平松洋子のレビュー一覧
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食のエッセイストが出会うのは、その土地を支える食材と人。
その土地だからこその美味しさを知り、語る、15の探訪記。
熊鍋 わさび 蒲鉾 オイルサーディン クラフト・ビール
柚子 梅干し 奈良漬 鮒ずし チーズ かごしま黒豚
栗きんとん 豆餅 五島うどん イラブー汁
・あとがき ・取り寄せ(地方発送)について
日本各地のすごい味を巡る、15の探訪記。
その土地ならではの、食材。
その土地ならではの、自然環境。
その土地ならではの、人とその土地への想い。
そして、歴史や生き方をも内在する、その土地の記録。
猟師と料理人の共通の価値観は、世界一美味しい熊の肉。
すべての工程が手作業の、缶詰。
ごっ -
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平松洋子『酔いどれ卵とワイン』文春文庫。
週刊文春連載の食と日常をテーマにした平松洋子のエッセイ。64編を収録。イラストレーターとのコラボが無くなり、少し寂しさを感じる。
京都大学准教授の藤原辰史との対話「戦争から『食』を考える」も収録。
小気味良い軽快なテンポの文章なので、リズム良くサクサクと読める。なるほどと共感したり、そんな方法があったのかと驚いたりと楽しく読めた。
パンにバターを塗る時のストレスフリーの方法は目から鱗。おにぎりの海苔は自分もしっとり派。紅白なますに干柿の身をほぐして食べるのは知っていたが、柿の白和えは知らなかった。サザエカレーはさぞや美味いことだろう。ピーマン -
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子育て中は目の前のことで必死で、このイバラを抜けたら自分の前に立ちはだかっているのは、自分自身だった。
っていう。著者の言葉。
こわっ。自分の前に立ちはだかる自分自身。
ただ、薄々感じてはいる。20代の頃のようにはいかない体と、写真に写れば写るほど老いる自分。笑
わかってはいるけどここまでか!!!!って思うのは毎年更新記録達成。笑笑
そんなふうに思いつつ読むと、あーなんかわかる時がきそうだし、すでにわかる気もするものも。
そして、この方の描き方がなんだかスッキリとしいて、困ったことや、立ち止まったこと、ちょっぴりだけ寂しくなったり、悲しかったことが、ラムネの瓶越しに見てるような、薄いブル -
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最近、平松さんのエッセイにはまっている。
週刊誌の連載だとのことで、一つ一つは短い。
そのため、取り上げる食材、料理、食文化の幅が広く、読み進めてもちっとも退屈しない。
京都の炒り番茶。
ほうじ茶とは違う。
独特の「煙臭い」お茶だとのこと。
山形の冷たい肉そば。
鶏肉が入った日本そばで、見た目は非常に地味。
でも美味。
名古屋めし、帯広の豚丼、中津川の栗おこげ、根室のさんま…各地のおいしいもの、気になる食材の話は、とにかく読んで楽しい。
まねして作ってみたいレシピもある。
肉団子。
合鴨と鶏肉の合挽は手に入らないけれど、トライしてみたい。
それから、トマト寒天。
もっとも、これは「あさイ -
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「サンドイッチは銀座で」のシリーズでも熊を食べに行く話があったので、そんなには愕きはしない。だけど、普段の軽妙さは影を潜め、文章にずっしりした重さがある。
羊、猪、鹿、鳩、鴨、牛、内臓、馬、すっぽん、鯨の10章。
ルポだけど、着飾った奇麗ごとの無い文章。育てて、その命をいただく生業への共感が身に迫ってくる。
だから、その後の文がより際立ってくる。
(引用)
気が逸るのを抑えながら、透明な黄金色の熱いスープをれんげに満たし、啜った。すーっと口のなかに滑り込む清澄な汁。醤油のひのかな香ばしさ。焼きねぎの甘み、つつましやかなふりをして、しかし、奥まったところから、あの﨟長たけたうまみが頭をもたげて -
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平松洋子『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』文春文庫。
『人はなぜ肉を食べるのか』をテーマに平松洋子が日本全国を巡り、10種類の肉と人との関わりを取材したルポルタージュ。
何時もは食の割合が多いが、本作では取り分け食肉の文化や歴史、食肉に関わる人の仕事が多く描かれている。
『第1章 羊』。北海道白糠町の羊牧場で羊の飼育、羊肉についての話。羊料理の代表格はジンギスカンで、勿論のことながら北海道が有名なのだが、東北地方、岩手県遠野市、福島県平田村など山間の地域でもよく食べられている。また、福島県ではアサヒビールの直営のジンギスカン店もあり、手軽にジンギスカンが楽しめる。遠野市では美味しいジ -
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「サンドウィッチは銀座で」など、これを食べにあそこへ、というタイトルでずっときたシリーズ。新刊は「いわしバターを自分で」。このタイトルだけで、コロナ禍の日々のことだ、と気付く。
あのなんとも息苦しかった日々、毎日怯えたように、萎縮して暮らすしかなかった期間。
2020年5月半ばだったろうか、スーパーでカゴを持ったまま、売り場に立ち尽くしたことがあった。なんにも思い浮かばない。何を食べたいのかわからない。何を作ればいいのか、何を買えばいいのか、皆目見当がつかない。外食がほぼ不可能で、ちょっとした息抜きもできないから心に余裕が生まれない。
あの絶望感は忘れられない。
平松さんも同じように迫り来る