中島久枝のレビュー一覧
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18歳になった小萩は「菓子調整処小萩庵」の看板を貰った。
牡丹堂や縁のある人々に支えられ、自分の菓子に取り組む。
書けない戯作者は春しなむ・・・戯作者が台本を書く気にさせる
菓子の依頼。西行?差し伸べられたのは、菓子の縁。
猫が運んだ福つぐみ・・・猫がいなくなって気落ちしている女性に
菓子を届けた小萩だったが・・・。菓子のご縁、猫のご縁。
父と娘の蓬莱山・・・男性向けの菓子の依頼が入る。
見世を出したお景からは粋な男が手に取る菓子。
薬種屋の娘からは父に贈る菓子。そしてもう一つ・・・。
珈琲に合う金色羹・・・牡丹堂への山野辺藩の依頼は珈琲に合う菓子。
薬種屋の禄兵衛との縁、帰ってきた鷹一との縁が味を添える。
小萩と牡丹堂での出来事の連作短編です。季節は夏。
小萩庵で注文の菓子を考案し始めた、小萩。そして、
牡丹堂で新しく働き始めた清吉の様子が中心になっています。
素直で一生懸命だが、何か事情がありそうな理由が、徐々に
明らかになってきます。悲しい過去とパワハラ、トラウマ・・・。
でも牡丹堂の面々の一致団結な温かさ。ここで働けて良かったぁ。
あの勝代のブラック企業な経営ぶりもわかってきました。
が、どうも彼女周辺も気になる動きが・・・こちらがどうなるかも、
気になるところです。
そして、弥兵衛の、薬種屋の禄兵衛の、思い出話と娘への
父親の気持ち、商売への志の語りは、しっとりとして良かったです。 -
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日本橋牡丹堂シリーズ第五弾。菓子の事、自分の将来に悩む、小萩。
素人落語のみやげ菓子・・・山野辺藩に収める新作の菓子で、
店の者は手一杯。小萩は落語会の手みやげを考える。
小萩、須美。女性の目線が新作の菓子に花を添える。
飴の甘さと母の想い・・・能楽のおさらい会の依頼に、演目を菓子の
題材に決めた小萩。お福から聞く須美の過去と家族。
母の想いと子の想い。離れていても絆は深い。
煉り切りの淡い夢・・・新たな、山野辺藩に収める新作の菓子は、
能楽を主題に、小萩と留助が中心で進めることに。そして、
幾つかの変化が。曙のれん会、勘太、お福に弥兵衛も。
『道成寺』の桜、『石橋』の牡丹・・・隠居所への引っ越しを挟み、
収める菓子を完成させる。そんな中、須美の周辺で・・・。
弥兵衛の、伊佐の言葉が、小萩の心に覚悟を生む。
主要参考文献有り。
注文が増えて多忙になった牡丹堂の、出来事の連作短編です。
新たに登場した手伝いの須美の話が中心となりながら、
18歳になった小萩の内面と菓子作りでの苦悩が味を添えています。
見世の男たちは皆“職人”だと気づく小萩。
弥兵衛は言う。「男の職人には考えつかないことを考えろ」と。
「なりたい私になりたい」では、どうしたら良いのか?
落語や能を学ぶのも、糧になる。人の心を想う機微も学ぶ。
さり気なく力添えをしてくれる、牡丹堂の面々。山野辺藩の杉崎。
多くの人の協力と小萩への想いもまた、糧になる。
牡丹堂に来てから2年、小萩も、ただ菓子を学びたいだけではなく、
様々な事に気づき、悩むようになりました。成長していますね。
今回は、須美や留助が良かったです。彼らと接したことで、
新しい一歩を踏み出せたようにも、感じられました。 -
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日本橋牡丹堂シリーズ第四弾。小萩の心の修業も着実に。
仲冬 お武家好みの腰高饅頭・・・山野辺藩から菓子の注文が入り、
名誉と困惑で揺れる牡丹堂の面々。しかしその後の注文は
伊勢松坂に戻ってしまうのだが、その伊勢松坂が乗っ取られる!
晩冬 女占い師と豆大福・・・山野辺藩、伊勢松坂の事で気を弱めた
お福。幹太が悪い風邪で寝込んだのがきっかけで、
女占い師の言葉を信じてしまう。そして、騒動が起こる。
初春 小萩の思い、銀の朝・・・里帰りして迎えた新たな年。
日本橋に戻ったある日、小萩にしかできない菓子をと、
春霞から直接茶会の菓子を依頼される。春霞の厳しさと
優しさ。『枕草子』の冬の一節のような光景を作る。
仲春 勝負をかけた揚げ饅頭・・・茶会の後日、山野辺藩から
伊勢松坂との菓子比べを提案される。揚げ饅頭にしよう!
様々な材料と知恵を絞っての菓子作りに没頭する面々。
小萩は春霞から勝代の事を聞く。そしてその結末は。
主要参考文献有り。
山野辺藩からの菓子の依頼から始まる、出来事の連作短編です。
伊勢松坂は主人の松兵衛一家が消え、勝代に乗っ取られます。
勝代の抱える欲の闇の深さの、恐ろしさ。今後の展開、心配です。
しかし、牡丹堂の面々には、人の繋がりという宝がありますね。
心配してくれる人、情報を提供する者、春霞や杉崎様も縁あって
繋がりが出来ました。そして牡丹堂の面々の一致団結ぶり!
仕事場で菓子を作る作業や、知恵を寄せ合って新しい菓子を
考案する場面は、なんとも心地好い情景で描かれて、好きです。 -
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日本橋牡丹堂シリーズ第三弾。牡丹堂での小萩の日々。
・初秋 うさぎが跳ねるか、月見菓子・・・女房を亡くした袋物屋の
ご隠居。小萩は茶話会のお菓子の希望を聞くために、
彼の元を訪れるのだが。想い出に添う菓子。月を愛でる菓子。
・晩秋 留助の恋と栗蒸し羊羹・・・お福の代わりに見世に出る小萩。
客あしらいに悩むのだが、留助の恋の行方も気にかかる。
・初冬 若妻が夢見る五色生菓子・・・祝い菓子の注文が二転三転。
苦慮する牡丹堂の面々。そして千草屋でも事件が起こる。
・仲冬 秘めた想いの門前菓子・・・千代吉と絶縁した娘の縁を
取り持つために、思い出の菓子を探す。託す手紙の想い。
この巻でのもう一人の主人公は千代吉姐さん。
見世のおかみのお福、小萩の母お時と縁がある彼女が最初の話に
登場、最後の話に再登場するまでの季節の進行と物語での構成。
家族の在り方を描く話が盛り込まれています。
2冊目は話がごちゃごちゃした印象でしたが、今回はすっきり。
小萩の学びも、きちんと姿を現してきました。
菓子作りに、菓子帖の記録、お福や弥兵衛から教わること。
留助やお文からも良い影響を受けています。
特に、見世での接客の大事さ。ほぉ、漢詩も勉強し始めたのね。
そして、幹太の成長ぶりが良かったなぁ。