あらすじ
派遣契約最終日の帰り道、バターと砂糖の甘い香りに誘われた詩葉が見つけたのは、千駄木の路地奥に佇む「ガレットとクレープの店 ポルトボヌール」。“幸せの扉”という意味だという。店を切り盛りするのは、赤い髪の店主・多鶴さんだ。こだわりの本格ガレットを食べて魅了された詩葉は、四日間通いつめアルバイトで雇ってもらうことに。ブルターニュ仕込みのおいしい料理と謎めいた常連さんに囲まれて、三十五歳の詩葉の新たな生活が始まる──疲れた心をおいしく癒す、あたたかな連作短篇集。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ブルターニュの発祥のガレットやクレープ、
画家ゴーギャンの作品をベースに
ガレットとクレープのお店ポルトボヌールに勤め始めた主人公が店主やお客様との関わりで変化いく様子やお客さんの息苦しさ、居心地の悪さと向き合っていく様子を描いたお話
これまでにも食べ物のを通して前を向くお話は読ませてもらった。
今回の作品は息苦しさとどう向き合うのかの作者の考え方がはっきりと語られている様に思えた。
そしてそれが、周りに流された方が楽と考えている自分がいることをはっきりと自覚させられて、どきっとしたし、アドバイスのようで背中を押された様だった
「自分が食べるものは自分で決める」
「自分で選んだ皿なんだから、ちゃんと最後まで美味しく食べる」
外食の時なんかに、当たり前の様に行っていた行動が、自分の人生の味わいかたの教えになるなんて、読むまで思わなかった。
私も今後色んなことを流されずに決め手いかなくてはな、と何をこの先したいのか整理する勇気を貰った一冊でした。
Posted by ブクログ
ガレットとゴーギャンの導き。
美味しそうなガレットと、時にクレープとそれを食す人々。人間模様は色々あるし、悩みはその人のものだけど、背中を押してくれる人や言葉があるだけで変われるものがある。
派手さはないが、じんわりやさしくなれる本。
Posted by ブクログ
自分に自信を持つことが苦手な?詩葉(ことは)さん
新しい事に一歩を踏み出すのを躊躇しまくる感じの彼女がなぜか粘って雇ってもらったのは……
心から望めば道は開けるの見本のような展開に、久しぶりにこの先を読みたくなった♡
Posted by ブクログ
ガレットと白ワインを今すぐに頂きたい。
より良くなるように、より良くするように努力して少しずつ前に進む登場人物達が良い。
居心地が悪い時があっても少しずつ折り合いをつけながら、自分の機嫌は自分でとるしかない。
人を押し退けて自分の居場所を確保するのではなく、周りにも迷惑にならない配慮もしつつゆるく長くやっていく というような優しいスタイルが好きだ。
Posted by ブクログ
軽く読めそうに思えたけど、思ったよりパワフルなメッセージが込められているようで清々しく読み終えた。
自信たっぷりに生きているように見える人でも、誰もが皆、どこかで居心地の悪さを感じているものなのかもしれない。「無神経な人になるよりいいじゃないの」「少しぐらい損をしても今のあたしでいたい」と話す多鶴さんと白井さんがかっこいい。
Posted by ブクログ
ガレットが美味しそうで、お店で食べたいなぁって思う小説だった。
ほっとできる居場所が、誰にでもあるといい。自分で立ってる人も、みんな悲しい思い出があったりして、だけど一生懸命頑張ったら、後で笑って話せるって今日言われて、何となくそういうことをしみじみ思った。
Posted by ブクログ
初めてガレットを食べた時を思い出した。たっぷりの粉チーズとサラダが乗った、香ばしくもふわふわの生地、そして生ハムの塩気がよく合った。また食べに行きたい。そしてこのお話を読んだら多鶴さんのガレットとクレープが無性に食べたくなった。
詩葉にとっての、図書室の意味合いが変わっていくのが彼女の成長を感じる。『繭』から新たな居場所を探していくのが人生なのかもしれない。
ダユーの伝説がブルターニュのものだと、この作品で初めて知った。