平松洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平松洋子さんというと、「食」についてのエッセイを書く人、というイメージがあり、そういうものを読まない私は、当然この方の著書も読んだことがなかった。
2月末(2020年)の書店で、文庫新刊の棚に本書が並んでおり、タイトルに惹かれて手に取りパラパラめくってみたが、そこに並んでいるのは知らない本の名前ばかりでそそられなかったので、棚に戻した。
しかしその後、書店に行くたびにこの本が目に入り、なんだか気になるように。
たまにはこういうのもいいかな、本の感想を書くときの参考になるかもしれないし、ここまで気になるなら、と思い買ってみた。
平松さんが本について書いた文章が一冊にまとめられている。
「食の本棚」、「物語の本棚」、「暮らしの本棚」と分けられていて、それぞれの合間に対談や日記が挟まれる。
数年前まで購読していた『本の雑誌』に載っていたらしい記事もまとめられていて、ちょっと懐かしい気持ちになったりも。
やはり私があまり読まないような本について書かれていることが多いが、とにかく本が好きで読書が楽しくて仕方ない様子が読み取れて、その幸福感が伝わってきて、私も本書を読んでいる時間、ふんわり幸せな気分だった。
ジャンルは違えど、やっぱり本好き読書好きの人間には、相通ずる共通の感覚があるのだ。
今後、読む本のジャンルの幅をもう少し広げてみようかな。
本書を読んだら、これまで知らなかった世界をのぞき見たようで、自分の視野が広がる気がした。
読んでみたいと興味を引かれた本も何冊かあったし、日本語表現の勉強にもなった。
普段自分が見ているものと違う方角にあるものに、あえて目を向けてみるのもおもしろい。
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Posted by ブクログ
冒頭の「横串の女」の近所のお店の女主人らしきの焼き鳥を食べる描写に引き込まれる。
だけど、平松さんのキッチン周りの近辺雑記ぽいなあと思いながら、読み進めると、シカ猟、フィンランドのサウナ、ジェノヴァのパスタ、ベルリンのカレーまみれのソーセージとか色々の食べ歩きもあって段々楽しくなってくる。
台所周りのことも、平松さんの文章の熱量は変わらないんだけどね。
解説に「生真面目かつ柔らかい文体」とある。僕は威勢が良くて上品な文章だと思う。
鈴木清純「ツゴイネルワイゼン」のちぎりこんにゃく鍋、恐かったなあ。何が怖いんだか判らないのに、本当に不気味だった。
「トマトをちぎる。」やってみようかな。
表題となった「かきバターを神田で」。
このタイトルは」違うんじゃないかな。シリーズタイトルは語呂の良さで揃えたいんだろうけれど、アレッと思った。 -
Posted by ブクログ
平松洋子さんの食エッセイ。最近では、端から文庫本で出版されるんだ。一つのエッセイが3ページ。以前はもう少し枚数があったと思うし、北海道に豚丼やさんま祭りの取材に行ったりしてたのに。
文春はもっとページと取材費を平松さんに提供して欲しい。
さて、さほど長くない文章だけど、どれもぐいぐい引きずり込まれる語り口、だけど切れ味が良くて、しつこさががない。
僕は大阪単身生活5年目、東京の家族の元に帰るときは、当然蓬莱の豚まんが土産。平松さんは新幹線の棚の上にずらり、と書いているけれど、僕は座席の足元に置いている。やっぱり匂いがね、他の乗客に迷惑になると思うので。ホント美味しんだけどね。
しかし、平松さんて何処に行っても行きつけのお店がありそう。気になったのは、東大寺近くの奈良漬。いままで、奈良漬けに興味を持ったことないけれど、この文章には魅かれるなあ。 -
Posted by ブクログ
著者の作品を読むのは初めてだったのですが、食にまつわるエッセイストとしてたくさんの本を上梓されていて、25年以上のキャリアがある方ということで、洗練された文章に目を浄化されながら読みました(笑
雑誌の連載を纏めた本なので、15の短編に分かれていて、アスパラガス、鴨狩りから鰻屋、ケーキ屋まで割と広めのテーマが並んでいて、このチョイスを見るだけでも面白く感じます。
グルメを食べ歩いて感想を連ねる形ではなく、丁寧に取材していく中で、例えば食材がテーマであれば作り方から入って、作り手の苦労や喜びに触れられていて、1つずつの短編がまるでテレビのドキュメンタリーを見ているかのように、引っ掛かりなく入ってきます。
オーバーリアクションに美味しさを表現するような本ではないのですが、(どちらかと言うと)抑制的な味の表現や、食の背景にあるストーリーを描き出すことで、その食材への興味を掻き立ててくれる一冊です。
とりあえず、聖林館のピッツァ、くちこ、坂網猟の治部鍋、新橋の鮎正、凍みこんにゃくはどこかで食べていきたい…! -
Posted by ブクログ
「ひさしぶりの海苔弁」に続き読む。
あとがきに、「食べ物は無数の記憶や物語をもたらす。」とある通り、自分の食の記憶を掘り起こしたり、平松さんの文と対話したりする読書だった。
平松さんの文章は、威勢がいいけど、すっきりして、押し付けがましさがない。
神戸の昭和の佇まいのお好み焼き屋でビールを飲んでる図なんて、渋いなあ。こういうのが似合う人はなかなかいないと思うよ。
沢山の柚子を仕込む台所仕事とか、筍料理とか美味しそうだなあ。
「ひさしぶりの‥」にも深夜の料理の話があったが、
(引用)はっと我に返ると、深夜に台所に立ってごそごそやっていることがある。ワインを飲んで相当楽しくなっているときで、知らないうちに包丁でざくざく刻んでいたり、鍋に火がかかっていたりするから不気味だ。
考えずに手が勝手に料理をしているという。家のオカーサンが夜中に変な料理してたら怖いだろうなあ。
東銀座のナイルレストランのムルギ―ランチの話もあった。僕はムルギランチと伸ばさず呼んでいたが。
いつだったか、僕は別の料理も食べてみたいと他のカレーを頼んだのだが、番頭さんから「ダメ、それ遅いね。ムルギランチ美味しいよ」と無理やりムルギランチにさせられてしまったことがある。まあ、ムルギランチ美味しいから文句はないんだが。それから、あの真っ赤で、悪魔的に辛いラサムスープの話も欲しかったな。
表紙口絵の水丸のイラストは、他からの出典とのこと。水丸さんとのタッグもこれで見納め。