平松洋子のレビュー一覧
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食べ物の記憶は何処から入ってゆくのだろう。先ずはやはり味だろうか。
「これ、美味しい!」
そのあと名前を覚えてゆく。
平松洋子は「ひろうす」で覚えた。
西日本は一般的に「ひりょうず」「ひりゅうず」と呼ばれているらしい。
東日本では「がんも」「がんもどき」と
言われるモノとは今回初めて知った
私は「ひろうず」で覚えていた。
洋子さんも私も母親からの口伝えである
洋子さんとは共に倉敷で
家が15キロと離れていないからだろう
元は「飛竜頭」ポルトガル語の当て字だそう
「フィリョース」という小麦粉と卵のお菓子
なるほど、油揚げを「おあげさん」て
言ってたな
なんか急に懐かしくなって味まで思い出す
荏 -
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油揚げを愛する著者のエッセイ、29編。
確かに主役としての顔はないのだが、それに匹敵するくらいの価値はあるのではないかと思える。
味噌汁や炊き込みご飯に入れるのは定番である。
きゅうりの酢の物にもちょっと焼いて短冊にして入れるとコクもでる。
しかし、おせちの紅白なますに入れるというのは初めて聞いた。
中盤にレシピとカラー写真があるのも嬉しい。
後半は、萩原健一(ショーケン)の話や高橋由一の写実画「豆腐屋」の話、料理研究家の辰巳浜子さんの『料理歳時記』などなど盛りだくさん。
難波「道頓堀今井」や松山「鍋焼うどん アサヒ」
香川、まんのう町「谷川米穀店」、加茂町「讃岐うどん がもう」などのう -
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しみじみといいエッセイだった。
著者のバッググランドが少しわかったようなファミリーヒストリーの要素のある名著。
著者がなんとなく向田邦子の匂いを感じるのは、感性とやっぱ昭和をガッツリ生きた時代背景もあるのかな。
サクマの缶入りドロップス。懐かしすぎる。
ハッカでるとがっかりしてね、また戻しちゃったりして^^;
粉末のみかんジュースもあったなぁ。なかなか溶けなくてね。
お父さんが最期に自分の意志で食べたのがビスコ。
いろいろ聞きたいことをもっと聞いておけばと著者は言うけれど、最期の最期にお父さんの願いを叶えてあげたのだから、ほんとに幸せなことだと思う。
あの赤い箱、ビスコを見るたびに思い出すね、 -
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平松洋子『おあげさん 油揚げ365日』文春文庫。
油揚げを偏愛する著者による29編のエッセイと45のレシピを収録した油揚げエッセイ集。
表紙が油揚げを抽象的に表現したイラストになっているのが面白い。
油揚げというのは豆腐を油で揚げているので、豆腐よりもコクがあり、煮崩れしないので扱いやすく、比較的安価な食材である。オーブンで焼いてネギと七味を掛けて醤油を垂らせば一品になるし、煮ても良し、味噌汁の具にしても良し、蕎麦やうどんに載せても良し、いなり寿司にしても良しと様々なバリエーションが楽しめる。油揚げを開いて、餅や様々な具材を入れた巾着はおでんダネにもなる。
本作のレシピには無かったが、 -
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長い間の積読本。ホントに積んでいた本の山の間から見つけて、銘酒を味わうようにちびりちびりと読んできた本。おそらく6年は熟成させて、一年かけて読んだ。
まぁそういう本である。一章一章、時には数頁づつ読んでも、味は変わらない。少し古い話題はあるが、それも味わい深い。実際には14年前ほどの文章が載っている。「オール讀物」連載。我が倉敷が産んだ食のルポライター平松洋子は、食の最前線や話題の店は一軒たりとも取り上げない。何度も通って初めてわかるような名店の、ありふれた食材を料理したような名物を、時にはそれを食べるためだけに、北海道や沖縄や鹿児島や青森や、時には東京赤羽辺りを、取材と称して担当編集者と食 -
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平松洋子『父のビスコ』小学館文庫。
第73回読売文学賞受賞作。
父の死と家族で過ごした倉敷の時間。親子三世代の記憶を紡ぐ初めての自伝的随筆集。
平松洋子と言えば食のエッセイのイメージが強いが、このようなしっとりとしたエッセイも良いものだ。前半は面白いのだが、『「旅館くらしき」のこと』から最後までは断片的に倉敷や家族のことが描かれるだけで、ちょっとがっかりした。
『父のどんぐり』。平松洋子の昭和3年産まれの父親の食の記憶。先日、亡くなった自分の父親も昭和6年産まれであるが、戦中戦後に少年時代を過ごした人たちは食べるために毎日が必死であったと聞く。自分の父親はその頃の飢餓の記憶の反動で、 -
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下着の捨てどき…、私もよく分からないなあと思い読んでみました。エッセイ本で、日常生活を送る上で心に刺さる話ばかりでした。特に好きな話がこちらの話です。
『拡大鏡は見た』 "ひとは見たくないものは見ないらしい"、この言葉はグサッと刺さりました。シミ、シワ見えてないフリをしてる、私。
『再会タクシー』 東京はタクシーがいっぱい走ってると思うけど、同じ運転手さんのタクシーに乗るって運命だな。
『また逢えたら』 紹介されてる料理作ってみたい。レシピが載っているのはありがたい。
『夜中の腕まくり』 牛すじの醤油煮込みを夜中に手間暇かけて作る話なんだけど、平松洋子さんにとって至福の時間な -
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エッセイならではの読みやすく楽しい感じ、他人の人生を垣間見るときのへぇ、とためになる感じ。
そのどちらもありながら、「食」というほのかに共通する出来事で本としての統一感もあり、作者の人生の幹があるようであり、巻末の対談では戦争と承認まつわる会話があり。このひとの「食」はきちんと根を持っており、このエッセイの根幹がしっかりしていることに納得。ただつらつらと日常を記しただけではない話が読めたのだと謎の満足感と安心感があった。
そして、ジャムを作ったりみかん風呂にしたり…自身の暮らしを改めたいなという自戒でありながらも明るい、プラスの気持ちに。
「電気を食う」「生産と消費者のレールを外れる」とい