あらすじ
時は明治2年。 代々続く一軒の老舗菓子店が、店を閉めた。 世の混乱と父親の謎の急死により店が傾き、悪の豪商・善次郎の手に押さえられたその店――橘屋を復興しようと、ひとり娘である16歳の少女・日乃出は奔走をはじめる。 再建の第一歩として必要不可欠な家宝の「掛け軸」を奪還するため、日乃出は善次郎と「百日で百両、菓子を作って稼ぐ」という勝負をすることに……。 果たして日乃出は、その賭けに勝つことができるのか!? 勝敗の鍵を握る幻の西洋菓子「薄紅」のレシピを追い求め、日乃出は走る!
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Posted by ブクログ
スピーディーに話が進んで行って、面白かったです。
今ではすっかり定番のお菓子たちの黎明期に工夫しながら一生懸命作る職人たちの姿。
まだ、冷蔵庫もなく氷も簡単には手に入らない時代に天候や時刻と闘いながら作るアイスクリン、腕がいたくなるほど混ぜ続けるメレンゲ、器具も満足に揃わず、あずきも高くてなかなか手に入らない状況の明治維新直後に作るお菓子たち。
普段何気なく食べているお菓子たちも見直しました。
登場人物たちの一生懸命さが楽しい一冊でした。
Posted by ブクログ
時は明治2年。老舗和菓子屋の娘・日乃出は、父の遺した掛け軸を取り戻すため、百両を貯めることに。菓子作りの腕はからっきしの勝次と純也が働く、客が誰も来ない寂れた菓子屋・浜風屋
Posted by ブクログ
時は江戸幕府から明治政府へと移行した日本、人で賑わう日本橋には将軍家御用達の老舗菓子店 橘屋が商売をしていた。しかしそこの主であった橘仁兵衛が突然なくなってしまったため経営に行き詰まり橘屋は奪われてしまう。仁兵衛の一人娘 日乃出は親戚に引き取られるが、曾祖父が残した掛け軸のことを思いだし、それだけは渡せないと考える。そして橘屋に忍び込んだ日乃出だったが、見つかってしまう。日乃出は橘屋を買い取った谷善次郎に謝りにいくことになるが、ここで善次郎に掛け軸を返してくれるようお願いする。そこで善次郎は日乃出に百日で百両を稼いでこいと条件を出す。日乃出は父が残した菓子「薄紅」があればそんなのは簡単だと考えてこれを受ける。善次郎の提案で横浜の菓子屋にいくことになった日乃出だったが、この話には実は裏があって…。
この作品はタイトルに引かれて読み始めたが、所々でお菓子作りの描写が細かく書かれていてとても面白かった。また日乃出の性格は個人的に好ましくついつい応援してしまった。
次にも期待したいと思う。
Posted by ブクログ
一人の女の子の成長ものとしてとても楽しい小説。
日乃出の意地を張るところと、「どうせ何もできない」と周りに見られていたと気付くところはちょっと痛々しかった。明治初めという時代が良いですね。西洋の物を受け入れながらのお菓子の工夫がとても面白い。
浜風屋が復活していく過程とかお菓子の工夫が丁寧だった分、最後の方はちょっと急ぎすぎて雑な印象だったのが残念。
最初の課題のその次にもっと大きな問題が出来て、お父さんがらみの謎が解き明かされていく過程で意外な人物が登場したり……。盛りだくさんでけっこう重要な場面だと思うのにさらっと走りすぎてしまった感じ。
日乃出ちゃんの周りの人が良い人で、安心して読めてしまうところが欠点なのかもしれないけど、気楽に読めるのはありがたかったかも。
Posted by ブクログ
日乃出ちゃんが最初は意地はってたんだけどだんだん雰囲気柔らかくなっていって、
それに比例するように助けてくれる人が増えてきて。
でもそうだよなぁって思った。
私もみんなが助けたいって思うような雰囲気をかもしだそう(笑)
Posted by ブクログ
面白かった。がんばれ日乃出、ピンチを乗り切り百両を目指して掛け軸を取り戻せ、と応援する気持ちになった。
ピンチはありつつもトントン拍子にうまくいき、なんだかアニメみたいだなと思ったけれど、ポプラ文庫とわかり、児童向けなら納得。夢があっていい。
おんぶ日傘のお嬢さんが、いっぱしの菓子職人に即席でなれるほど甘い世界ではないはずだけど、こんなお話もあっていい。明治という時代と拓けつつある横浜、入ってくる西洋文化などの時代の空気も感じられてよかった。
Posted by ブクログ
何もかも失くした大店のお嬢さんがどこまでやれるのかと思えば!
人との出会いと運に助けられたところが多分にあるけれど、日の出の前向きさとがんばりもあるはず
仁兵衛さんは思っていた以上にすごい繋がりを持っていて驚き…日の出にしたら本当は生きていてほしかっただろうけれど、自慢の父親として心の支えになっていくはず