの材木商からの依頼。
遥かなる異国に想いを馳せ、皆で工夫して菓子を作る。
異国の如く、俺たち菓子の世界は広くて楽しいんだよ。
帰らぬ人と月見菓子・・・月見菓子を注文した女性の想い。
十五夜の明るい満月は彼女の心に相応しいのか?
亡き許嫁との思い出は、何時か月の流れと共に変わる。
重陽の節句に菊の香を・・・菊を愛でる宴の客への土産菓子。
それは商いでの苦難を乗り越えさせてくれた一鉢の菊と、
与えてくれた相手への感謝に。花はなくともそこにある。
火の用心と亥の子餅・・・炭屋の主からの玄猪の菓子に悩む小萩。
しかも幹太が恋?更に火事が!炭屋の人々と水桶を
運んだ小萩が見た人物とは。爪の先まで深川の女なのだ。
新刊が出て読もうとしたら、なんと既刊2冊の未読に気づく
痛恨のミス。慌てて読んだのが、この第十弾です。
伊佐と夫婦になり、長屋暮らしにも馴染んできた小萩。
小萩庵には様々な菓子の依頼が来るようになりました。
季節は秋。物語を彩るのは風物と菓子の姿。
小萩が持ち込む難題を創意工夫して作り上げる店の面々の姿。
恋はすれども居る世界の違いを知り、成長する幹太の姿。
さり気ない心遣いが温かい須美の姿。
養う子どもたちへの考えを吐露する勝代の姿も。
そして様々な客たちの想いを語る姿。
火事の話はハラハラドキドキしたけど、終わりは安穏に。
でも、勝代が暗躍する曙のれん会の今後が、心配です。